日清戦争 -5 再発の兆
今回は人名は登場しません旨。ご了承ください。
「君。本当に成功すると思うのか?」
「成功すれば儲けもの、失敗してもこの情報を流してやるだけで敵兵力は正面以外に削がれることでしょう。それに彼らが行動を行う前に連中を消そうとすればそれこそ民衆への残虐行為という情報を世界に流してやり、戦争への大義名分が生まれましょう。」
「しかしそれは…」
「戦は勝たねばならないのです。閣下との雑談中に出てきたロシアの脅威を防ぐためにこの国は変わらねばならぬのです。祖国も戊辰・開国の犠牲を甘受して近代化したのではないでしょうか?」
「確かに…そうだが…」
「この国は開国せねばならん。開国できなければ祖国すら守れません。」
数日後、某私塾
「先生はそのお約束、証文の類はいただいたのですか?」
私塾を訪れていたのは2人の男一人は若造。一人はそれなりに年を取っている。
「証文?」
「約束の内容を記した文書のことです。それがなければ発言の有無の理論になり、力のある者が主張を強引に推し進める原因になります。」
「やるといっただけだ…」
「ならば彼らは改革を反古にする気です。何しろ宗主国の軍1万を送り込むことで自らの権力を守らんと欲する模様であると愚考いたします。」
若者がその場で叫ぶ。言語が違うためにわかる人間は少ないが、わかる人間はその発言だけで悔しさが顔ににじむ。その人間から周りに悔しさが広がってゆく。
「糞…俺たちはだまされていたのか」
「日本人も出て行け…とおっしゃいますが、日本人は改革を支持しております。清の連中とは違います。法の下では貴賤内外平等…法治国家であれば大半の人間が幸せになる。不幸になるのはこの国でいう両班と宗主国としての立場がある清の人間だけ…だから彼らは権力を守ろうとしている。」
「しかし、我々は武装解除されてしまっている…」
「旧式兵器を無償貸与できます。ないよりはましでしょう。既に荷は本国を発しています。しかし、問題は決起の期です。早くとも遅くとも不利になります。同時に攻撃すること…それが最も肝要です。」
「わかった…両班共の支配…再開されればどうなるかわかったものではない。」
今回少な目。
毎月投稿をスキップする予定だった25日にも投稿します。