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マジック × ワールド:アーニユ(Magic × World:Ániyu)  作者: 川崎雨御
第二章:死者の復讐編
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第二章18:カルメンの行方 ④

 十字路の迷路、その中心の真上に見つけた階段、オーフィスターニャたちはそれを登って、別の場所に辿りついた。 美しく穏やかな場所、生物の気配は依然に感じとれないが、オーフィスターニャたちはそれでも美しい風景に見蕩れていた。

 その時、彼女たちは子供の笑い声を聞こえた……その声は前方から聞こえる。 彼女たちは直ぐに警戒態勢でゆっくりと前進した。 先頭に前進してるオーフィスターニャが一番広い空間に着いた、彼女が最初に見たのはしゃがんでる木像と……その後ろに走ってる子供の背中が奥に続く眩い光の道に入る姿だった。 オーフィスターニャがあの子供をカルメンと呼んだ直後、唐突に木像がオーフィスターニャを襲いかかった。


 全員はその空間に閉じ込められ、そして唯一脱出方法は木像を倒すこと……しかし交戦する前にオーフィスターニャがあるセリフを話し、あっという間に全員のやる気をなくしさせた。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 ゼロがツッコンで十秒経過した。 オーフィスターニャたちはその間に立ち直り、再び攻撃態勢を取る。 全員は何も言わず、ただ目の前にいる敵に集中していた。


 木像が仕掛けてくると思ったオーフィスターニャたちは思わぬ行為を取った……木像は両腕を高く上げて、そのまま振り下ろし、地面に叩く。 あまりにも強く叩いたことに、まるで地震を起こっているのように地面が揺れる。 彼女たちは少しだけ体勢を崩れたが、奇妙なポーズでバランスを保った。


 オーフィスターニャとミネルヴァはお互いを支え合って背中と背中くっ付いてる。 ミネルヴァは両刃の斧を地面に刺し、彼女たちは斧のおかげで転ばずに済んだ。

 レスターの右足が後ろへさげて、左足は内側へ移動し、上半身は右へ曲がってる。

 カティアだけは完全にバランスを崩し、後ろへ倒れるところをゼロは彼女の後ろから体を支えようとしたら、ゼロ自身も少し体勢を崩し、跪く姿勢でカティアを支えた……彼女の尻はゼロの膝の上に座った。


 それぞれ奇妙なポーズしてからまたしても沈黙の十秒が経過する。 気まづい十秒間、そして敵は全く攻撃する気配がない。

 しかし、木像が地面に叩いた後、地割れが現れ、そこからなんと! 異様(いよう)石像(せきぞう)、三体が地の底から這い上がってきた。 不完全な角、不気味で恐ろしい面構え、図体でかい、腕と足もちゃんと生えている。


 オーフィスターニャたちは本来の警戒態勢に戻し、お互いはチラリと見て頷く。 すると、オーフィスターニャたちが分散する。

 三体の石像は木像の前に立ち、列で並んでる。 対してオーフィスターニャたちは石像たちと対峙する。 レスターは左側にいる石像と対面する。 右側の石像はカティアとゼロが相手をする。 そして木像の前に立ってる石像はオーフィスターニャとミネルヴァが対峙する。


「カティア! わたしは近くで支援するから、石なんかに負けるなよ!」


 ゼロは自信に満ちた笑顔で拳銃(ピストル)を構える。


「支援、よろしくお願い致します!」


 心強(こころづよ)い支援者がいることに安心してるカティアは恐れずに挑む。


 石像は最初にこの森に出会した奇妙な植物たちと同様、何らかの条件で敵を襲う。 例えると、半径数メートルの察知範囲に踏み入れた敵だけを攻撃するとか、それはオーフィスターニャとレスターが辿りついた推測の結果であった……。


 カティアが石像に接近し、距離はまだ約四メートル離れてるのに、石像は既に動き始めていた。 カティアはそれに気づき、スピアで攻撃する準備していた時……ゼロは彼女の右側へ走って、敵の察知(さっち)範囲外(はんいがい)から撃った。


「今だカティア!!」


 弾は敵の右腕に撃った直後、ゼロは大声で叫んだ。 弾に撃たれた場所は小さくて浅いそしたらカティアは迷いもなく走るスピードを上げて、ゼロが撃ったところを狙い、スピアで石像の右腕を貫いた。 そしてそのままスピアを振り下ろし、落ちる寸前の腕に一蹴りで蹴り落とした。


「うん! 上手くいきました!」


 カティアはニコリと笑う。


「さすがだカティア! わたしも負けられない、ねっ! 中級・無属性魔法『快速(ハイスピード)』!」


 ゼロは拳銃(ピストル)で石像の胴体を狙いながら魔法唱えた。 そして引金を引く。

 またしても一発で二箇所を撃った。 胸元と腹部。


「よしっ! 段々上手く扱えるようになっていく! ちゅっ」


 嬉しく笑ってるゼロは拳銃(ピストル)にキスした。

 そしてカティアは敵がふら付いてることに気づき、スピアを構える。


 カティアが使ってる剣術はシュテルンヌン家が伝わる敵の急所のみを襲いかかるスピアが成せる技。


「(以前から気になっていましたが……ゼロさんが使ったあの魔法……あれは確か射撃系(しゃげきけい)の武器に二発連続(にはつれんぞく)射撃(しゃげき)可能(かのう)中級(ちゅうきゅう)支援魔法(しえんまほう)だったような……ううん! 今は戦いに集中しなきゃ!)次は私の番です!」


 カティアが前へ突進! 石像は依然反応しない、その隙に彼女は敵の前に立ち、攻撃し始めた。

 最初の一手はゼロが撃ったところを貫く、次にカティアは石像の背後に回り込み、脊椎の辺りに四つの切り口を切り裂き、そのまま後退する。


「ゼロさん! 頼みました!」


「おお! 任せておけ! とどめはわたしが刺す!」


 カティアがゼロを呼んだ時、彼女は既にカティアのすぐ隣にいた。 ゼロはカティアの前に立った瞬間、彼女はカティアが切り裂いたところを一箇所ずつに徹甲弾を撃ち込んで、石像はあっという間に崩れた。


「やりました! ゼロさん!」


「楽勝だ! イェーイ!」


「はい!!」


 ゼロは右手を高く上げる、そしてカティアは応えるように左手でハイタッチした。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 同時刻、カティアとゼロのコンボが決まった時、レスターもちょうど石像と対峙していた。


 その時、彼女はちょうどカティアたちの立派な戦いっぷりを目撃し、思わず興奮し始めた。 武者震いが止まらない……すると、彼女は両拳を強く握ってその震えを止めた。

 震えが止まったら、彼女は頭の中に二つの作戦を思い付いた。 一つは石像を格闘技で倒す、そして二つ目の作戦は特殊魔法で敵を消す。 レスターは約十秒間考え続けた、そして彼女が選んだ答えは――、


「ずっと魔法に頼れば体力が下がってしまう……ここはやはりお婆ちゃんから教わった格闘技で応戦する! レスター・ヴァニーシュ、参ります!」


 強く地面を踏んで一瞬に石像の(ふところ)に潜り込み、彼女は右拳を握って強烈な一発を胴体にぶち込んだ。 そしてあまりにも強く、と言うより、全力で打ったことで石像の胴体は一瞬で消えた……そのまま地面に倒れた。 レスターはワンパンで敵をノックアウトした。


「あ、あれ……? 私はてっきりもっと頑丈と思っていました……」


 勝ったのに複雑な気分のレスターであった。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 レスターは一瞬で決着をついた時、オーフィスターニャとミネルヴァ、チームAが誇る最高の戦闘力を持つふたりのエルフは腕を組んだ。 オーフィスターニャは先に『附雷(アディションサンダー)』の効果を二つの短剣に付いた。 対してミネルヴァは単純に両刃の斧を持ち上げて前へ指す。


「オーフィスターニャ様、ふつつかものですが……よろしくお願い致します」


 ミネルヴァは丁寧にオーフィスターニャに声をかける。


「いやいや、こちらこそよろしくミネルヴァ。 お前と一緒に戦う日が早く来るだなんて思わなかった……どうやら他のみんなはもう片付いたみたいだ、ワタシたちも早く終わらせよう」


 オーフィスターニャは笑いながらミネルヴァに話す。 そして彼女は左右に戦っていたカティアたちが既に戦闘終了に気づき、ミネルヴァの表情を見た。


 彼女は既に覚悟を決めていた。 オーフィスターニャは何も言わず笑った。


「んじゃー、ワタシたちも行こうか!」


「はい!」


 ミネルヴァが返事した直後、オーフィスターニャたちは同時に走り出した。


 彼女たちが石像に近づこうとしたら、敵は思わぬ行動を取った。 石像は両腕を高く上げた。 その姿はまるで木像が地面を割る前の姿とそっくりだった……オーフィスターニャがそれに気づき、彼女は右手の短剣を石像の頭部に投げつけた。 短剣は正確に当たった、しかし効果は無かった。

 そしたら、石像はものすごい勢いで腕を振り下ろし、地面に突き落とす。


「っ!?」


 突如! 石像の前、地面から複数の尖った岩が突き出し、オーフィスターニャたちを襲いかかる。


「オーフィスターニャ様、ここは私にお任せください!」


 オーフィスターニャと肩を並んで走ってるミネルヴァは彼女の目の前に現れ、ひと振りで岩を破壊した。 そしてオーフィスターニャはミネルヴァの上を飛び越えて、残された岩を踏み台にして、石像に近づいて行く。


「ハァァア!!」


 オーフィスターニャは石像の背後まで飛び越えて、後ろから短剣を突き刺した。

 石像は特に苦痛な表情を見せず、後ろにいるオーフィスターニャを攻撃しようとしたら――、


「今だ!!」


 オーフィスターニャは叫びながら後ろへとんだ。


 すると――、


「承知致しました!」


 ミネルヴァが瞬時に石像の前に現れ、両刃の斧で敵を真っ二つにした。 そして、石像の頭がまだオーフィスターニャの短剣が突き刺したままで、彼女はミネルヴァが攻撃したタイミングと合わせて、敵の頭上にとんだ。 彼女はもう一本の短剣を石像の首筋に突き刺し、宙に一回転して、そのまま石像の上に乗った。

 オーフィスターニャは二つの短剣を同時に握って、強い力で無理矢理に石像の頭を引きちぎれた。 そして首を無くした石像の体はそのまま地面に倒れた。


「お見事です、オーフィスターニャ様。 さすがの私でもそのような行為はできません」


 ミネルヴァは斧を地面に刺して、拍手する。

 その間、オーフィスターニャは石像に刺してる短剣を取り戻し、疑いの視線でミネルヴァを見る。


「それってワタシを褒めてるの? それても今のは皮肉(ひにく)?」


「いいえ。 本当のことです。 さっきオーフィスターニャが(おこな)った行動(こうどう)は実に参考(さんこう)になりました」


「ハ~? どう言う意味だ?」


 理解できなかったオーフィスターニャは更に疑う。


「簡潔に言いますと、オーフィスターニャ様は暴力的で、とても真似できません、と言う意味です……ふふ」


 ミネルヴァは笑みを見せつけながら本当のことを話した。


「…………それのドコが簡潔だ? どう聞いてもこれは……嫌味を言ってるだけじゃないかッ!」


 そしてツッコんだオーフィスターニャであった。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 オーフィスターニャたち全員が石像を倒した後、彼女たちはオーフィスターニャのところに合流した。


 残った敵は目の前にいる木像ただひとり。


 木像が呼び出した石像が全滅したことで、そいつの首は何故かふらふらと揺れていた。 まるで笑ってるみたいに首が震えてる……。 そして木像の頭が曲がり始める。

 あまりにも不気味過ぎてオーフィスターニャたちは思わず一歩引いた。


「キモっ!」


 ゼロが嫌がる顔で言った。

 彼女の発言が過激すぎたのか……木像は上半身を前へ伸ばし、背中を見せ付ける。


 すると――、


「なっ!?」


「何ですかあれは!?」


 木像の背中から新たな四本の腕がいきなり生えてきた。


「ウワッ! キモっ! なにあれ?」


 ゼロは再び木像を貶す。


「計六本の腕、ですかぁ……少し厄介みたいです……どうしましょう?」


 レスターが六本の腕を見た途端、彼女は嫌な予感がしてきた。 不安がってる彼女は視線をオーフィスターニャの横顔へ向ける。


 レスターが見たのはさっきと違って、冷や汗をかいてる怯えた顔のオーフィスターニャではなく――、初めて彼女の存在に気付いた……入学式初日、アルファーニとの対戦、時に晒していたあの……相手を殺す勢いの冷静な横顔だった。

 未知なる敵と戦う機会はそう簡単に巡り会えない。 そしてその分だけに、直接対戦する時の圧迫感が上昇する。 しかしオーフィスターニャにはそう感じなかった。 むしろいつもより冷静であった。


「オーフィスターニャ様、作戦を思い付いたのですか?」


 オーフィスターニャだけではなく、ミネルヴァも落ち着いてる。


「作戦なんて考えていない」


 予想外の返答を答えたオーフィスターニャ。


「はぁ?!」


「あらら……」


「本当に何も考えていなかったのですか?!」


「私てっきりオーフィスターニャさんはもう名案を思い付いたと思いました……」


 他のよにんはそれぞれ個性的な反応し、オーフィスターニャは彼女たちを見て、思わず微笑んだ。 そしてレスターが気付いた……オーフィスターニャが笑みを浮かんだと同時に、冷たい殺気が消えた。


「ふん……」


「オーフィスお前なぁ……なに呑気なことを言ってるの? 相手はかなりヤバそうなのに、なんでそんな余裕があるの?」


 さすがのゼロでさえ少し怖がっていた。


「まァー……その、なんだ……ちょっと恥ずいことを言うけど……なんかお前らと一緒にならどんな敵も怖くないと思うんだ……」


 その時、彼女たちは初めて見たんだ……オーフィスターニャの恥ずかがってる顔と真っ赤な長い耳。 一瞬、彼女たちの心臓がドキッと激しく動いた。 しかしながらみんなの反応は恋の予感ではなく――、


「ウワッ! 全然似合わねー、てかキモーいぃ」


「オーフィスターニャ……さん? いくらなんでもその……気持ち悪いです」


「申し訳ないのですがオーフィスターニャ様。 直ちに今の発言を撤回(てっかい)してくれませんか? 心臓発作(しんぞうほっさ)が起こりそうです」


「オーフィスターニャさん……その発言とその顔……すみませんですが……気持ち悪いです……」


 ――全員は木像が初めて笑ってるところ見た時より、もっと嫌が(・ ・ ・ ・ ・)りそうな顔( ・ ・ ・ ・ ・)( ・)オーフィスターニャを見ていた。


「なっ! いくらなんでもそれって酷くねっ?! キモってなんだよ! ワタシだって女の子なんだぞ!? 乙女の一面くらい持ってるよっ!」


 否定してるオーフィスターニャがすねる。


 そしたらゼロは我慢の限界を超え、大笑いする。 続いてカティアとレスターはその笑い声に移ったみたいに彼女たちも笑い始めた。

 そして雰囲気がめちゃくちゃとなった時、オーフィスターニャも思わず笑った。


 少女たちが笑ったことでさっきまでの重い空気が嘘のように消え去った。


「オーフィスターニャ様……お取り込み中申し訳ありませんが……敵はどうやら暇過ぎてさっきからうずくまって地面に何が書いてるみたいです」


「はぁ?」


 唯一ただ微笑んでるミネルヴァは木像の奇妙な行動に気づき、彼女はオーフィスターニャを呼ぶ。

 呼ばれたオーフィスターニャが視線を木像に向けると……確かにそうであった。 木像は指で地面に何かを書いていた。


 そして残ったチームAもそれに気づき、全員がじーっと木像を見詰める。 見詰めてまだ五秒しか経過してないうち、木像はどうやら書き終わったみたいで顔のない頭をあげた。

 するとそいつがいきなり左手を地面にぶち込んで、地面の一部ごと持ち上げた。


「なっ……」


「あらら……」


「何ですか……あれは?」


 驚いてるオーフィスターニャたちは、ミネルヴァを含めて、木像が持ち上げてる岩を見つめていた。 そう、その岩にはさっき木像が書いた文字が刻まれてる……。


「¿ Podemos empezar ya ?(もう始まってもいいですか?)」


 そこに書かれてる文字は実に完璧であった。 疑問符(ぎもんふ)もちゃんと書かれていて、文字はとても指で書いたとは思えないくらい丁寧で……まるで機械に書かれたみたい綺麗に並べている。


 そしてそれを見たオーフィスターニャは――、


「あっ、はい……」


 気まづい顔で返事し、戦いの前にわけのわからない気まづい雰囲気になってしまった。

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