士官学校編-1 転入生の噂
本日2話投稿 2話目を正午に投稿予定。
台北 台湾総督府 1895年9月 田中義三
「田中義三曹長入ります。」
樺山に呼び出されたのは田中義三である。彼は日清戦争序盤から従軍。負傷により一時戦線離脱するもすぐに復帰。最終的に終戦後の台湾反乱への従軍まで従軍した。戦場で年を越しすでに19歳。
「田中義三曹長。本国から特命だ。士官学校の入学予定の繰り上げだ。次の輸送帰りに傷病兵と共に乗船。帰国してくれ。」
「士官学校への入学は12月からの実務経験がいるはずですが?」
「そうだ。一般の連中は12月から9月、幼年学校上がりの連中は春からだったか?の下士官としての実務がいる。だが君にはいらないだろう。ということだ。その分時間は短縮されることになる。」
「そうなのですか?」
「この戦争だけで1等卒から下士官に出世したのは異常だよ。そして戦場での経験もある。並みの下士官上がりの士官学校受験者とは違うと判断した。ま、判断に時間がかかって途中編入に近いがその程度の苦労背負って見せろ。」
「かしこまりました。直ちに準備にかかります。」
市ヶ谷 陸軍士官学校 荒木貞夫
「今年の入学には転入生があるらしい。なんでも中学も出ていない兵卒上りらしい。」
通常転入生のあり得ない士官学校そこへの転入生というのは驚きだった。
「どうやら入学前の下士官勤務もないらしい。まあ、戦争に従軍しているから必要なかったのかもしれないが、」
「いや戦中に下士官に出世したと聞いたぞ。」
無論、噂は尾ひれもつくが正しい情報もある。その中やってきたのは思ったよりも若い男だった。手には用箋挟をもって多数の紙の束。挨拶も名前だけ。出身も言わなかった
「フン、中学も出ていないから言えんだけだろ」
多くのものがそう思ったという。
創作裏話
本当は12月まで田中を台湾にいさせるつもりだったのですが、彼の経歴を見て12月までいる意味がなく、さらに今後の展開を考慮していさせるわけにはいかないことと判断いたしました。
ま、おいおい記述するつもりです。




