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「と言うことで2人が選ばれましたぁー、はい拍手!!」
「イエーイ」「………」
ローテーブルの周りに座った3人のうち、ハイテンションの前髪の位置が少し後転していき寂しくなってきた中年男性の拍手に、ぱっとしないが女子高生の無言の適当な拍手が真っ白い空間の中に響き渡っている。
男性の姿をした者の話を聞くまで死んだと言うことに二人は絶望し泣き合っていたが中年の男性は長く生きてるからなのか女子高生よりも立ち直りは早く、女子高生を慰めていたのも中年の男性。男性の姿をした者は女子高生が落ち着くまで2人をニコニコとじっと見ていた。
落ち着いたのを見て、話してみたが女子高生は全く嬉しそうではない。
「ちょっと温度差激しいねぇ?今流行の異世界転移だよ?女の子は知らないのかな?」
「………知ってますとも!」
そう言ってローテーブルに向かって手をたたき落とした。
「こんなもっちゃい女風情が行って何が楽しく過ごせんねん!?あれらは本の中の話やから成り立つねん!!こんなもっちゃいのが行ってもハイパースルー食らうわ!!!」
「お、おう、そ、そうか?」
そこなのか?っと男性の姿をした者が若干引きぎみになり、もう1人の男が声を上げた。
「いやまて、まだ若いのに何を言ってるんだ?俺なんて中年独身の彼女いないれ…コホン、最近髪が寂しくなってきたんだぞ?それに比べたら何とかなるだろう?」
「いやいやいや、異世界転移の女の子ってな美女か可愛い子限定の話やねんな?結局な可愛くないとかいってながら大体可愛いねんて!見てみ、この目!メッチャ重たそうな瞼につり目やし、テープとかの二重のメイクしてたら二重なると嘘やろ?ならへんし。そしてこの体型よ!キュッボンボンやで?誰よ、太れば胸でかなるとか言う奴!私のこの胸何よ?丘しかないわ!後それにこの足!大根やで?なぁ分かる?」
「肥ったのは自分のせいだろ?」
「五月蠅いわ!ほんま、ちょー、この姿で転移とかあり得へんわ。ってか私ら死んだんやろ?せやったら転生じゃないの?」
「え、あ、うん、そうだけどそうじゃないかな?君達死にかけたでしょ?その直前にこっちに来たから厳密には死んでない。君達の代わりの君達の姿をした者を置いておいたよ」
急に振られた話に驚き慌てて回答する男性の姿をした者。その回答をきき2人はため息をついた。
「そう言えばおじさん何で死んだの?」
「おじさんじゃない!……俺は…俺は…通勤電車で痴漢と間違えられて、駅でその痴漢にあったという奴の連れともみ合いになって階段の上から…な、たぶんこれだと思う…、」
「え、痴漢したの?」
「だからしてないって言ってるだろう!それに、俺は片手に携帯ゲームして片手鞄もってたんだぞ?可笑しいだろう?出来るわけないだろう?しかもその痴漢されたって奴が居た方の手で携帯ゲームしてたんだぞ?可笑しすぎる」
「あー…最近冤罪とか痴漢に仕立ててお金取ろうとする人が居るって言うよね」
「本当に世の中悪いことをする奴には迷惑するな…で、そっちはどうしたんだ?」
「私?私はね…友達と自転車で学校から帰ってるときに信号無視した車にはねられた?と思う…友達は前を走ってて横見たら車来てて…運転席の奴携帯いじってたの覚えてるわぁ…ノンストップで引かれたんかもなぁ?あぁー優菜絶対にビックリしたやろなー!」
「お互い付いてなかったな」
「ほんまに……ってかやっぱり転移より転生のが良かったわぁー」
「えっと、辞めとく?大丈夫だけど」
「いや、行きたい!行きたいねんけどこの姿変えれる?」
「姿も重要だが異世界転移と言えばチート能力は必須じゃないだろうか?」
「あっそれ言えてるーおじさんナイスー」
「おじさん言うな!…あと少し要望を聞いてもらえると有難い」
その二人の話に少し悩んだ男性の姿をした者はまぁ良いかと思い二人に良いよと返事をした。
「よしきたー!ありがとうお兄さん?」
「では、僕の世界の話を大まかに話すから少し二人でどうしたいか話し合ってくれるかな?」
「「分かった」」
男性の姿をした者の所は、魔法あり、魔物あり、貴族あり、冒険あり、精霊や獣人などの人間以外の種族あり、色んな神様おり、世界観は中世ヨーロッパが近い気がすると。そして、異世界から呼ぶのは初めてらしいので、楽しく過ごせるようにはすると、約束した。
その後、2人はあーでもないこーでもないと話し合い、途中で紙をもらい箇条書きで欲しいものを書き始めた。白熱し途中2人の想像が妄想に変わり、何の役をしているのかと聞きたくなる迫真の演技…。
そしてようやく2人はその紙を、男性の姿をした者に渡した。
「うーん、よくあるやつだね?言語読解能力に全属性の魔法、魔力の高さ、魔道本、千里眼、あ、美少年少女ね…あと年齢が女の子が5歳に男の子が7歳…それに町外れに僕の加護が付いた家にこっちの娯楽、インターネットが出来るタブレット、錬金術の能力に、各種チートスキル……多くない?」
男性の姿をした者が2人を見ると、2人はさっと視線を逸らした。
「はぁ…流石にこれ全部はきついかな…んーそうだね、転移だからそこの言語を話せない読めないのは可哀想だからそれはありで、全属性とか魔力の高さ錬金術、魔道本は別に良いけど…自分のステータスだけ見られるようしてあげるね?あと、各種チートスキルは習得しやすくしておいて上げるから自分達で頑張って手に入れて……それからぁー…オウトから少し離れたところに僕の加護付きの家建ててあげるよ。と言っても魔物が来なくするぐらいだけど…でもそれは十年の期限付きにしておくね?で、インターネットはどうするの?」
「中世ヨーロッパと言うことは現代人からしたら不便ですので、調べて対応できたらと思います」
「あ、ああーなるほどね…まぁいいかな?それはステータスにリンクさせておくね?でも、見るだけね?書き込みは出来ないからね?もうこれでいい?」
「また追加することは可能でしょうか?」
「えー…後出し的なの面倒くさいなぁ」
「ですよね…3回までとか…?」
うーんと悩んだ後、まぁ良いかと思いOKをだした。
「すぐには来られないかもだけれど、二人揃ってる時に呼んでね?」
「「分かりました」」
「宜しい!では、いってらっしゃぁい」
そういった男性の姿をした者が手を振り2人は真っ白い霧に飲まれ意識がブラックアウトした。
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