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その後のパンドラ  作者: 緑谷トンビ
序章 二匹の虫
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第3話 汚れた夜明け-2

今回から少しの間グロテスクな表現があります。

お読みになる際はお気を付けてお読み下さい。

「イヤな夢を見た」

女はぼんやりと床を見つめながら呟く。


「夢だぁ?ハハッ驚いた。

 愛想の一つ所か殆ど話さなかった女が俺みたいなクズに弱音か?」

「ああ、だが今聞いてくれるのはお前しかいない、あとはこいつだけだ」


「こいつ?例の憑き物の事か?

 あんたが呪われているのは知っているが驚いたな

 呪いとおしゃべりが出来るのか?」


パンドラは樽にもたれかかって

俯いた姿勢のまま話す。俺と違って樽には縛られていない。

代わりに白い法衣で体を

包まれ両肘の高さを後ろ手に縛られている。


「それよりパンドラ、気付ているか?

 あんたの魔力を抑え込んでいるのは精霊の法衣。

 大量の精霊が住処にした幻のアイテムだ。


 俺は魔法やら呪術やらに疎いが精霊ってのは

 自然と理の代弁者だという。

 自然を破壊し理を破る者を修正しようとするそうだ。


 つまりはこの世を破壊し自然界をも自分の力と欲する

 魔神だ。法衣に住み着いた精霊達があんたの中の魔神を

 寄ってたかって締め付けている」



パンドラは黙って聞いている。それにしても

この女えらく汗をかいている。息も少し荒い。

一晩寝たにしては体力を消耗し過ぎている様に見える。


「えらく値が張る、そもそも極端に入手が難しい

 それを野党風情が持ってるのはおかしい。


 きっと最初から仕組まれていたんだ。

 あんたを捕らえる為にでかいパトロンが着いてる」


「そうか、光栄だな」


「笑えるかよ、伝説の魔神が拘束され手も足も出なかったんだ。

 大体奴らはマヌケだったんだ。

 あんたを最初に襲った剣士、あれも裏じゃ名の知れた男だ。

 あんたの為の山ほどの罠も。それを子供をあしらうみてぇにぶっ壊した。


 大したもんだよ。それなのに、奴らが苦し紛れに人質を、

 通りすがりの見知らぬガキをよぉ、クソッ!何で構わず戦わなかった?」


「お前に言われたく無い」


ああ、そうだな...

その通りだ、クソッタレ!


俺も結局武器を捨てた。捨てちまった!

今まで散々世間から捨てられて来ただけのクソみたいな俺が!

最後は自分のちっぽけな感傷を捨てなかったのか?!今更なにを?


俺は隣の女を苦々しく睨み何とか誤魔化そうと口を開く。

「ア、アレはなぁ」


「ゼタ、私の胸を見ろ」

「はあ?てめえ、イカレたか?こんな時に何言って...何かあるのか?」


パンドラは体をずらし俺の方に胸が見える様に向き直る。

パンドラの首から視線を下げ、奥を覗き込む。


胸元には赤く焼き付いた刺傷の様な模様がある。この小さな模様が伝説の箱か?

その下には柔らかな肌とそれが作る暗い溝。

もしこれが冥土の土産なら充分気が利いている。

だがそんな光景よりも目を引く物があった。


よく見るとパンドラの胸の辺り、法衣の上、何か動いている。いや、うごめいている。

「ウジか?ウジが法衣を食ってやがる。」

次回は平日の夕方投稿予定です。

土日の間これまでの文章に修正が入ります。

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