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マジック × ワールド:アーニユ(Magic × World:Ániyu)  作者: 川崎雨御
第二章:死者の復讐編
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第二章10:選択

 イファスティがオーフィスターニャたちを置いといて、既に二十分が経過した。 未だに問題が解決されず……彼女たちは一体どの依頼を受ければいいのかと迷っている……。


「このままじゃいくら時間があっても足りはしない、早く決めようぜ」


「アルトリアの言う通りだ、さくっと決めよう!」


 椅子に逆な座り方で座ってるアルトリアが文句を言いながらため息をつく。 ゼロはアルトリアの話に賛成し、彼女の後ろにくっ付く。


「ぬぬぬ……ゼノ! アルトリアにくっ付くなっ!」


「えぇー、どうして?」


「とぼけるなっ! わかってるクセに!」


「えぇー、ゼロがちゃんと言わないとゼノとアルトリアはわかんないよー」


「おい、私を巻き込むな」


 いつものアルトリアと双子の戯れ合いを無視するオーフィスターニャたちは真剣に悩んでいた。

 この時、両チームは既にリーダーを決定した。


 チームAのリーダーはオーフィスターニャ。 彼女は真っ先に強く志願して、チームのみんなはすんなりと賛成した。

 チームBのリーダーはエレオノーラ。 そして当然のように、アルファーニは納得いかなかった。 何故彼女がリーダーではないと、少しの間すねていた。 数分で彼女を慰めて、主にミネルヴァが慰めていた後、ようやくアルファーニが落ち着きさせた。


「よしっ! ワタシたちチームAはこの依頼を選ぶ!」


 っとオーフィスターニャはいきなり大声する。

 彼女は自分の生徒手帳をみんなに見せ、左手をひとさし指で指す。


「オーフィス……」


 エレオノーラがオーフィスターニャの生徒手帳に書いてる内容を見た時、一瞬だけ驚いた顔を晒し、そして――、


「お前が書いた字は相変わらず下手クソだな、ほぼ読めない!」


 オーフィスターニャの生徒手帳はまるで子供が書いた字と同様で、エレオノーラはツッコンだ。


「うっせっ! とにかくだ、ワタシたちはこれを受ける! カルメンを探しに行く」


「ちょっ、何勝手に決めているの! オーフィスターニャ・トワベールカ、私たちはまだ決まっ――」


「OK! じゃー私たちはこの籠をモスか将軍の街へ届けに行こう」


 再び文句を言い始めたアルファーニ、エレオノーラは先に話しを終わらせた。


「――てない……」


「お嬢様、エレオノーラ様はチームBのリーダーです。 エレオノーラ様が選んだ選択に従ってください」


「わかったよ……」


 アルファーニは最後に自分が言おうとしたことを小さい声で終わった……そして、頬を膨らませて……すねた。

 これ以上状況を悪化しないため、ミネルヴァは最も合理的なセリフでアルファーニを説得した。


「ァハハハハ……えっと……本来の話しに戻って、私たちチームBはこれを届けに行く。 オーフィスたちは迷子探し、でいいよね?」


 愛想笑いをするエレオノーラは強引に依頼のことをみんなに確認する。


「ああ、制限時間は夕方まで」


 オーフィスターニャは生徒手帳を確認しながら返事した。


「なんか緊張します……! カルメンさんを早く見つかるといいが……」


「大丈夫! 私たちはきっと直ぐに見つけるさ」


 レスターはおどおど緊張して、色んな不安なことが頭の中に駆け巡る。 そしてフィーリアは軽くレスターの背中を叩いて、彼女を励んだ。


「ぬぬぬ……ゼノ、覚えてろっ! ぜってぇわたしたちが先に依頼をクリアする!」


「頑張れ、ゼロ。 私はゆっくりアルトリアと一緒に依頼を遂行するから」


 不満そうなゼロは大声で叫んで、ひとさし指でゼノを指し、挑発的な勝利宣言をする。

 しかしゼノはそれに乗らず、逆に彼女は別な方法でゼロを煽る。


「何勝手に話しを進んでいるん、だ!」


「いたっ」


「いって」


 アルトリアはふたりを叱って、彼女たちの頭を叩く。


「よっしゃ! ササッとカルメンの探しに行こう!」


 フィーリアはガッツポーズで気合いを見せつける。


「お姉ちゃん……早く行きましょう、日が暮れてしまう」


 アルファーニの腕を引っ張るカティア。


「あ、ああ……行こう」


「お嬢様、カティア様、私がお伴できないことを許してください。 どうかケガしないでください、気を付けてください」


 心が痛むミネルヴァは強くアルファーニとカティアの手を握って、頭を下げる。


「ミネルヴァ、頭を上げろ。 君が謝ることは何もない、心配するな。 私たちは別にふたりだけじゃないんだ、エレオノーラ、アルトリア、ゼロ、私たちはみんながいる」


 アルファーニはカティアの肩を掴んで、彼女をもっとそばに寄せる。 アルファーニの笑顔に自信を感じていた、そんな彼女を見たミネルヴァは微笑む。


「あのわがままで友達もいなかったお嬢様が……こんなにたくましくなりました……私、すごく感動しています」


 感動であと少しで泣くミネルヴァは左目を擦る。


「「ミネルヴァ……」」


 アルファーニとカティアは同時にずっと彼女たちを守って、同じ時間を過ごしていた女中(シルビエンラ)、もとい、家族の名を呼ぶ。

 そして感動でミネルヴァのところへ走ろうとしたら、彼女はまだ話しを終わってないみたいで引き続き喋り始める。


「それはお嬢様がもう私のことを必要としない、と言う意味ですよね。 つまり、お嬢様は自分で起き上がる、服を着る、朝食を用意する、登校準備――」


「ごめんなさい私が悪かったです、ひとりにしないでください」


 まだミネルヴァが話してる途中にアルファーニいきなり敬語で、しかも頭を下げて謝った。

 その瞬間(とき)、教室は静かになった……。


「ミネルヴァ、もうアルファーニをいじめるな。 お前が腹グロであること、教室の全員は知っているから」


 オーフィスターニャはミネルヴァの肩を軽く叩いて顔を横に降る。


「わかっております、ちゃんと手加減していますのでご安心ください」


「あれは手加減? アルファーニはまるで燃え尽きたみたいにさっきから動いていないんだけど?」


 エレオノーラはアルファーニの顔の前で手を振る。 彼女は依然として無反応。


「お姉ちゃん! しっかりしてください! こんなことは家でもよくあることじゃないですか! 目を覚ましてください!」


 カティア強くアルファーニを揺さぶって、その上でカティアは右腕を大きく広げて、その勢いでアルファーニの頬にぴんたを食らわす。


「えっ?」


 危うく飛ばされるアルファーニは意識を取り戻し、頬も赤く腫れていた。


「時々思うんだけど……なんかこのさんにんが一緒にいると、アルファーニはただのおまけ役しか思えない……」


「まぁオーフィス、そう言う……いやお前の言う通りかも……」


 オーフィスターニャはそのまま思ったことを口にして、そしてそれを否定しようとするエレオノーラは一瞬だけ深く考え、最後にオーフィスターニャの話しに賛成した。


「おえ、そろそろ行こうぜ!」


「アルトリアの言う通り、早く行こう。 ゼロを置いといて」


「¡ Venga, vamos !(さぁ行こう!) ておい! ゼノ、あんま調子に乗るなよ!」


「はいはい、そこまでだ! オーフィス、私たちは先に行くからな」


 エレオノーラは双子の間に割り込んでふたりを離れる。 彼女は悠然と教室から出る、そして他は彼女を追って、次々と出てきた。

 最後に出たフィーリアは振り向かってレスターを呼ぶ。


「レスター! 頑張れよ!」


 レスターはフィーリアの励みの言葉を聞いた瞬間、彼女の顔は赤くなって、照れる前に彼女は笑った。


「はい! 頑張ります!」


 彼女は笑いながらフィーリアと分かれる。

 チームBが出た後、教室内はチームAが残された。 彼女たちはリーダーであるオーフィスターニャを見詰めて指示の合図を待っていた。


「ふぅん……」


 強く考え込むオーフィスターニャ。


「どうかなさいましたか?」


「オーフィスターニャさん、頭でも打ったのですか?」


「うぅーん……」


 ミネルヴァとカティアは声を掛けたが、それでもオーフィスターニャは聞こえなかった。


「おーい、まさか寝てるのか?」


「ゼロさん……!」


 いたずらしようとするゼロはオーフィスターニャのよこに近付いて、耳元に大声で出そうとしたら、レスターは慌ててゼロの両手を掴み、彼女を止めた。


「ん……一応聞くけどさ……」


 ようやく口を開けたと思ったら、彼女の口調から疑問が感じる。


「カルメンが入った森の名前ってなんと言う名前だったっけ?」


「……はい? オーフィスターニャ様はあの森のこと……ご存知ないのですか?」


 数秒の沈黙、ミネルヴァは先にオーフィスターニャに聞く。


「まぁ……小さい頃は聞いた噂程度の話しだけどね。 その森に入ったらもう出られないと言われる怖い場所って、でもあれはただ子供たちを森に近付かないための作り話だろ? 森の名前は忘れたけど……それにワタシは昔、あの森に入ったことがあるんだ」


「なに?! オーフィスターニャさん! あの森から無事に出られたんですか?!」


「信じられない……」


 オーフィスターニャの話しを最後まで聞いたカティアたちは驚く。


「な、なに?」


「……オーフィスターニャ様、本当にあの森から自力で出られたんですか? いったいどんな方法で?」


 まだ信じられないミネルヴァは再確認するため、オーフィスターニャに詳しい答えを聞く。


「どんなって言われても……小さい頃の話だから、そんなに覚えてないんだ。 覚えてるのはただ夕日になったら、自然と森から出て、家に帰っただけ……」


「て言うか、オーフィスたん。 あの森の噂は本当だよ?」


 ゼロは前触れもなくオーフィスターニャに真実を告げた。


「え? は、はぁ? ……マジ?」


「マジ」


「…………」


 オーフィスターニャが急に黙ったことで、教室内は気まづい雰囲気で覆われた。 ミネルヴァを除く、彼女はカティアの後ろに立って、真面目に自分が書いた依頼内容を復習していた。


「オーフィスターニャ様、そろそろ行きましょう。 時間が惜しいです」


 ミネルヴァはオーフィスターニャを呼びながら生徒手帳をスカートのポケットに入れる。


「あ、ああ……んじゃ行くか! カルメンを探し出して、ヴィオレタさんのところに無事返す依頼、開始!」


「おおお!!」


 気合いの掛け声でみんなの士気をあげて、オーフィスターニャたちも教室から飛び出す。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 オーフィスターニャたちが出た後、抜け殻の一年二班の教室に、奥の隅っこの闇からある影が膝まずく体勢で現わす。

 影はゆっくりと起き上がって、不気味な笑みで笑う。


「イファスティ・トワベールカ……いつも我らを邪魔して……くぅ、あと少しだったんだ! この恨み、てめぇの娘の命で払ってもらう! そう! 血肉祭りみたいに! フフフフ、フハハ……!」


 雑音のような声と高笑いで影は再び闇に紛れて姿を消した。

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