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その後のパンドラ  作者: 緑谷トンビ
序章 二匹の虫
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第2話 伝説の罪ー3

世界を救った伝説から50年程経つ。

世界は争いも無く魔界の住人達も大人しくしていた。

賢者が災いを閉じ込めた箱は小さな島に収められていた。


島の者達は賢者に認められ、箱を受け継ぎ守り続けた。

その島は尊い役目を果たす聖なる村とされ島民達は世界中からの

祝福と恩赦を受け大切にされた。そこへ1人の旅人が訪れた。



女の名はパンドラ、旅の剣士だった。

女はどの組織にもどの国にも属さない1人で旅を続ける変わり者だった。

女は島民に暖かく迎え入れられしばらく村に留まった。


ある日の夜、新月の夜だったという。

女は島で最も強いとされる箱の守り手を殺し、箱の祀られた塔を登った。


一体何故なのか?理由は誰にも分らなかった。

女はその箱を開けた。


災いがあふれ出た。

伝説の魔神達が箱から逃げ出し世界中へ逃れていった。

悪徳は世界中を駆け巡り人々の心に帰っていったという。


世界は再び堕ちた、災禍さいか奔流ほんりゅうへ。

魔神の影に怯え、人々は互いの心の悪徳にも怯えた。

そして人々が争い合うのに時間は少しも掛からなかったという。


箱から飛び出たかの様なその戦争はパンドラ戦争と名付けられた。

勇者と賢者の伝説から初めて起こった戦争は

後に続く戦乱の幕開けとなる一戦だった。



女はその混乱の中、生き残っていた。

女は箱を開けた後、自身の体に伝説の箱そのものを取り込んだという。


神の呪った1枚の大きな絵と共に


逃げ損ねた1体の魔神と共に



「まるで良く出来たおとぎ話だ」


魔神というのは分かる、俺は会った事も見た事も無いが

実際ヤツ等が残した凄まじい傷跡が世界各地にあるからな。


一枚の大きな絵は俺には分かりかねるが有るっつーんなら有るんだろう。


だが三つ目、これは笑えるぜ。人の悪徳が箱から出てきただと?

箱を開ける前はそれが無かったとでも言うのか?

俺にはそうは見えなかったがな?


それにパンドラ戦争と言うが、最初の開戦の時に俺は戦地にいた。

戦争が終わった後、その戦争はパンドラが原因だったと聞かされた。


だが、どれだけの人間が気づいているだろう?

俺が血の雨に濡れていた時は綺麗な満月が出ていた。


あれは月が欠け始める前、その時箱はまだ...


箱を開けたがばかりに、でけえオマケまで貰った訳だ。

「伝説のマヌケだな」


もうすぐ夜明けか、起こさなくては、


この隣で寝ている俺の頼もしい同行者を


呪われたバケモノ女、今は武器も取り上げられ魔力も封印された無力な女。

俺と同じ死を待つだけの。


「パンドラさん、パンドラさん」


第3話 「汚れた夜明け」へ


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