第二章9:依頼
不気味で恐ろしい体験したオーフィスターニャたちはイファスティの登場によって救われた。 死ぬ寸前までの恐怖は彼女の心に刻まれてしまった。
みんなが怯えてる間、イファスティは心配して、彼女たちが見ていた黒板に近付く。 ところが何も無かった、綺麗なままだ。
「どうしたんだ? お前ら、そんな顔して……まるでお化けを見たような顔、何かあったのか?」
しかしオーフィスターニャたちは答えることが出来なかった。 呻き声すら出来ず、彼女たちはただそこに突っ立っていたまま。
「答えないのなら、それでいい。 さて、そろそろ依頼の内容を話すから、早く席につけ!」
イファスティがみんなに自分の席に座れと言っても、オーフィスターニャたちはまるで聞こえなかったみたいで同じ場所に立ったまま。
するとイファスティは思いっきり自分の机を叩く。
「いい加減にしろッ! 何かあったのかはあたしには分からない、でも一つだけが言える! 今のお前らはただの臆病者だってことをな」
イファスティが怒鳴って机を叩いた瞬間、オーフィスターニャたちピクッと震えて覚ます。
「母……さん?」
オーフィスターニャは先に瞬き二つでイファスティを呼ぶ。
「おお、母さんだ! じゃなくて、学校にいる間はあたしを――」
「母さん!!!」
「トワベールカ様!!」
「先生~!!」
「ウワッ! な、なんだ!?」
イファスティがまだ話してる途中、オーフィスターニャたち全員はイファスティに飛び込ぶことで、彼女はそのままの勢いでみんなに転ばせた。
「母さーん!! うわぁぁあ~怖かったよ~」
オーフィスターニャは泣いてると鼻水を垂らしながらイファスティの胸に飛び込んだと
「こ、コラッ! 鼻水鼻水! てか、お前はただ甘えたいだけだろ!」
「ギクッ!」
「図星ね……ほら、お前らもさっさと起き上がれッ!」
オーフィスターニャの甘えん坊な性格を見抜いた瞬間、彼女は明らかに動揺した。
そしてみんなが起き上がった後、イファスティは軍服にあった汚れ、もとい、ほこりを軽く叩き落として、クラス全員にでこぴんした。
「なにするのよ母さん! 痛いじゃないか!」
「と、トワベールカ様? な、なぜ私まで?」
泣きそうなオーフィスターニャとアルファーニはおでこを手で隠す。
「そうかな? お母さんのでこぴんに比べたら、これはなんともないと思うけどなぁ」
「アルファーニ様、この程度の痛みを我慢してください」
対してエレオノーラとミネルヴァ、このふたりだけが涼しい顔をしていた。
「いたたた……でこぴんだなんて、子供以来だ……」
「ゼノ……おでこ、腫れてない?」
「ゼロ……おでこ、腫れてない?」
「おえ、私は? 腫れてないよね?」
同じ質問する双子と彼女たちに聞くアルトリア。
みんながお互いのでこが晴れてる否かを確かめてる間、イファスティは右手を強く振って、左手の指でチョークを掴んで黒板に何かが書いている。
「これを見ろ」
書き終わったイファスティはオーフィスターニャたちを呼んだと同時に黒板を軽く叩いた。
「なんですかこれは?」
アルファーニが見たのは自分たちの名前が黒板に書いてることと――、
「ワタシたちの名前が書かれてる……しかも二つの組で分けてる。 これはどう言う意味だ?」
オーフィスターニャは更に別の重要点に気付く。
「これは後で説明する、今は依頼のことだ。 なぁに大丈夫、黒板に書いてるお前たちの名前にも関係あるから」
イファスティは笑いながらみんなに席を座れと指示する。
みんなは不安を抱えそれに従った。 全員が座った後、イファスティは依頼の説明を始めようとしていた。
「(いよいよだ……ワタシたちが依頼を受ける時が……!)」
「(どんな困難な内容でも乗り越えて見せるっ! 私はアルファーニ・シュテルンヌン! 次の精霊大将になる女だっ!)」
「(イファスティさんのことだ、きっと私たちには正規騎士と同じレベルの依頼を配ってくれる……!)」
胸に期待を膨らむオーフィスターニャ、アルファーニとエレオノーラの目はキラキラと輝いてる。 それは他のみんなにも見えるくらい明らかった。
対してフィーリアたちは単純に緊張していた。 軽くつばを飲み込んで体が震える。
みんなの色んな表情を見ているイファスティは目を閉じて、気持ちを切り替える。
「ではこれより、依頼のあらすじを説明する。 昨晩と今朝、依頼者から貰った依頼を整理した結果、お前たちには今日と明日、二日間で四つの依頼をやってもらうことにした。 そのうちの二つの期限は今日の夕方まで、残った二つは明日にすればいい。 さて、何か質問でもあるのか?」
オーフィスターニャたちはお互いを見つめあって、アルトリアは先に手をあげる。
「依頼の内容は何ですか? 護衛? それとも貴重品の運送?」
「はい?」
まるでアルトリアが話したことを聞き取れなかったみたいでイファスティはニコニコと笑いながら首を傾ける。
「先生! もしかして依頼の内容は材料集め、ですか? 厳しい環境しか見付からないある貴重な材料を取る、みたいなことですか?」
「ええぇー、そんなに危険ですか? お姉ちゃん、なんか怖いよ〜」
レスターも手をあげ、彼女も依頼の内容を予想、もとい、想像していた。 その想像を聞いたカティアは怖がってアルファーニを抱く。
「ストップ! ストップ! みんな落ち着けって!」
オーフィスターニャたちが勝手に盛り上がってる頃、イファスティはついに我慢出来ず叫んだ。 当然のことに、オーフィスターニャたちは黙る。
「お前らなぁ……なに勝手に依頼の内容をそんな風に想像するんだい? アホか、そんな困難な任務が今のお前たちに依頼する訳ねえだろ?」
頭痛で手を頭に置くイファスティはオーフィスターニャたちに真実を告げた。 もちろん、それを聞いたみんなの反応はバラバラで色んな表情で見つめ合ってた。
「はぁ?」
「ハニャ? 違うの?」
「違う! まったく、お前たちは一体何を思っていたのか……でも、さっきお前たちが言った妄想は確かに実在するが、今のお前たちの実力じゃあ無理がある。 いいか? 困難な依頼が欲しいなら、まず簡単な依頼をクリアすること、世の中は常に小さな積み重ねで出来ていることに忘れる――」
「母さん、それ以上長引いたら夕方になってしまう」
「――な……」
イファスティがかっこいい決めセリフを決めよとした先に、彼女の娘が話しの途中に割り込み、イファスティに根本的な重要点を教える。 そのせいで、イファスティの真面目な顔は一瞬にして暗くなる。
「オーフィスターニャ……何度も言えばいいんだ? あたしが決めセリフを話してる最中に口出しするなっと言ったろ!」
「ワタシのせい?! てか、ワタシは本当のことを言っただけだ……母さんの話しはいつも長いから、こうして止めたんだ。 ちなみにこれはママに教えたこと」
「オーフィス、お前もだ……」
「レミカが?! くぅ…確かにそうかもなぁ……だがあたしは!」
「ああもういいから、早く依頼の内容を話して。 本当に夕方になってしまうから!」
母娘の喧嘩に割込めないアルファーニたちはただひたすらに待っていた。 そしてようやく本題に入れると気付くみんなは再び真面目にイファスティを見詰める。
「(後であいつを叱ってやる……)こほんっ……改めて、今日の依頼の内容を説明させてもらう。 今朝、【森の靴屋】のヴィオレタ(Violeta)さんからだ。 彼女の依頼はあるエルフを探すこと」
イファスティは心にあることを保留して、みんなに初の依頼を説明する。
「あの……イファスティ先生、探すっと言うのはひょっとして、迷子を探すってこと、ですか?」
レスターはおどおど手をあげて、自分が思ってることを話す。 それを聞いたオーフィスターニャたちが戸惑いの顔で考え込む。
「いくらなんでもそれはないよーレスたん」
「そうだ! 迷子を探す程度は町に配属された警備員に任せればいいんだ」
双子が反論するところ、レスターは思わず縮むみたいで席に座った。
すると、イファスティが微笑む。
「いや、ヴァニーシュの言う通りだ。 この依頼はヴィオレタさんのひとり娘を探す依頼、お前ら、生徒手帳を出して。 えっと……ここから見える真っ白なページになってるところまで開いて、あと鉛筆も」
お手本として、イファスティは自分のテーブルにあった新品な生徒手帳と鉛筆を持って、みんなに見せる。
オーフィスターニャたちもイファスティを真似して、真っ白な一ページまで開いた。 しかしここで問題が発生した。
みんなは鉛筆を持ってきてない。
「やっべ……」
「アルトリア、予備の鉛筆持ってない?」
「持ってない?」
「持ってるわけねぇだろ」
呆れたイファスティはため息をついて、テーブルの引き出しから鉛筆を持ちだそうとした時、アルファーニはミネルヴァに何か言ったように、その直後にミネルヴァは急に立ち上がる。
「皆様、アルファーニ様からのささやかなプレゼントです、お受け取りください……唯一魔法・『創造』」
まばゆいカラフルな光りがミネルヴァの両手から輝き始める。
「そっか! ミネルヴァの『創造』なら鉛筆くらい創れる!」
オーフィスターニャはミネルヴァがやろうとしていたに気付く。
「なるほど! アルファーニ! Nice idea!」
「どうも」
エレオノーラは笑いながらアルファーニにウィンクを送る。
ミネルヴァが一瞬にして必要な数の鉛筆を創った後、彼女はみんなにひとりひとりと渡す。
そしてイファスティは全員が鉛筆を持ってることを確認したら、彼女は頷く。
「ではこれから内容のことを話すから、お前たちは私が今話すことを生徒手帳にメモしろ。 いいか? 私は一度だけ言わないから、よーく聞いておけ! あと、自分が聞いてる内容が重要と思ってところメモしてもいい、すべてを書き込んでもいい、みんなは自分の一番やり易いで構わない。 ふぅ……さて、準備はいい?」
オーフィスターニャたち何も言わず頷く。
「んじゃ……始めよう! 《昨晩、ヴィオレタさんと六歳の娘、カルメン(Carmen)が喧嘩した。 原因は娘が門限の時間内で家に帰ってないことでヴィオレタさんは娘を叱ってるうち、カルメンが反論し始めた。 そして次の日、つまり今朝ヴィオレタさん起きたら、カルメンの姿が見当たらなかった。 彼女は近所を聞いた目撃情報によれば、カルメンはこの学園の北側にある森へ入ったみたい》、これは第一の依頼内容と発生した理由。 何か質問でも?」
イファスティは満足と期待溢れる顔でオーフィスターニャの質問を待っていたが……当のほんにんたちは複雑な表情で自分が生徒手帳に書いたこととその内容を見詰める。
「これが、今日の依頼内容……だと……?」
オーフィスターニャの顔は明らかにがっかりしていた。
「ちょっと、心の整理が必要かも……」
エレオノーラも同じリアクションで顔を手で隠す。
「え、え? どうしたみんな! 何黙り込んでるんだ? まさか、あたしが依頼内容をちゃんと言えてない?!」
勝手に慌てるイファスティはオーフィスターニャたちの暗い顔を見て、自分のやり方に疑問する。
「いや、違うんだ先生……ただ、私たちはもっと難易度の高い依頼と思い込んだだけ。 でも、依頼の内容聞いたらその……なぁ」
大半のみんなはフィーリアの意見を頷くと賛成する。 しかし賛成していない中、レスターはいきなり手をあげてそれを否定する。
「あの!」
「お、なんだヴァニーシュ」
「えっと……私はフィーリアさんの考え方に意見が、あります……」
おどおどで不安そうなレスターは精一杯努力して、自分が思ってることを喋り出す。
「言ってみろヴァニーシュ、緊張しても大丈夫。 お前のペースで喋れ」
イファスティはレスターに笑顔を見せ、彼女をリラックスする。
「は、はい! すぅ……はぁー、よしっ! えっと、私が言いたかったのはつまり、たとえ依頼内容と起きた理由は平凡過ぎるだとしても、それは依頼である以上、えっと……その……私たちはただ全力で依頼を遂行するのみ、とそれを言いたかっただけです……」
まず深呼吸して、覚悟を決めたレスターが話した言葉はズシッとオーフィスターニャたちの心に響いた。 そしてそれを一番感じたのはフィーリアだった、自分の発言に恥ずかしく思えたフィーリアはレスターの感激な言葉の後、彼女はレスターに近づいて、頭を下げて謝る。
「すまない、私が悪かった。 そして、ありがとうレスター。 お前のおかげで重要なことに気づいてくれた、大切なことは困ってる者に救いの手を差し伸べる、だろ?」
最後にフィーリアは笑ってレスターに依頼を受けることはどういう意味なのか、彼女は理解した。
「そう言ってくれて、すごく嬉しいです。 い、一緒に頑張ろう」
「ああ! どんな依頼でも成し遂げて見せるっ!」
気合十分のフィーリアは右拳を高くあげる。
「うんうん! その勢いだ! さて、まだ第二の依頼内容を説明してないので、お前ら、よーく聞け!」
イファスティはその流れで二つ目の依頼を話す。
「そう言えばあったね、二つ目の依頼……すっかり忘れた」
「……私も」
オーフィスターニャとアルファーニ、ふたりは既に今日の依頼は二つがあることを忘れたみたいで、二つ目の依頼を聞いた途端、嫌そうな顔で見つめあっていた。
「では、二つ目の依頼内容はこのメモに書いている。 《この籠に入ってる金属を『モスカ将軍の街(Calle del General Mosca)』の鍛冶屋に送ってください、そこにはアルバ(Alba)と言う黒髪の荒獸族が待っています》」
イファスティはテーブルの下に置いていた籠を持ち上げて、その中にあった一枚の紙の破片を持ち出し、そこに書いてる内容を読んだ。 みんなは内容を聞いた後、またしても微妙な顔でイファスティを見る。
「これはどう見ても、どう考えてもただの届け物じゃないか! なんで私たちが……! てか郵便局がどうした!」
ツッコムアルトリアが立ち上がって暴れ始める。 そして彼女を止めてたのは双子であった。
「落ち着いてアルトリア、よーく思い出せ、今アルトリアが言った発言」
「そうそう、思い出せアルトリア」
「あぁ? 郵便局のこと?」
怒ってる顔でふたりを睨む。
「そうそれっ!」
「アルトリア、うちの町には郵便局なんてないよ? 忘れたの?」
ゼロとゼノが同時にトレーボル・ロホには郵便局がないと言う事実を告げたら、アルトリアの顔が固まる。
「え? あ、そう言えばそうだったな……」
「なんでそんな簡単なことを忘れたの? バカなの?」
「アハハハ! アルトリアのバーカ! アハハハハ……!」
「んだとコラッ! ちょっと忘れただけじゃない!」
「やーい怒った怒った~アルトリア怒ったー」
「静かに!」
一言の叫びで戯れ合ってた双子とアルトリアを静めるイファスティ。
「ったく、お前らさんにん! いい加減にしろ! もう子供じゃないんだから」
「はい……」
「「ごめんなさい……」」
アルトリアたちはショボーンと悪気を感じ、そっと椅子に座る。
「よろし。 では、何か質問があるのか?」
「はーい」
みんなは依頼に対する質問へ仕切り直して、オーフィスターニャは真っ先に手をあげる。
「どうした、トイレか?」
「なっ! ちげぇよ! 質問だ質問!」
「なーんだそっちか、あたしはてっきりお前がトイレへ行きたいと思った」
「なんでそうなるんだ!」
「だってお前、私の授業でほぼ毎度トイレに行くんだろう?」
「な……!」
その時、みんなは一斉に思い出す。 イファスティが教室内で授業してる時、オーフィスターニャはほぼ百パーセント手をあげる時、トイレに行きたいと宣言するとその度に彼女の願いを断るイファスティの光景の記憶。
そしたら彼女たちは何も言わず、イファスティが言ったことを賛成するように頷く。
「んで? 何が聞きたいんだ?」
「あ、モスカ将軍の街ってドコにいるんだ?」
「あぁ、私もそれを聞きたかったんだ。 と言うか、『モスカ将軍』って、モスカはもしかしてそのまんまの意味? 蠅……? 蠅将軍、えっと……なんと言うか、ネーミングセンスゼロな名前だな」
街の名前の意味を知ったエレオノーラは複雑な顔で自分の生徒手帳にスペイン語で書いた文字を見詰める。
すると、ゼロは後ろに向いて、エレオノーラを呼ぶ。
「ん? エレっち、わたしを呼んだのか?」
「ハニャ? 呼んでないよ?」
「え? 違うの?」
ふたりが問い合せて、ふたり共アホな面で見つめ合う。
「バカがふたりいる……」
と、フィーリアが思ったことそのまま口にする。
「ですね」
そして彼女の隣に座ってるゼノも賛成する。
「……コッホン! 仕切り直しに、オーフィスターニャの質問を答えよ。 答えは、自分で探すこと」
「はぁー? それってどう言う事だ?」
納得いかないオーフィスターニャが椅子から立つ。
「もしあたしが目的地に向うべきルートを教えたら、それこそただの届け物になってしまう。 こういう依頼の方向性は情報収集だ。 シュテルンヌン、質問か?」
イファスティがちょうどオーフィスターニャの質問に答えた後、アルファーニは手をあげた。
「あの、トワベールカ様。 チームのメンバーはどう決めるのですか?」
「どうって……黒板は既に書いてるよ?」
「はい?」
イファスティは不思議な表情で親指で後ろの黒板を指す。
その時、オーフィスターニャたちはようやく黒板に書かれていた彼女たちの意味を知った。
「お前たちにはチームA、Bでわけてもらった。 もちろん、一つのチームは相手チームと一緒に依頼を遂行するのは禁止。 なお、どの依頼を受けるのかはお前たち次第、よーく考えろよ! チームリーダーもお前たちで考えろ、んじゃ! 依頼説明は以上だ、後のことはお前たちでなんとかしろ」
その言葉を残して、イファスティは教室から出た。
そしてオーフィスターニャたちに残ったのは焦りと不安。 みんなは黒板に書かれている名前を戸惑った顔で見詰める。
チームA:
オーフィスターニャ・トワベールカ
レスター・ヴァニーシュ
ゼロ・ザーフィゴナットゥ
カティア・イフウェイダースト
ミネルヴァ・フショー・フォン・クレアトゥール
チームB:
アルファーニ・シュテルンヌン
フィーリア・リヘル
ゼノ・ザーフィゴナットゥ
アルトリア・マクシム
エレオノーラ・グランディーグニス
「ちょっ! なんで私だけ別のチームにいるのよ! 私もアルトリアと同じチームにいたい!」
納得いかないゼロはすねた顔で自分の机を両手で叩く。
「そんなこと言われても、組み合わせもう決まってるから……」
苦笑いするアルトリアは頬を擦る。
「ざーんねんゼロ、アルトリアは私が独占します」
「おい、誰が誰を独占するって?」
「ぬぬぬ……フィーリ! わたしと代われ!」
「断る」
フィーリアは嫌そうな顔で即断った。
「なっ! なんでだよ!」
「ただこっち側のメンバーが面白いから代わりたくないだけ」
フィーリアは堂々と思ってることを口にしたら、ゼロは言葉を失い唖然とする。
そして、気まづい雰囲気になって、静かな教室に唐突! 扉が誰かに開けられた。
「あ、言い忘れたことがあった。 チームのメンバーチェンジは禁止、もしあたしに見つかったら……罰として一週間のトイレ掃除だ。 んじゃ、健闘を祈る! オーフィスターニャ、しっかりやれよ! 母さんは家に戻って資料をまとめるので、それじゃ」
イファスティは威風堂々と教室の入口に立って、最後の注告をオーフィスターニャに知らせ、光の速さで姿を消した。
「なんだったんだ……? 今のあれ」
アルトリアは驚いていいのか、それとも呆れていいのかという微妙な状態で微妙な表情でイファスティが居た場所を見詰める。
「母さんは絶対資料のことなんて忘れて、ママと一緒に楽しく過ごす、そう決まっている」
「まぁオーフィス、そう言うな。 イファスティさんだって休みたい時があるんだ、うちの両親も似たようなことをしているし、ニャハハハ……!」
エレオノーラはオーフィスターニャを慰めてるに見え、さらっと自分の家にいる両親の私生活の一部をさらけ出した。 当然、それを聞いたみんなは、ミネルヴァを除いて、全員は同じ言葉を思う。
「(幻滅だ……)」
再び静かになった教室内にアルファーニは先に重要なことに気づく。
「ところで、依頼はどのチームが受けるの?」
「あっ……」
それに気づいた他のみんなは言葉を失い、間抜けな顔をさらす。
「どの依頼を受ければいいんだ?」
オーフィスターニャとみんなの前に依頼の選択という難題が立ちはだかる。
夕方になるまで、あと……九時間。




