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その後のパンドラ  作者: 緑谷トンビ
序章 二匹の虫
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第5話 不知火は未だ泣き止まぬ-4

しっかり見てくれている、合計8っつの瞳が俺に

釘付けだ、バレンの目だけ気に入らない。


俺の話に動じるでも無く

まるで檻の外の生肉を見ているトラの様だ。

エサの時間になれば檻は開く、それを知っていて

奴は少しも慌てていない。


だが、案外悪く無いかもな?



「魔法教会だって?」

若輩の頭領ケーリアが尋問を始める。


「魔法教会と言えばパンドラを雇い

 災い拾い、つまり各地の魔神を箱に

 封印させている張本人だよな?

 それがどうしてパンドラを捕らえさせるんだ?

 

 お前は私達の取引が行われないとも

 言ったな?どういう事だ?」


お利口だお嬢さん。そのまま素直に釣られていてくれ。

 

「落ち着いて下さい、先ずは1づつ説明させて頂きます」


バレンが一言だけ口を出す。

「手短に話せ」

チッ、檻の中のトラだか蛇だか野生の獣には

明確な少しの言葉しか通じない。

ちんたら引き伸ばさない方が良いな。



「はい、それでは魔法教会が取引相手である

 理由から。

 理由は簡単です。皆さんには本来無理な

 仕事だったからです」


「なんだと?」

若い兄弟の兄の方、ラズが不機嫌な顔を見せた。

「...続けさせて頂いても?」

少し奥にいたゴダが代わりに答える。

「続けろ」


「皆さんは魔神の力をご存知でしょうか?

 私は各地を旅しながら生きてきました。

 一度見た事があるのは

 とても背の低い山です。


 簡単に頂上に登れます。

 なにせ頂上は人の胸の高さくらいでしてね

 ただし頂上に登れてもその中心に行くには

 歩いて半日かかります。


 それくらい大きな山だったんですよ。

 その大きな山を削っちまったんです。

 過去の魔神がね。それくらいの力を

 持っているのが魔神です。


 それを考えれば、皆さんの力も

 ご用意された罠の数々も明らかに心もとない。


 この女は対魔神戦を想定された戦士です。

 実際この女の中にいる魔神がいつ暴れても

 不思議じゃない。


 皆さんはそれを抑えられましたか?」


沈黙が生まれる。俺は話を続ける。

「そこの乱入者が居なければ、

 パンドラ自身が自ら捕まろうとしなければ

 この状況はありえなかった。

 

 つまり最初から取引相手は失敗するつもりで 

 あなた方に依頼した。


 バレンさんも仰いましたよね?

 失敗はヤバい、教会を敵に回しかねない。

 それなのに、この取引は失敗を前提としている。


 失敗しても何の問題も無い、そんな相手は

 魔法教会当人に違いありません」




「俺達は噛ませ犬ってか?」

ラズが睨む。

「に、兄ちゃん」

ドカが不安そうに自分の兄を見る。


「待て、何故そんな事をするんだ?

 教会に何の得があるっていうんだ?」

ゴダが最もな質問をする。 


さあ、何でだろうな?それらしい話は

用意出来たが、さて、時間は稼げているが

ここから機嫌を損ねれば俺が殺されかねない。



「パンドラは災い拾いを始めてから

 およそ7年ほど経ちます。

 その間、封印に成功した魔神は

 ゼロです。7年...パンドラが

 本当に魔神と戦う気があるのか

 そろそろ疑われてもおかしくない。


 そして何よりパンドラの中の

 魔神を7年の間誰も見ていない」


「何が言いたい?」

ゴダが結論を急かす。


「7年も何も無かったんだ、

 パンドラの中に魔神は本当に

 存在するんでしょうか?

 大きな1枚の絵とやらは?


 そもそも箱は?


 賢者の箱から逃げ出した魔神達は

 8体です。パンドラの中に

 魔神がいるのなら7体。

 長い箱の拘束により弱った魔神達は

 各地のどこかへ隠れ力を蓄えているといいます。


 言わば冬眠だ。その冬眠からもう目覚める

 魔神もいるかも知れない。


 教会が焦りだす頃合いです。

 だから一度くらい見てみたい

 パンドラの中の魔神を、パンドラに

 魔神と対決するに相応しい力が

 あるのかを」


「なるほど、俺達は実験動物に与えるエサか?」

ゴダの顔は笑っているが不愉快には違いないだろう。


「ですからこの取引相手の思惑は

 外れたことになる。そこにいる乱入者、

 イレギュラーのせいで。


 逃げた方が良い。取引自体が失敗を想定したものなら

 あなた方は取引が終わった後、

 死んでいる予定だったかも知れない。

 はたして教会が死人に報酬を用意しているでしょうか?


 ここにいれば十中八九、消されます。

 出来れば私も連れて行ってもらいたい。

 いや、縄を解いて置いて

 行ってくれるだけでも良いんです」



「な、なんだよ、それ」

「に、兄ちゃん、本当だったら...。」

若い連中は動揺している。


ケーリアも気丈に振舞ってはいるが

不安を隠しきれていない。

ゴダは黙って考えている様だ。



どうだ?この与太話で逃げ出すマヌケなら

助かるんだが...



「話は終わったな」

バレンが話し出す。盗賊達が実質のリーダー

に注視して言葉を待つ。


「くだらねえ」


第5話「不知火は未だ泣き止まぬー5へ」


次回は12月11日火曜日に投稿予定です。

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