表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/76

日清戦争 -6 大義名分

 日清戦争開戦の序曲です。

 1894年7月23日 早朝

「作戦行動に入る。目標は朝鮮王宮。目的は朝鮮王宮と朝鮮王の確保。撃たれた場合のみ反撃を認める。着弾位置も外国公使館を避けるように。」

 龍山…現在のソウル郊外に駐屯していた日本軍が動き始めた。目的は朝鮮王朝の首を挿げ替えること。

 現在、公使館メンバーが21年前に失脚した大院君という現王高宗の父親を説得している。日本でいう摂政のような立場で高宗を支えた。失脚前は外戚の専横、不正腐敗を打破し、有能な人材の登用などを行っているが、外戚との血みどろの政争の結果追放されている。

 外戚側が不正腐敗の温床であったがために、彼には民間からの人気があった。そのため暗殺などの非道ができず、幽閉状態にある。

 ただし、不正腐敗の比較的酷い外戚の排除を優先しているようで完全の排除はできていない。もっともそうしなければ酷すぎる連中の排除すら困難だったのだろう。

 問題なのは幽閉である。漢城(ソウル) にいる以上、極秘裏の接触は比較的容易だった。

「当然監視はされているだろうが、我々に手を出せばそれそのものが介入の口実になる。」

 という状況で接触を拒むことがある意味不可能だったのだろう。そもそも警備がザルだったということなのだろう。

 なお、日本や海外などにおいては流刑という中央から強制移住させた挙句の幽閉という手がよくとられる。これならば内外問わず、担ぎ上げられても対処はある程度容易であろう。

 ただし、遠方地で力を蓄えて反乱を起こされる可能性があることも問題だ。

 この朝鮮の状況では彼と政治思想的に近しい農民反乱である甲午農民戦争(東学党の乱)との合流の恐れがあったので、目のつくところに置いておきたいという考え方も理解はできるだろう。むしろその可能性は大きい。彼が甲午農民戦争の黒幕と目されている人物でもあるからだ。

 日本側は彼を政権の首魁に付け、日本に清国討伐要請を出してもらうことで戦争の大義名分を得ようとしていた。

「日本人は出ていけ」

 大院君の初期の返答はこれだった。彼は外国文化の排斥は過酷だ。キリスト教徒の処刑8000人や他国船舶の撃ち払い、焼き討ちなどを行い、彼の統治期間中の鎖国を守り抜いた。

 彼の失脚後、私利私欲や国防意識の欠如した連中によって開国が進んだが。

「この朝鮮の不正腐敗は見過ごせません。不正腐敗の犠牲になるのは民衆だけではなく、日本人もそうなのです。そして腐敗によって利を得るのは清の連中と両班共です。閣下はすでにそれを排除しようと動かれていたのではないでしょうか?」

 この発言に出ていけという言葉は止まる。1894年6月22日には側近を公使館に送り込み、外戚と清国の影響力の排除に日本の賛同を得ようとしていた。

「断ったではないか!?」

 大院君は怒りだす。

「閣下は監視されております。あの時点でその返事をすることは危険でした。下手に動けば閣下は暗殺されておりましたでしょう。」

 その発言に大院君は苦々しい表情を見せる。殺される理由に心当たりがありすぎるのだ。

「日本人は何を望む?領土か⁉」

 そのままの表情で大院君は

「領土はいりません。日本人と日本の安全…それを保障するための朝鮮の改革です。日本人と日本の安全を守るには朝鮮を強くして守らなければならないだけです。我が国も列強からの脅威を受けています。日本はある程度の改革には成功しており、それ故に脅威を和らげることに成功しています。その経験を提供しましょう。共に生きるために。」


 軍は午前中には王宮を占拠、大院君を送り込んだ。高宗は「自分は日本の改革案に賛成していたが、(袁世凱が交渉代表) 清国に脅迫されていた」という旨の釈明を行い、再度、大院君の摂政就任を認めた。同時に清国への撤兵を要請した。しかし、それは日本の傀儡政権だった


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公が関与しない話が続くと 漫画家は何処へ行ったってなるので そっちの描写も欲しいです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ