欧州奇行編-2 行方不明者
本日少な目につき25日も更新を予定
1899年4月 ロンドン、日本大使館
秋山と田中はロンドンの日本大使館についた。秋山は着任挨拶、田中はさらに手配していた書類を受け取るためだった。
「川上閣下からの命令でこの書類を君に渡せとのことだった。これを作るために各国の駐在武官にかなり無理をさせたらしい。」
そう大使に言われながら大使に複数の封筒を渡される。
「内容については軍機だった。なので私も知らん。だから情報流出には注意してくれ。」
「わかりました。この大使館のお部屋をお借りして読ませていただきます。」
「それはいかん。海軍からの要請もある。内容は知らんが至急だそうだ。近藤基樹海軍造船中監(中佐相当官)と話してくれ。」
「ならばこちらも渡してほしいものがあります。」
田中も分厚い意見書を書き上げていた。
「田中・・・俺に翻訳押し付けてそんなもの書いておったんか。」
「私の意見を口頭説明するとかなり時間がかかりますゆえに先に読んでもらった方が早い。そう判断いたしました。」
彼はそういうと、場を離れる。秋山の着任関連の引継ぎ関連の話に邪魔になる上に、早急に書類を流し読みしなければならなかったのだ。
田中は昼夜問わず書類を読む。
周りから休息を進める言葉にも後で休める旨の返答。食事も食パンを焼いたものなどを食う。その間も目は書類を見ている。そして外に出かけるのみ。彼の動きはそうだった。唯一書類を手から離すのは小便と電報を届けに来る電報局員の応答だけである。
数日たつと、事件は起きた。
そんな彼が行方不明になったのだった。
「どこだ!!近藤造船中監(中佐相当官)とのお約束もあろうに田中を探せ!!」
行方不明になる田中を外交官たちが探す。しばらくすると、郵便ポストを調べた外交官がとあるメモを見つける。
どうやら田中が仕掛けたものらしい。
『特命により出立する。行先 独フリードリッヒスハーフェン』
とだけ書かれていた。
独フリードリッヒスハーフェン…




