#2 頑張れ木嶋!負けるな木嶋!
書き手: ◻︎米内 廉
なんか城之内殺されたんで次回無茶振りしてやろうと思いました。まる。
「あの何を考えてるか、よくわからない辻組がいきなりカチコミに来やしたぁ!」
その場に緊張が走った。
固まる相棒。
眉間に皺を作るボス。
指示を仰ぐモブ。
一見動じてないかのように見える木嶋。
良く見ると白眼をむいてる木嶋。
拳を握って滴る手汗を誤魔化す木嶋!
小刻みに震える膝を必死に抑える木嶋!
頑張れ木嶋!
負けるな木嶋!
「野郎……とうとうウチの島に上がって来やがったか……ッ」
ボスは怒気を隠そうともせず威厳のある声音で呟いた。
余りの圧力に、ビクリと肩を跳ね上げたモブが、どうしましょうか?と恐る恐る訊く。
すると鋭く目を尖らせたボスはそれぞれに目を配った。
「お前ら、あのアホ共を血祭りに上げるぞッ!!」
「「「応ッ!!」」」
「そう言やぁ発砲音がしたなァ。奴らいよいよ喧嘩に銃持ち出しやがったか。」
ボスはホルスターに手を置く。
それを見て木嶋は「(いや、そう言うボスは普通に喧嘩で撃ちまくってんじゃん……)」と思ったが、これは言わぬが花だろうと口をつぐむ。
代わりにモブが口を開いた。
「いいえ、奴らは銃なんて持ってませんでした!」
「じゃあなんだあの火薬が炸裂した音はッ!!」
「ただのクラッカーです!」
「何考えてるんだあのアホ共ァァァ!!」
ボスの怒声がアジトに響くのだった。
☆☆☆☆☆
———アジト・エントランス———
モブがボスの部屋に駆け込んだ頃。
エントランスは乗り込んできた辻組のチンピラ共とそれを迎え撃つ浦賀組の組員が暴れ回り、混乱を極めていた。
「オラァん!!浦賀の野郎共ぶち転がして新作の爆音クラッカーの実験台にしてやらぁ!!」
「兄貴!!蒟蒻耳栓の存在も忘れないでくだせぇ!!」
「おっとそうだったな。よーしお前ら、まとめて試し斬りすんぞ!!」
「「「ひゃっはー!!」」」
と辻組。
「あのアホ辻の奴ら、また新しいゴミなんて作りやがって!!毎回毎回お披露目に付き合わされる俺らのことを考えろってんだッ!!」
「……前々から思うんだが、あいつらなんで俺らんところしか来ねえんだ?」
「知るか!それより追い返すぞ!」
「「「応!!」」」
と浦賀組。
まさしく混乱の極致である。
ボス達が参戦したのは、それから五分後のことだった。
☆☆☆☆☆
「なんだこれは……?」
駆けつけて早々、ボスの独白が後続の木嶋達の耳に届く。
彼らは佇むボスを避け、エントランスの惨状を目にした。
「こ、これは……何事マンだ?」
「あぁ、また後片付けが大変なことを仕出かしちゃって……。」
「(たのしそう)」(白目)
彼らの視線の先には、散らかったクラッカーの残骸と、何に使ったのか床や壁に張り付いたゲル状の物体Xが。
そして転がる浦賀組の組員達をジェンガのように積み立てて遊ぶ辻組の連中の姿があった。
まるで通信制限にでもなったかのように唖然と立ち竦むボスら四人。
そんな彼らに辻組の組長が気付き、口角をニタリと釣り上げた。
「……おうお前ら、喜べ。新しいお友達のご登場だ。」
「「「うおおおおおおぉぉ!!」」」
はしゃぐ辻組の面々。
拳をパキパキと鳴らすボス。
殺る気満々に肩を回す相棒。
顔がひきつるモブ。
ガタガタする歯の奥の音をかみ殺す木嶋。
実はちょっとちびった木嶋。
込み上がるなにかを喉元で胃に押し返す木嶋!
三途の川を幻視した木嶋!
脳内で素数を数え始めた木嶋!
頑張れ木嶋!
負けるな木嶋!
彼らの戦いはこれからだ!
次回、『木嶋覚醒!猛威を振るう木嶋の第二ボタン!』
デュエルスタンバイ!
千土、後は任せた……( ˘ω˘ )