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日清戦争 -9 危篤の運

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 1894年7月26日 明け方

「しっかりしろ!!若造!!」

「気を保て田中!!」

 野戦病院に担ぎ込まれる若い兵士。言葉を発する余裕すらない。

「麻酔をする暇はない!!抑えろ!!」

 周りの兵士が若者を押さえつける。

 大きな負傷部位は腹。腕部にも切り傷が多数ある。だが、腹部に関してはそこには刃物が刺さっている。

手早く腕部を手当てすると、軍医は腹部の刃物を引き抜く。

「運がいいな。小僧…臓器も血管も無事なようだ。しかも開店休業状態。見捨てないで済む。」

 それは抜いてみてどの程度の血が出るかで判断したようだ。しかし、油断はできない。血を失いすぎればそれは死を意味する。現代医療においても体重50㎏の人間では800mlで危険な状態になり、1200mlで生命の危機がある。この時代では800ml…彼の体重を考慮すれば500mlペットボトル2本はすでに危篤状態だ。

「助かりますよね!!」

「わからん。でも戦闘後であっても見捨てている。」

 戦場では助かる命を助けることを優先するし、手当てをして戦線復帰できる人間を優先する。腹部や頭部を受傷した場合、見ただけで見捨てられる可能性すらある。

 これをトリアージという。戦場や災害現場などで行われる。状況次第だが、現在において軍事上では軍事的必要性でのトリアージが優先される。

 戦闘中であれば手当てをすれば戦線復帰が可能な軽傷者が優先される。後送の必要な重傷者は生命維持、戦闘完了後後送。そして助かる見込みがない兵士や助けるのに大量の医療資源を必要とする患者は見捨てられる。

 同じ負傷具合であれば教育期間と五体満足ではないといけない兵という条件から士官を優先する。

 だが、この時点では彼以外の負傷兵はいない。せいぜい熱射病で倒れた兵士だけだ。戦闘時ならばすでに見捨てられているだろう。

「そんなこと言わんで、一番の小僧じゃ助けてやってくれ!!」

 連れてきた兵士が懇願する。

「そういや倒れる前に血管に刺せと小僧が言っとった。なんのことわからんが何かあるか⁉」

 向かっていた医者の一人がそれを聞いて目を見開く。直後一瞬凍り付いたように思考する。すぐに驚いたように声を上げる。

「それなら全身の血液不足を補えるかもしれん!!なんで気が付かなかったんだ!!輸液の準備だ!!注射器を用意するぞ!!急げ!!」

 1894年当時の出血多量の治療

第1 血液を失わないこと(根本否定)

 2~先が存在しない

第∞(ほぼ考えてありえない、ほぼ知られていない)

血中の水分を補う

 程度のことの模様です。何しろ輸血研究は1900年ごろから進展がある技術のなので、輸血という概念そのものがあまりない。

 しかも第2水分の注射…輸液自体も研究が進んでおらず、器具の製造すら国産品は1900年ごろから出回る代物。  

 そして外国製もほとんど普及していない代物である。その存在を知る者もほとんどいません。そして輸液方法も血管注入が確立するのが第2次世界大戦後です。それ以前は複数回の皮下注射だよりです。


 ある意味…『血管に刺せ』の意味が分かった医者のほうがすごい。なんでこんな人が現場に派遣されているの!?



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