日清戦争 -4 列国の圧
とりまストック放出完了。 感想等見て更新を始めます。
古すぎて資料がすくねえ!! 書きにくい!! しばらくほぼ史実通りの流れをたどるので調べて書かないといけんしな―――
大鳥 圭介
「朝鮮は日清の撤兵を求めておる。じゃが、本国は兵を返してはならんという。理由はわかる。じゃが、これ以上は列強に対する印象が悪すぎる。」
朝鮮公使の大鳥は大鳥自身が日本にいるときに代理を務める杉村と話している。
「大鳥殿。一方的に撤退しようもんなら10年前以上に悪い。戦わずして逃げたという状態になる。これ以上なめられようもんなら日本は列強の植民地になってしまう。」
杉村が最悪のケースを述べる。
「む…」
大鳥はうなるしかない。
「それに朝鮮の近代化が進まなければ何度無法に難癖をつけられ、日本人が不利益のみならず、害される可能性が残り続けることになります。朝鮮政府が清朝と手を組み志士を暗殺した以上、朝鮮政府の近代化意思はない。我々が朝鮮を清国から分離、近代化させなければ、ロシアが南下。植民地化の恐れがあります。」
最悪でないケースでも同様であることをも述べる。
「大津事件の例もあります。法による政治がなされていない国家に世界は支持をしないでしょう。それは清国も同様。あの国も法による政治がなされていない国です。それを世界が理解したとき、日本に大義名分が生まれます。」
「法ならある。」
「法があるのと法で治めるとは違います。法を守る意識無き法は法治とは言わない。特に朝鮮は酷い。両班共は賄賂に法外な課税、法外な命令。従わねば私刑。自らを肥やすことにしか目がない。」
「それは今回の反乱の和平にてなくなる!!」
「信用できますか?これまで法すら守らなかった連中が、法を守ると言って。罪なき人間を暗殺するような連中を。その無法者と手を組み暗殺の実行役をする清国を。」
「…」
「態度で示さなければなりません。しかし日本にはその時間はない。10年後にはロシアはシベリア鉄道を完成させ、極東での南下政策を本格化する。それまでに主戦場となる朝鮮、満州での兵站すなわち、道路や鉄道の整備…他国に任せてはロシアの進出に間に合わない。朝鮮や満州に対しての兵站確保…これをせな10年後、日本は消えてなくなります。」
「…」
「祖国を守るために…今しなければならんことを考えねばなりません。」
日本 帝都 東京
陸奥宗光
「ロシア帝国は日本が朝鮮で動いてん兵力、輸送能力ん不足から十分な動きをとっこっができもはん。それ以上に強なんな英国。海上輸送によっ十分な輸送力んあっ海軍とそいを護衛すっ戦力じゃ。旗艦ん小型戦艦1隻ですら現時点の日本国主力艦以上に強力じゃ。」
英国の東洋艦隊は英国の中国利権を守る存在である。この時代の最新鋭の小型戦艦バーフラワー級センチュリオンを旗艦としている。この船は1894年2月に就役した新鋭艦である。中国の大河で運用することを想定し小型、軽量、低喫水を特徴としている代わりに主砲が標準的なサイズよりも小さい。25.4㎝連装砲2基を搭載している。
「川上さんは薩英戦争を見たのでしたな」
陸奥宗光がつぶやく。
「あん時代と日英ん差はさほど変わっちょりません。
軍艦ん砲は射程、威力共に英国が数段上回っちょっ。イギリスん参戦は祖国ん敗北を招っ。」
「ロシアの極東域南下政策を考慮して清国、朝鮮共に開国、近代化せねば対抗できん。近代化していない両国はかえって足手まといだ。特に今回、改革を約した朝鮮は改革するのか⁉ 大島からの報告ではする意思が見られんそうだが…。 いや、したとしてもロシアに接近する朝鮮王朝は排除せねばならん。無能な味方は敵以上に脅威だ。」
「朝鮮は今回ん内乱を鎮むっために清国軍を招き入れた。ロシアが来たとき、招き入るっやもしれん。そん先は日本じゃ。改革を確実に進めさせっには日本の影響下に置っ必要があっ。」
「一度叩き、それをもって改革を進めさせる…特に朝鮮はわが国主導で近代化させる。絶対に撤兵はできない。だが…問題は外国。大艦隊を要する英国、朝鮮に手を伸ばしつつあるロシア…どう動くことか…。」
大鳥 圭介
「やはりだめか…」
撤兵は認められなかった。日清両国にとってこの状況は不本意だった。平和を守るために大島は清国の朝鮮公使 袁世凱 と共に同時撤兵についての話し合いがあった。
袁世凱は朝鮮に清国への出兵要請を認めさせた際に日本の動員時間を甘く見積もりすぎていた。これには先制的に出兵、清による朝鮮の支配を確実にする意図があった。それが崩れた責任の一端は袁世凱にある。
つまりは袁世凱の責任逃れ、失点回避をも目的としていたと思われる。実際、日清戦争では彼以外に多くの失点がある戦局がなければ責任追及があったと思われる。
「本国は清、朝鮮共に信用できないとのことです。」
「だまして日本だけ撤兵させる可能性があるということか…。」
「それに朝鮮の近代化、影響下に置かねばロシアの南下に対抗不可能…朝鮮の近代化を考慮してもう待てない地点に来ていると判断しているようです。」
1894年 6月12日 陸奥宗光
「強く出るしかない。」
陸奥はつぶやく。
「現在、内閣はかなり危うい。このままでは日本の近代化すら倒れかねん。倒れれば列強が侵略してくる…。日本は…いや日本人は列強の奴隷になる」
政権が危うくなった場合、対外強硬策に打って出るのはよくあることである。
「朝鮮の近代化が成功しなければ日本も折れる。朝鮮の近代化は必須だ。」
確かに当時、政権の危機的状況ではあった。それを打破する。という1面はあった。それと同じ、それ以上に列強の植民地になる恐怖があった。政府、議会、国民すべてにである。
「日清両国による朝鮮の近代化…を提案する。どうせ…清は傲慢。朝鮮の独立、近代化など認めん。そしてそれを実行する能力もない。何せ自分たちは近代化できていないのだから。断れば日本国単独への近代化への大義名分が付く。」
陸奥は元来、皮肉屋、口の悪さで有名である。能力はあるがそういった面が嫌われた。
「そうなれば清は怒る。10年前のように戦を仕掛けてくる。それを口実に開戦。勝利すれば…諸外国も認め清も近代化に目覚めるかはわからんが少なくとも朝鮮を影響下に収め近代化はできる。」
以上のことは15日天皇へ奏上。明治天皇の猜疑の中承認。清国へ提案がなされた。
外交的にはロシア、イギリスが干渉の動きを見せた。
1894年 6月16日 漢城 福島安正
すでに日本は第9混成旅団8000の内、1000ほどを朝鮮に上陸させ、海軍陸戦隊と任務を交代している。先遣隊はこれらに吸収、すでに役目を終えている。そしてさらに1500の兵も仁川での揚陸を終えて漢城に向かっている。
その中、駐在武官の一人にいたのが福島安正陸軍中佐だった。
「福島中佐。本国の川上参謀次長からの電報です。」
彼に届くは本国からの電報である。渡された電報を読む。
「ロシアは動けん。兵站が持たん。」
福島は独り言を発する。
ロシアのシベリア鉄道はこの時点では建設中。ロシアが動くためには兵站が足りない。現状の維持だけで限界と判断できた。
「本国に伝えます。」
「頼む。田中君。」
この報告により、政府はロシア無視を決定、英国に対しての動きをとり、外交交渉を実施。1894年7月16日に日英通商航海条約が締結。不平等条約の改定に成功。
英国は同時期、清国に不平等条約を強いていたことを考えると、近代化などの状況では英国は日本を上とみなしたということに等しい。
「英国は認めたが…清国は認めるかな?」
陸奥宗光の毒舌が陰で炸裂したという。
陸奥宗光の毒舌描写は創作です。毒舌なのは事実ですが。