11 四日目
ご無沙汰しております。
木糸を使った生地を買え、作った人と話せる機会を逃してうなだれていた作者です。
ヒューゴと別れた2人は家に戻り肉を出し塩と胡椒を振りフライパンで肉を焼いて口に頬張ると2人は「これよこれ!!」っと言って肉を平らげ、朝に作ったホットケーキ擬きを炭水化物として摂った。
「なぁー、牛乳もいるけど鳥もいるんちゃう?やっぱりフワフワホットケーキには必要やで?」
それを聞き蓮も確かにと頷きそうだと手を叩いた。
「鳥の魔物でも探しに行こうか?」
「………よしシナノキで糸でも作ろかー、さっさとして服とかクッションとか布団とかいるしー」
キラキラした笑顔と目を向けてくる蓮を無視して鈴華は席を立ち上がりシンクの前にある台に上り食器を魔法の水で綺麗にし、cleanの魔法をかけた。
「蓮、早よしないと冬きてまうで?早よしいやぁ?」
「あ!その事なんだけどね、良いこと思いついたんだ」
そう言いながら蓮も席を立ち鈴華と同じようにシンクで食器を洗いcleanをかけ棚に戻し、鈴華の背中を押して外に出た。
「なんやの?ええ事って?」
「まだ出来るか分からないけど、前に鈴華がlightの魔法を使って見たけどつかなかったでしょ?もしかしたら何もないのに光るって現象が出来ないのかも知れない。だから、出来る物でやれば良いのだと思うんだ。例えば薄ーく体の周りに結界でコーティングして見えない空気の壁を作ってその壁と自分の肌の周りに暖かい空気を纏えばいいんじゃないかと思うんだ」
「あぁーね……うーんー…どうやって?」
「まぁ見てて?」っと蓮は言って透明の膜をイメージしつつ結界を張り次に周りの空気が気体から液体にかわるときに発生する熱を想像しそれを冬のエアコンの風で吹いているイメージをしながら次を唱えた。
『暖房』
「日本語かよ!!」
「……エアコンを想像してたらね?」
頬をかく蓮を、「せやかてなぁー…」っとジト目で蓮を見て鈴華はある物を思いつき、ならば!っと自分の周りに薄い膜を張るイメージをし結界を張り空気中にある水分を火魔法で温め温度調整をし……っとこれでもかとイメージを膨らまし唱えた。
「『湯たんぽ!!!』…………ぉぉぉーー!!この暖かさ!この何もないはずやのに包み込む柔らかい布団の感じ!最高やわ!」
おおー!っと2人とも感心していたが急に蓮の魔法は切れ、地面に座り込んだ。「どないした」っと蓮に声をかけようとした鈴華も魔法が切れ座り込んでしまった。
「「魔力切れーーー!!」」
「やっぱり、大人しく糸作れってことかな?」
「あーもう!」っと鈴華は叫び魔力が少しでも回復するのを待って、2人はシナノキがある方に向かった。
2人とも魔力はまだ心許ないので錬金術ではなく魔法も併用しつつ作ろうという事になった。蓮はシナノキを魔法で剥ぎ取り魔法で水魔法を使って乾燥させている間鈴華は木を魔法で燃やし灰を作った。
「なぁーさー、この木可哀想ちゃう?皮剥がれてさぁー、いっそのことこれで紙が何かつくらへん?」
それも可哀想では?と思ったが有効利用させてもらうのもありだが、今後まだこれは必要なので、植物系の魔法を覚えて養殖したり成長促進させるのもありだと思い、「まだ、置いておいて後で使おう、でも枯れるだろうから、切り倒しておいておこう」と言って作業に2人は戻った。
ここでまた魔力の残りが少なくなってきたので、2人はそれを軽く浮かして押して家に持って帰ることにした。
次に鈴華が結界を鍋のように張り蓮が火と水魔法を使って熱湯をつくり、鈴華に確認しながら場所を聞きその鍋らしき処に先程剥いだものを少し入れ、そこに鈴華は灰を入れた。蓮はぐつぐつと灰汁が沸くのを見て、先程剥いで乾かしたシナノキを入れ灰汁煮をしていく。
「なぁー、これさいつまでやんの???地味に面倒なんですが」
「うーん…確かに…」
「ちなみにどれくらいやるか知ってる?」
「ニコリ」
「………あー、しらんとね、、、ここは錬金術の出番ではないですかいない?兄さんや」
「……妹よそれは私もそう思っていたよ。すこしの間1人でやって貰えるかな?魔力回復させてやらないと今の状態では早々に魔力切れになって失敗するかも知れない」
鈴華は渋々了承し、1人結界に入れた木を見ていた。
…
………
「って!寝てるとかどう言うこと!!!!?」
黙々とネットで調べながら、あーでもないこーでもないと1人ブツブツ呟いていたら、やけに静かだと思い、蓮の方を見ると椅子に座って寝ていた。
「何寝とんねん!さっさと起きろ!!ほんま何してんの!?潰すぞ!!」
あえて何が?とは言わないが足を上げて蓮のある部分に下ろそうとしたところ、蓮は危険を察知し起きて椅子から飛び降りた。
「ちょ、それは、駄目だ!!俺ではなくなる!!」
片手で一部をてで隠しながら片手を鈴華の方に向け距離を少し取る蓮。
「知るか!!そんなモン!」
そう言いながら回し蹴りを繰り出す鈴華。
「こちとらもう限界なんじゃ!はよやれよ!!」
それを片手でいなしながら避ける蓮。
「分かった分かったから!!ちょ、結界だけ保ってて!ほらやるから!ちょ、また足で蹴ろうとしない!女の子でしょ!?」
「レディーファーストを一切しない蓮が女の子とか言ってくんな!今だけんなこと言っててもあかんで!!」
怒る鈴華を何とか宥め、錬金術に入ろうと空中でぐつぐつと煮ているシナノキの前に立った。あんなに怒り動いても、鈴華は魔法を切らさず結界を張り煮ていた。
「ほんまこっちやばいねん、早よして……」
よく見れば鈴華の顔は蒼白である。蓮は「分かった」と返事をし糸になる工程を思い出しながら錬金術をかけた。
「よし、糸ができた……」
その言葉を聞いた鈴華は庭に向かって灰汁を捨てて、椅子に倒れ込み、蓮も力尽き椅子に座り込み2人ともその場で寝てしまった。
読んで下さりありがとうございます。