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欧州奇行編-1 過去を思う

 えー米国編は終了。その続きに近い欧州奇行編です。

 1900年1月 ロンドン 日本大使館

 そこには3人の男がいる。うち2人は秋山真之、田中義三だ。そこに1人の男が入ってくる。

「久しいな秋山。」

 入ってきた男は真っ先に一番親しい人間に声をかける。

「お久しぶりです。広瀬さん。」

 入ってきた男はロシア駐在武官をしていた広瀬武夫だった。しかし、駐在武官同士のやり取りもあるので視察旅行中だった。史実では同年5月、完成して回航を待つ敷島級戦艦2番艦朝日の見学を機に落ち合った。この世界では秋山が史実よりも早く英国駐在武官になったことから、敷島級1番艦敷島の完成、見学を口実にした。

 だがその前には少なくとも大使館には顔を出さないといけないのでそこで合流した。

「お話伺っています。陸軍少尉の田中義三です。」

 田中が名乗る。

「海軍造船中監(中佐相当官)の近藤基樹です。」

 最後に名乗った男は敷島級とその前級の富士級の設計に参加した造船技術者だった。

「この2人は敷島に乗って日本に帰ることになっとるワシは居残りだ。ようやっと解放される。」

 秋山は晴れやかな顔をしている。誰から解放されるかわからん。

「相当絞られたんやな。」

「そりゃペンダコができるぐらいには絞られました。年下で階級も下で組織も違うというのに」

 秋山は肩をすくませながら手を見せる。指には包帯がまかれている。

「私も秋山君の資料は参考になりました。私も翼断面に関する研究なんて知りませんでした。スクリューの研究にある程度応用できるやもしれません。貴重な資料でしたよ。ありがとうございました。」

 近藤は慰めるように秋山の功績をほめる。

「そうですか。このじゃじゃ馬を頼んます。敷島艦内でも近藤殿のご迷惑をおかけするやもしれませぬゆえに」

 秋山はニヤニヤしながら近藤に忠告する。

「まあ、私も彼の大砲論争の先を知りたい。航海中にせいぜい拘束して議論します。騒ぎを起こさせる余裕はありませんよ。」

 近藤は田中を見ながら言う。

「何か私がトラブルメーカーみたいなことを・・・」

 田中が反論しようとするが、秋山がそれを遮る

「その表現言えて妙じゃないか。」

 と。それに何とも言えないを田中が表情をすると周りに笑いが込める。

「さてと、帰国してもどんなトラブル巻き起こすのかな?」

「川上閣下が先年お亡くなりになったんだから無茶はするなよ。かばってくれる人はいなんだから。」

 話は田中に忠告するような話だ。それを救ったのは名もない外交官だった。部屋をノックする音を出してくれたことそれが救いだった。

「時間のようじゃの」

「さてと、ここまでどのようなトラブルとやらを起こしてきたか移動中に聞かせてもらおうじゃないか。まあ、うわさに聞いた行方不明以上のあれはなかなかないじゃろう」

 話題は変わるが、田中にとって居づらい空気を換えるまでには至らなかったが。


 のちに田中は語る『あの頃やらかしたことはまさに黒歴史である』と



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