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話し合い(物理)と同郷

プライベートが色々あり過ぎて更新ができませんでした。


 母さんに『お話』をしてくると飛び出してから小一時間。竜峰ドラゴンテイルの頂上にたどり着くと、そこには既に帝国の冒険者と白いローブを着た男達と一人フードを被った神官が居た。

 最初こそ好戦的だった連中は『お話』をすると大人しくすべてを話してくれた。


「帝国側は、やっぱりドラゴンを王国へとけしかけて、あわよくば俺かセリアに退治させようとしてたと。んで、混乱に乗じて森に潜んでる帝国兵がリィリアを攫うと。竜皇国ドラグニアはそんな情報が耳に入ったから帝国を止めようとしたと⋯⋯。うん、理解した」

『既にレティアへは連絡を入れてあります。恐らくですが、そろそろ来る頃かと⋯⋯』


 分霊の言葉が終わるか終わらないかのうちに、良く見知った人類最強格が俺の隣へと華麗に着地する。それも三人。


 ――三人?


「ウィルフィード。話は貴様の伝令とやらから聞いた。して、国を脅かそうとした愚か者は?」


 まさかの陛下自らの登場に度肝を抜かれているのは俺だけではない。帝国も、ドラグニアの連中も同じだ。両親に至っては素知らぬ素振りで明後日の方を向いている。こいつら、全員脳筋だ。

 そんなことは置いといて、そっと帝国の冒険者を指さすと、どこから出したのか大剣の切先を冒険者へと突き付けて言う。


「貴様等⋯⋯。誰の差し金か知らぬが、生きて帰れると思うな。洗いざらい吐いてもらう」


 陛下の──というか、ブラックランク冒険者の圧に負けた冒険者たちは既に灰になっている。その後ろに居るドラグニアの神官達も腰を抜かしているものが四人。一人だけ、震えながら立っている豪胆な人物がいるのには驚きだ。


「ほぅ⋯⋯。おれの圧を受けて立っているか。貴様は?」

「ご、ご挨拶が遅れました」


 被っていたフードを外すと、そこには見目麗しい美少女。リィリアも可愛いし、メイも美人ではあるが、この人はその両方併せ持つまさに可憐な美少女。そんな美少女が陛下の圧を受けて立っているという事実に俺は震えた。


「ドラグニア王国のヒナ・マサキと申します」


 ――ヒナ・マサキ。


 彼女はそう名乗った。だが、俺は、俺だけは理解している。彼女の名は「マサキ ヒナ」だ。

 俺は転生者だが、彼女はどうだ?

 見た目は人間。年齢はおそらく十五くらい。いや、人じゃない。耳が少し長い。エルフ種か。だとすると転生者の可能性が高い。


『⋯⋯彼女は転移者です。けれど、彼女もイレギュラーだと判断します。上手く言葉にはできませんが、観測者としての違和感が強いという事で納得していただけると』


 おーけー。俺は分霊を信じよう。さて、問題は陛下がこの転生者をどうするかという事だが──。


「ウィル、おーい、ウィールーー?」

「⋯⋯ん?」

「あ、良かった。戻ったのね。死んだ魚の目をしていたからどうしたのかと」

「母さんさぁ、基本俺の事嫌いだよね?」

「いえ、好きよ。愛してるわ。でも、その目は嫌いなだけよ。というか、好きになる人類なんていないと思うの」


 時折母さんの言葉には猛毒が含まれている。それも致死性の。人類単位で俺の目つきをどうこう言わなくてもいいじゃないか。


「え、と、あの⋯⋯」

「ああ、すまぬな。それで、ドラグニアの『聖女』がどうしてここに?」

「未曾有の危機が迫っていると『神託』があり、ここに参りました。どうやら、その危機というのは帝国の方々が仕組んだ事のようですが」

「⋯⋯ふむ。そうか、巫女の『神託』であれば、それは確かな話なのだろうな。しかし、この帝国の冒険者共をどうしたものか。運ぶにしても、兵の足では時間がかかるな」


 おい、義父。そんな目で俺を見るな。


「そういえば、ここに希代の魔法使いがおるなぁ」


 やめろ、口の端を吊り上げて笑うな。それは悪役の顔だ。いや、まぁ、顔付は悪役のそれなんだけどさ。


「⋯⋯他言無用で」

「ほぅ?」

「ウィル、もしかして」

「他言無用を約束してくれるのであれば、どうにかします」

「そうかそうか、ウィルフィード⋯⋯。貴様、世界最強(セリア)を超える気だな?」

「基本陛下って意地悪いですよね? 俺まだ子供ですよ? あんなセリア(化け物)に勝てるわけないじゃないですか」

「おれの見立てではあと数年という所だろうな。もっとも、貴様が技を学び、幾多の戦場を超えてからの話ではあるが⋯⋯。まあいい。ウィルフィード、頼めるか?」


 俺と陛下の会話についてこれない父と聖女と他多数を放っておいて、俺は一応母さんを見る。許可を得るとかそうゆうのじゃなくて、俺にしかできないという意味と、本当に他言無用を頼むためだ。


「そんな目で見なくても解ってるわ。貴方にしかできなくて、本当に誰にも知られたくないという事ね。あとで、ここにいる全員に契約魔法を使うわ」

「ごめん」

「いいのよ。時間もあまりないし、お願いできるかしら?」

「ん」


 とりあえず帝国の冒険者を縛ってもらい、その縄を俺が持つ。そして、その場にいる他の人達は俺へと触れてもらう。今はまだ生きている者の対象指定ができない以上は仕方がない。こうして触れてもらうしか方法はないのだから。


「謁見の間でいいですね?」

「構わん」


 陛下の言葉にうなずいて俺は初めて人前で転移魔法を使うのだった。

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