第二章13:鍛冶屋に届け物 ③
ゼノが提案した図書館にある地図を使って、依頼の目的地を探すと言う名案を聞いて、彼女たちはさっそく動き始めた。
そして向かってる途中に、念のため、アルトリアたちは向いながらアルファーニとエレオノーラがどこにいるのか、店のエルフや街に買い物してるエルフに情報を聞き出そうとしたが――、
「あいつら……いったいどこにいるんだ?」
何も得られなかった。
アルトリアは額の汗を手で拭いて、呆れていた。
「こんなに探しても見付からないだなんて……もしかして、もう教会の方へ? アルトリア、私たちも行こうか?」
「ん……ちょっと有り得ないけど、可能性はあるなぁ……。 どうする? アルトリア」
ゼノとフィーリアはお互いを見て、最後にふたりはアルトリアを見詰める。
「とりあえず――」
アルトリアが何か言おうとしたら――、
「Hurry up ! アルファーニ! 私たちはこんなところにのんきで紅茶を飲んでる場合じゃないんだ!」
すると、数メートル先にある喫茶店から、エレオノーラがいきなり飛び出す。 次にアルファーニもそこから走り出した。
「君が私をここに連れた原因じゃないか!」
いきなり騒がしくなったせいで、周りにいるエルフたちは気になってたちまちにアルトリアたちの前に集まって、道を塞いだ。
アルファーニはツッコミながら既に飛び出したエレオノーラを追って、商店街の更に奥へ走り出し、アルトリアたちは彼女たちを呼ぶ時間も無かった。
「行っちゃった……」
「まさか本当に喫茶店に休憩していたとは……」
呆れてるゼノとフィーリアはただひたすらアルファーニたちの背中を見詰めて、彼女たちを追うことですら忘れていた。
その時、アルトリアが叫ぶ。
「って……なに突っ立ってるんだ?! 早くあいつらを追うんだ! これ以上めんどくさいことになる前に!」
そしたら彼女は強引にひと混みに入り、ふたりの跡を追った。 そして、ボケーとしてるゼノとフィーリアは二秒後、彼女たちも慌てて追い始める。 しかし運動抜群のアルトリアはあっという間にゼノたちと七十メートル以上離れていた。
彼女たちは必死にアルトリアを追う、それでも追えなかった。 約二三分のスプリントしたゼノとフィーリアはいつの間にか教会の近くまで来て、ようやくアルトリアの背中を見えたら、彼女は既に足を止ていた。
徐々に近付くゼノたちが見た光景は――、アルファーニとエレオノーラは正座して、アルトリアは彼女たちを叱っているところだった。
ゼノたちがアルトリアのそばまで近づいたら、ちょうど終わったみたいで、アルファーニたちは起きようとしていたのだが……足が痺れてなかなか起きれなかった。
呆れたアルトリアはため息をついて、手招きでフィーリアを来いと招く。 フィーリアはキョロキョロと周りを見て、最後に指で自分に指して「私?」みたいな仕草でアルトリアを見詰める。 アルトリアはなにも言わず頷く。
「どうした?」
「フィーリア、お前の魔法でこいつらを早く立てるのか?」
「え? まぁ……一応出来るけど……」
「なら任せた」
「え、え?」
アルトリアはフィーリアにその言葉を残し、その場から離れた。
そしてふたりのバカと残されたフィーリアは苦笑いして、複雑な表情でアルファーニたちを見る。 その間、彼女の数メートル後ろにはゼノとアルトリアは木の下にあるベンチに座って、見物していた。
「フィーリア、大丈夫かな?」
「心配するな、あいつは補助魔法に関してはクラスナンバーワンだ」
自信に満ちたアルトリアの顔を見たゼノは笑って、彼女と一緒にフィーリアがこれから活躍するところを見詰める。
フィーリアは左手をゆっくりと彼女の胸元に置き唱える。
「中級・風属性魔法「自己回復」」
緑のオーラはフィーリアを包み込まれて、少しだけ光ってる。
「(あの魔法は確か術者の体力を少しずつ回復する魔法……いったい何をするつもりだ?)」
疑問を持ったアルトリアは興味を湧いて、思わず推測始めた。
その間、緑色の光りで包み込まれているフィーリアはアルファーニたちに近付き、両手をそれぞれの足に置く。
すると――、
「中級・闇属性魔法「接触」」
黒の魔方陣が両手に現れ出す。 そしたら、フィーリアを包み込まれていた緑のオーラが移動し、彼女の手から通じて、アルファーニたちに移していく。
そして、魔法の属性を聞いたアルトリアは思わずベンチから起き上がって、驚く表情でフィーリアの背中を見詰める。
「アルトリア? どうした?」
心配してるゼノはアルトリアの手を握る。
「あっ……いや、なんでもない……(フィーリアのやつ、どうしてダークエルフしか覚えない魔法を使えるんだ?)」
アルトリアが疑問を持ってる、その間、アルファーニとエレオノーラは感じていた、痺れてるはずだった両足が徐々に引いていくことに。
それから約十秒後――、
足の痺れが完全に引いたことで、
「おお……! 凄い!」
感心するエレオノーラは自分の体にある力が漲っていくことを実感し、彼女は素早い動きで左拳を突き出し、次に彼女は全力の右拳で空を打つ。 その瞬間、彼女の右拳で微かな風圧で目の前にいた木の葉っぱを揺らす。
「ありがとう、フィーリア」
アルファーニは普通に立ち上がって礼を言った。 彼女は地面の砂やほこりに少し汚されたズボンを拭いて、足の具合いを確認しながら軽く前へ蹴る。
もう大丈夫と確信したふたりが笑う。 そしてアルトリアとゼノはフィーリアたちと合流する。
全員が揃ったことで、アルトリアはゼノが思い付いたアイデアをアルファーニたちに聞かせ、そのまま二分後。 簡潔に説明した後、ふたりは頷いて感心する。
「なるほど……図書館にある地図を使って、あの街がどこにいるのかを探し出す、かぁ……」
「それnice ideaだ! これなら早く終われそうだ!」
「あ……あともう一つ話したいことがあるんだ。 フィーリア、お前が言え」
「えっ? 私が?」
急に呼ばれたフィーリアはビクッと震え、慌てながら戸惑った顔でアルトリアを見る。
「そうだ、お前が言うんだ」
「ハァ……分かった……重要点だけを言えばいい?」
「ああ、それなら早く行動できるからな」
「何の話だ?」
アルトリアたちが何を言ってるのかは理解できないアルファーニが困惑する。
「まぁ……その、なんだ……イファスティ先生の伝言だ。 「依頼を達成したら、職員室に報告せよ」とのことだ」
「イファスティさんがそう言ったのか?」
「ああ」
「ちょっと待って」
急に割り込むアルファーニは左手を前へ突き出す。
「どうしてトワベールカ様はフィーリアに伝言を残し、直接私たちに教えてくれなかった?」
「お前なぁ……よく考えろ」
呆れたアルトリアはため息をついて、自分の後頭部を掻く。
「はい?」
「どう考えてもイファスティ先生が伝え忘れたことがあったから、学園に戻った時、ひとりになったフィーリアと出くわし、そのまま彼女に伝言を残した、そうじゃないか?」
「結局自分で言ったアルトリアほんにんは一番無駄な時間をしている」
そして簡潔に説明したアルトリアをツッコンだゼノは場の空気を固まる。
「……そうだったな……すまん」
「そこで素直に謝るのかっ!」
アルトリアが謝ったところ、エレオノーラはツッコンだ。
「みんな! 冷静になって! 私たち、何か大事なことを忘れてない?」
急にアルファーニが大きな声をあげて、アルトリアたちを沈黙させた。
「ハッ! そうだった……! こんなことをしてる場合じゃなかった!」
アルトリアは先に正気を取り戻し、彼女は叫んだ。 次に、エレオノーラも気付く。
「早く図書館に!」
「チームAより先に依頼を終わらせよっ!」
フィーリアが燃えてるみたいに、腕を高く突き上げる。
すると――、
「冷たっ!」
「ニャッ!」
「ひゃっ!」
暴れていたエレオノーラ、フィーリアとアルトリアがいきなり動きを止めて、ビクッと震える。
「な、なに?! 今、すっごく冷たい風が私の首筋に通った!」
「私も!!」
「Me too!」
アルトリアたちは怖がってるみたいに自分の首筋を両手で隠し、さんにんは円陣を組んで警戒する。
「アホか! 今のは私がやったんだ! 頭に血が上った君たちにはちょうどいい冷やしだ」
アルトリアたちを説教するアルファーニは腕組みポーズで右拳を顎の高さまであげた。 そして、約一分後、アルトリアたちが頭を冷やした時、チームリーダーであるエレオノーラはみんなの前に立って、彼女たちの顔を見て、意外な行動を取る。
「身勝手なことをして……すみませんでしたァ!!」
彼女は頭を強くさげて、周辺の数十メートルのエルフに聞こえるくらいな大きな声でアルファーニたちに謝った。
アルファーニたちは初めてエレオノーラの真剣に謝るところを見て、どんな反応すればいいのかも分からなった。 戸惑ってるアルファーニがキョロキョロと周りを見て、あることに気付く。
「(そうだった……ミネルヴァがここにいないだっけ……)」
彼女は思わずミネルヴァに助けを求めようとも、ほんにんが別チームにいる。 その時、ゼノはエレオノーラに近づき、彼女の耳を軽く掴む。
「エレオノーラ、こんなところで謝らないで。 今は依頼のことに集中しよう」
ゼノがニコニコと笑って、エレオノーラを慰めた。 しかしそんな光景を見たアルトリアが疑う表情でゼノを見ていた。
そしてやっとまとまった感じで、彼女たちは図書館へ向かうことにした。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
図書館、世界中の知識すべてを本に記録し収まる空間。 精霊族は長い歴史を誇る種族、彼女たちは長年で色んな本と人間種がかつて使った魔導書も図書館のどこかに隠している。
そしてチームBは図書館の前に辿りついた。 しかし彼女たちが図書館の外見を見た途端、幻滅した顔で見詰める。
ボロボロで今でも倒れそうな木製の建物、入口の上に名前が書いている《Biblioteca》。 窓は埃まみれで中がまったく見えない、入口の扉も軽く押すだけで倒れそうな感じ、彼女たちはお互いを見て、疑いの顔で問い合わせる。
「え? ここって図書館?」
今でも信じられないアルファーニ。
「いやいや……どう見ても違うだろ?」
「ゼノ、本当にここ? この古い建物が図書館?」
「そのはずだけど……正直、私は一度も図書館に行ったことがない……」
困ってるゼノは自分でも分からなかった。
「くよくよ考えてもなにも始まらない! とりあえず入ろッ! Let's go!」
みんなが迷ってる間、リーダーであるエレオノーラは先に歩き出し、図書館の扉を開けようとしていた。
「あっ、ちょっ……!」
アルファーニが何かを言う前に、エレオノーラが先に中に入った。
「…………」
そして静かになって数秒後、エレオノーラはなにも返事をくれなかった。 さすがに我慢の限界を達したアルファーニは怒りながら扉を大きく開けて中に入った。 その時、僅かな一瞬にアルトルアがあることに気付いた。
「そうか……そういうことだったのか……」
「な、なに?」
「この建物の入口はたぶん転移装置が施されている。 私たちも中に入ろう」
「えっ?」
アルトルアはゼノの手を掴んで、彼女と一緒に入る。
「あ、私だけを置いておくなぁ!」
そして最後に残されたフィーリアもアルトルアたちを追って、中に入った。
「こ、これは!?」
フィーリアが入った直後、眩しい光りに包まれ、体が光となって分解していく。
すると――、
「?!」
フィーリアは思わず目を閉じて、次に目を開けたら、不思議な光景を目にした。
本が空中に飛んでいる。 中心は大きい柱が天井の果てまで伸びている。 たくさんの精霊族と荒獸族がいた、本を読んでる者、探す者、何冊を持ち歩いてる者……。 窓の一窓も見当たらない、中は光の水晶で中身を照らしていた。
そして問い合わせのカウンターに、アルトリアたちの姿がいた。 フィーリアは彼女たちと合流し、ちょうどその時、ゼノはトレーボル・ロホを貰った。
「これが最新の地図かぁ……細かく書いてるね……おっ、こんな狭い道も名前がある!」
エレオノーラは興奮して、地図を見ていた。
「あ、ここはあの小さなユグドラシルがいる場所だ! えっと、名前は……Árbol de la vida……(命の木)?」
フィーリアもはしゃいで、ユグドラシルがいるところを探し出した。
「あ、あれ?」
ところが、ゼノがいきなり奇妙なことに気付いた。
「どうしたゼノ、あの街を見つけたのか?」
「どこにも見つけられない……」
「なに?! そんなバカな!」
慌てるアルトリアは地図を取って、見つめ直す。
しかしゼノの言う通り、どこにも見つけられなかった。 どの場所も記されていない。
「これはどう言う事だ……?」
暗い空気になって、アルトリアたちの前に、更なる難題が現れた。




