前日譚 〜冷やし小説、はじめました〜
とりあえず、前日譚はリアルであった話です。
↓大体こんなノリで書き始めました。↓
◻︎米内 廉
それは、暑い暑い六月上旬の午後だった。
俺はふと思った。
「なんか作ろう」
と。
大学に入って早二ヶ月。
連綿と続く代わり映えのない日常により、俺の青春(?)はすでにマンネリ期へと突入していた。
このまま四年間が過ぎるのかと想像すると鬱になるというもの。
これはまずいと危機感を募らせた俺は、焦燥の末に新しいことを始めてみようと考えた。
そんなこんなで至った結論が『なんか作ろう』である。
別に、突然妙ちくりんな科学反応が起こった訳ではない。
前々から俺は大学でできた友人の “千土 戊” に『せっかく四年あるんだから二人で何かしようぜ?』と持ち掛けていたのだ。
それが度重なる深夜テンションへの突入によって精神が異常を来し俺の魂の格が遥かな高みへと至ったのか、とうとう行動に移す決意を固めたというだけだ。
ちなみに俺はやばい薬をやってる訳でもエナジードリンクをキメている訳でもないのでいたって正常だ。
こうして俺は「ちょっとコンビニ寄ろうぜ?」感覚で千土を構内併設のコンビニに連れ込み、なんか流れでなろうに登録した。
この間、僅か5分の事である。
千土は非常に困惑していたが、んなこたぁどうでもいい。
強引に押し切った。
それはそうと、『新しいことしようぜ!』と言っておきながら “なろう” になった理由は他でもない。
そのお手軽さ故だ。
実は以前、『You○ubeでホラゲ実況配信しようぜ!』なんて話になって千土の家に上がったのだが、いかんせん機材が無く、配信できる環境ではなかったので計画がソフランも腰を抜かす程白紙に戻り、泣く泣く諦めたという経緯があった。
そこで出てきたのがなろう小説だ。
楽で早くて簡単。
まあ、言葉にしてみればそんなしょうもない理由だが、根拠としては十分だろう。
クラシアンだって安くて早くて安心をモットーにしてるくらいだからな!
てなもんで、現在。
俺と千土は卓を囲んで(挟んで?)製作する小説の内容を詰めていた。
「さて、これから投稿する内容を決めたいと思うんだが、どうする?」
俺が言うと、レモン牛乳アイスをもっちゃかもっちゃか食ってる千土が『どうしようねー』と適当に相槌を打つ。
ちなみにこのレモン牛乳アイスは千土がコンビニで買ったものだ。
正直匂いがすごくて言うべきか迷うんだが、んなこたぁ置いといて。
俺は千土にこう提案した。
「決まんないなら、いっそサイコロで決めちゃうか。」
と。
いや、別にめんどくさくなったからじゃないんだからねっ//// (誰得?)
なんとなく、社会勉強の一環としてアドリブ力を上げる訓練になるって思ったんだからっ////(略
そういう訳で、俺の伝えんとすることをまとめると以下の通りだ。
・『ジャンル』『主人公の性格』『主人公の性別』について六つの選択肢を用意し、サイコロを振って決める。
・そこで出た結果を設定として盛り込み、なるべくその場で小説を創作する。
・尚、小説は最低1,000文字で一話一話を交代して進め、出来る限り続けるものとする。
・どうしても無理がある場合はその人の番で完結させる。
・但し、小説は最低限四話、つまり三回交代するまでは必ず続けるものとする。
以上。
で、先ずは前日譚を言い出しっぺである俺こと米内 廉が務めることになり、次回千土が小説の第1話を創作すると決まった。
しかし残念なことに今手元にサイコロが無いので、始めるのは明日からだ。
それでも選択肢を用意することはできるので、それはちゃっちゃと考える流れになった。
最初の議題は、ジャンルである。
「どうする?千土。」
「えぇ……じゃあ米内から言ってよ」
「よしきた!」
俺はきったねぇ字で手元の紙に『1.バトルもの』と書いた。
世にごまんとある使い古された王道中の王道。
無難な答えだ。
俺が書き終わると、千土が前のめりになって紙を覗き込んできた。
「バトルものかぁ。……じゃあ恋愛もので。」
千土が呟く。
俺は適当に返事をすると紙に『2.恋愛もの』と書き足した。
「で、次どうするか。」
「米内なんか無いの?」
「ええー?じゃあこれで」
言うや否や、俺は『3.ヤクザモノ』と書き足した。
「任侠かよ!マジでやるの?」
「いや、少しは捻り欲しいじゃん」
「そうか。……そうかぁ。」
なんだか釈然としない千土だったが、結局は変えなかった。
あと俺のネタが尽きたので千土に残り3枠押し付けた結果、以下の通りになった。
『1.バトルもの』
『2.恋愛もの』
『3.ヤクザモノ』
『4.SF』
『5.ミステリー』
『6.戦国もの』
なんか異物が混ざった気がしないでもないが、こんなところだろう。
そんなこんなで、次だ次。
「ジャンルが決まったことだし、次は主人公の性格に移るぞ。」
「オーケー。じゃあ米内からな。」
「よしきた」
俺はきったねぇ字で『1.ツンデレ』と書いた。
そして千土が例のごとく紙を覗くと、目を丸くする。
「え、主人公だぜ?これでやるの?」
「ネタ枠あった方が面白いだろ?それに心配すんな、六分の一だから。大丈夫大丈夫!」
なんだか一瞬フラグの波動を感じたが、当たっちまってもそれはそれでいいと思うんだ。うん。
「次千土な。なんか言って。」
「じゃあ、主人公っぽくで。」
「え?何それ。」
「ほら、『うん』とか『ああ』とか口数少ない奴」
「なるほど、わからん。それ無口でいい?」
「いや、あれだよ。ペル○ナ的な。あるだろ?そういうの」
「ああー、ペ○ソナね。わかった。」
俺は紙に『2.無口』と書き足した。
え?わかったんじゃなかったのかって?
いやキタローも番長も屋根裏部屋のゴミも無口じゃん。あってるよ。あってるあってる。
「んじゃ次俺書くな。」
「わかった」
俺は無口の下に『3.チンピラ』と書き足した。
千土が覗き込むと、眉を寄せてこちらを見た。
「米内まだ任侠引きずってるのか。これ当たったらどうするんだよ。」
「大丈夫大丈夫。六分の二だから心配すんな。」
「三回に一回当たるじゃん!」
「うるせえ!次千土だぞ!言え!」
「ええー、わかったよ……。じゃあ常識人で。」
「はいはい、常識人ね、っと。」
俺は紙に『4.常識人』と書き足した。
うーん、なんか普通。
「ちょっと面白みに欠けるからあと俺やっていい?」
「え、お前で大丈夫か?不安しかないんだが。」
「大丈夫大丈夫!六分の四だから!」
「やっぱりネタ枠かよ!しかも確立高い!」
そんな訳で出来た六枠がこうである。
『1.ツンデレ』
『2.無口』
『3.チンピラ』
『4.常識人』
『5.ドマゾ』
『6.中二』
自分でやっといてあれだが、不安しかねぇ!!
でもこれボールペンだから消せないんだよね。うん、これは仕方ないんだ。
「さて、性格が決まったところで次行きましょう。」
「スルーかよ……。まあいいけどさ。で、次は性別か。これは二択だしコイントスにするか?」
「は?何言ってんだよ、性別は二種類だけじゃないよな?六枠埋めるにきまってんだろ。」
「え?」
「え?」
……………
………
…
『1.男』
『2.女』
『3.中間』
『4.両方』
『5.無性』
『6.オカマ/ニューハーフ』
…
………
……………
「いや米内お前これどうするんだよ」
「ははははっ、収集つかねえ!これ全部ネタ枠の組み合わせだったら地獄だな!!」
「えぇ……(困惑)」
確率が高いのがまたなんとも言えない。
ちょっとやりすぎたかなと思わなくもないがボールペンで書いちゃったから消せないんだよね。しゃあないしゃあない。
何はともあれ選択肢はできた。
あとは明日のサイコロに委ねられた。
さあて、どうなることか。
明日が楽しみだ!
と、思っていたのが昨日の話。
本日大学の授業が終わってから千土がサイコロを振った結果がこちらになります。(三分クッキング風)
ジャンル: 『3.ヤクザモノ』
主人公の性格: 『2.無口』
主人公の性別: 『1.男』
……いや、普通だなオイ。
千土お前引きいいな。
俺としてはせめて性別だけでもネタ枠当てて欲しかったところだが、一度決めたものは仕方ない。
男には二言も遺言もないのだ。
と、言うわけで次回千土がヤクザモノの小説の第一話を投稿します。
お楽しみに!
二話まで作ったので、ストックを放出します。