第一章1:始まりは死闘
春風は吹き始める、どの町にも淡いピンク色の花びらが暖かい春の風と共に舞う。 空に駆け巡る鳥たちは歌う、草の踊りは風と一緒にリズムを刻んでいく。 日差しもポカポカな空気でココロを癒す……そんなふんわりとした素晴らしい一日は、とある学園……そこの東にある、主に葉っぱと木の枝で作り上げている大きな闘技場の真ん中に、ふたりの少女が殺し合いのバトルを行っていた……。
「ハァァァーー!!!」
淡い水色の髪の少女が叫ぶ。 そして、彼女は剣でクロスの斬撃を空に刻み、氷のクロスを現す。
「初級・氷属性魔法『氷十字斬』!」
「っ!! ふん!」
氷の十字は一直線で碧銀の髪の少女に襲う! しかし、彼女は同じ場所に立ったまま右手に持ってる短剣を高く持ち上げて、そのまま降り下ろし、攻撃を蒸発した。
その瞬間、熱気が発生した。 闘技場の一部は蒸気で隠されていた、しかしながら僅かでさっきの攻撃による風圧を起こし、蒸気を少しだけ分散されて……そして蒸気の中からぼんやりと影が見えてきた。 彼女の凛々しい姿が。
「いったいどうやって私の魔法を? ……って、それは!?」
疑問を持った氷使いの少女はすぐに答えを見つけた。
「中級・炎属性魔法『附炎』、体の一部や或いは持っている道具に属性を加える魔法。 これはさっきお前の攻撃を打ち蒸発した真相だ」
彼女の右手が持っている短剣の刀身は青と白の色の炎で覆われていた。 そして碧銀の少女はニコリと笑った。
逆に氷使いの少女は驚く表情を晒していた。 別にそれは彼女の攻撃が無効化されショックを受けたではなかった。 彼女が本当に驚いている理由は――、
「な、なんで……なんで君は中級魔法を使えるのです!? あれは三年生の、その階級で初めて覚えられる魔法ではないですか! どうして君がそれを……!?」
彼女は焦っていた、驚いていた、羨ましいと言う気持ちすら感じていた。 彼女だけじゃない、闘技場の観客席に座っている新入生のみんなはほぼ同じ気持ちを抱いていた。 三年生の生徒も驚くと困惑の表情で固まる。
更に氷使いの少女は唇を咥え、血すら出た。
「私は認めない! 君みたいな何処の家系のエルフも知らないやつに、私は負けるわけがない!!」
冷静を失い、大声で叫ぶ彼女は剣を碧銀の少女の方へ指す。
「ここからは手加減無しです! 全力で行きます! 君も手加減しないでね、さもなくば……死にますよ?」
声と眼差しは本気だった、それは碧銀の少女ほんにんが一番分かっていたこと。
「今更降参するのも恥ずかしいし、早めに終わらせよ……こんな茶番を」
そして小さい声で文句を言った碧銀の少女は右手に持つ炎の短剣と左の短剣を前に交錯し、短剣で逆さまの十字の形で構える。
「来いッ!!」
碧銀の少女が叫んだ直後、両者共同時に前へ突っ走る。 その突進は正に死すら上回る覚悟を感じた。 すると……次の瞬間、彼女たちは至近距離で面対面した瞬間――、
「ッ!」
「クッ!」
先に攻撃を仕掛けたのは氷使いの少女、剣を下から突き上げる。 だがその攻撃は碧銀の少女の首のあたりに防がれた、右手の炎の短剣によって……次の瞬きことは、高速の接近戦。 激しい攻防戦の中、お互いはお互いの攻撃を全部防ぐ、そこにあるのは嫌な金属と金属ぶつかり合いの音だけ。 斬撃を躱す、反撃を防ぐ、同時に攻める……一滴の血すら見当たらないくらい、白熱の展開になっていた。
観衆は見惚れていた、彼女たちの戦いは相手を殺す勢いだった……とても新入生とは思えないテクニックと技の熟練度が披露していた。
そしてやっと彼女たちが攻撃をやめ、膠着状態で相手の武器を防げていたその時、彼女たちは同時にニヤリと笑う。
「ふん」
「ふふ……」
突如として、碧銀の少女は両者の武器を持ち上げて……そのまま左足を上げ、思いっきり相手の腹に蹴って、またしてもお互いの距離が大きく開いた。
距離は僅か数メートルが開けられた、氷使いの少女は剣を地面に刺して、それ以上の距離を開けないために。 そして、彼女は左手をさっき蹴られたところに緑色の魔法陣を展開する。
「初級・風属性魔法『緩和』……ふぅー、よくも私の繊細なお腹に強烈な蹴りを入れたわね! いたいじゃないですか!」
緑色の魔法陣を展開した氷使いの少女はさっきの蹴りの痛みを緩める。 おまけに彼女は明らかに怒っている。 相手をひとさし指で指し、大声で怒鳴る。
「ここは闘技場ですよ~? 傷くらいあるでしょ、それに……このままじゃ勝負がつかないと思うぞ?」
碧銀の少女は上半身が前に少し下へ、膝がちょっぴりだけ曲がる前進する態勢から普段の立った姿で話す、炎の短剣を軽く上に投げて、またキャッチする半端な態度と余裕のある声で煽る。
それを目にした氷使いの少女がニヤリと笑う。
「ふふふふ……その手には乗らないわよ。 でも、この私の攻撃をすべて無効にしたことは褒めてやる。 しかし!! 戯言はここまでです!」
その言葉を口に出した氷使いの少女には自信が感じた、それは碧銀の少女も感じとっていた。 彼女の眼差しが変わり、左手を突き出し、親指だけで短剣の柄を掴んでて他の四本の指はちょうど顔を隠せるくらいに伸びて、ひとさし指と中指の隙間で相手を覗く。 そして右手を後ろへ、相手が見えないように伸びる、身体全体を低い姿勢という防御態勢で構える。
「見せてあげます! 今の私が使える一番で最大の威力を持つ氷魔法を!!」
氷使いの少女は剣を地面に刺して、そして右手の平に淡い水色の魔法陣を展開し、そのまま振り下ろして……剣の柄頭に叩く。 魔方陣はそこから突き刺した地面までにいくつが現れていて、最後に彼女の足元にさっきと同じ、しかし三倍くらい大きな魔方陣が展開した。
それに気づいた碧銀の少女の緊張感が上げ、五感を更に研ぎ澄ます。
「(くるッ!)」
っと碧銀の少女が相手の攻撃のタイミングを一瞬早く察知した、が――、
「氷像となれッ!! 初級・爆・氷属性魔法『凍結柱』!!」
彼女が唱えの直後、碧銀の少女の足元にさっきより大きく、約半径15メートルの魔方陣が現れたと同時にいきなり十本の氷の柱が現れ、彼女を囲まった。
「なっ……!!」
碧銀の少女に不意打ちつかまれ、魔方陣の中から脱出しようとした時、突如、いくつの氷の槍が彼女を襲いかかる。
「くっ!」
反応した彼女は攻撃を躱したが、彼女は新たなことに気付いた。
「これは!?」
さっき彼女が避けた地面はすでに凍らされている。 そして氷の柱の一本一本から幾つの新しい氷の槍が構造して、碧銀の少女を全方向から攻撃してくる態勢で整っている。
「安心するにはまだ早いよ? お楽しみは……これからです!!」
氷使いの少女は不気味なニヤリと笑う。 対してその中にとらわれた碧銀の少女は――、
「ワタシの今の状況はまるで氷の檻箱に閉じ込まれて、さらに《無限》の槍に襲われるはめになった哀れな動物じゃないか……これは、ちょっとやばいかも……」
動揺して、更に緊張で汗が少し出てきた碧銀の少女が唾をのむ、ゴックリと。
「せいぜいあがいて見せろ! 君にはもう逃げ場が無い!」
氷使いの少女が檻の外で見物してる間、その中にある碧銀の少女は必死で彼女に襲い掛かる氷の槍を炎の短剣で破壊し、或いは攻撃を避けている。
ところが、彼女が避けた攻撃は地面を凍らせていく、滑る地面がコツコツと増えていた。 しかも、碧銀の少女の行動は徐々に封じられていく。 数秒後、ついに彼女の足元以外のところは綺麗な水晶のように凍らせてしまった。
「これでもう逃げられないわね! とどめを刺してあげます!!」
またしても新たな氷の槍が現れ、全方面で碧銀の少女を囲まれて、待機していた。
「どうやらここまでのようだ……」
碧銀の少女はゆっくりと目を閉じて、呟き始めた。
「今さら降伏なんて認めないわ! 君は私にバトルで負けてなければならないです! さぁ、君の敗北のカウントダウンを数えてあげます。 三……」
すると彼女はカウントダウンを始める。
「二……」
「古代語でカウントダウン? チッ……! 味な真似を……」
追い詰まれている碧銀の少女は左目を閉じ、舌打ちする。
「一……」
最後のカウントダウンをひと差し指で示して、氷使いの少女は勝った気分で嗤う。
「零!」
カウントダウンが終了した直後、氷使いの少女は両手を大きく、高く広げて、そのまま同時に手を下に交錯した。 まるで相手を両手で切り裂くような動きで氷の槍がそれに合わせて再び動き出し、碧銀の少女を襲う。
もう逃げ場はない、正に絶体絶命な状況! しかし、そんな状況の中……彼女は口を少し動いて、微笑んだ。
「…………」
無数の槍にあたる直前、氷使いの少女は見えた……あの檻の中に立っている少女は彼女を見つめてながら決意の表情をさらけだす。
次の瞬間、そこにあるのは冷たい風圧と氷が当たる音だけ。 大量の氷の槍で一時的に檻の中身が見えなくなっていた、でも氷使いの少女は確信した。
「(勝った! ざまあみろ!)」
勝利をつかんだ氷使いの少女は不気味なニヤリとした。 っと思った突如!
「なにぃぃ?!」
冷たい霧からほんのちょっぴりだが、綺麗な紫色の光の電気があちこちへ散らばっていた。
すると――、
「言い忘れたことがあった。 中級・雷属性魔法『附雷』、ワタシ、二つの中級属性魔法が使えるんだ、ふふ……」
霧を左手で分散し、そこにはまるで天使のような微笑みで、ニッコリと首を少し傾けて微笑む碧銀の少女。 左手に持っている短剣は凶暴な紫の雷が刀身を包まれ、ピカピカと微光で光っている。
そしてなぜか見惚れていた氷使いの少女も、唖然とした。
「な……」
一歩を引いた氷使いの少女と――、
「そろそろワタシの番、かな?」
無駄な動きの無いダッシュの準備して、直線で突っ走る勢いで構える碧銀の少女。
彼女は両手に持ってる短剣は属性に加えたまま、右は炎、左は雷を強く握ってて、体が曲がっている態勢でその両手の拳は地面の上に下げる。
一方、氷使いの少女は両手を広げてながら深呼吸して、地面に刺していた剣を取る。
「ふぅーーーー、私はもう驚かない。 やはり君はなにを隠していると思っていたんですね……最初は「なぜ君が両手に持つ短剣を同じ属性を加えなかった?」と言う疑問がうかんだが、直ぐに答えを見つけたが……まさか中級魔法の中でも一番習得難いと言われている『雷』属性をマスターするとは……ハハハハ、これじゃー接近戦しか選択肢がないみたいですね……しかし、私の攻撃が完全に避けられなかったみたいだな……ふん」
碧銀の少女の背中、と言うより、右肩の背後が凍っていた。 氷の槍で刺した瞬間、右肩の辺りを瞬時に凍らせた、血が噴き出す直前で。
「それがどうした! たかが右肩が少し冷たくて動き辛いだけっ! お楽しみは……これからだ!」
まったく動じない碧銀の少女が、左手に持つ短剣で氷使いの少女を指して不敵な笑みを晒す。
「本当に、君の根性“だけ”が敬意を表するよ、だがね――」
氷使いの少女は碧銀の少女に敬意を表しして、彼女の隠し持っていた『附雷』に心の底から感心していた。 しかし、碧銀の少女は何か違和感を感じてならない、そしてその答えはすぐに明かされることになる。
「本当はこの魔法を使うのがダメだってお母さまに言われたのですが、もはや手遅れっ!」
「? それはどう言う――」
最後の言葉が呟いていたので、聞き取れなかった、また理解できなかった碧銀の少女が問うとした瞬間――、
「私は!! 自分の限界を超える! 中級・禁・氷属性魔法『氷創造』!!」
冷静と見えた氷使いの少女は大声で叫んだ。 唱えて、左手を前へ伸ばしたら、大きな冷たい霧が彼女の周りから出た。 ほんの数秒後、霧の中から何かが霧を切り裂いて分散した。
「あれは……」
霧を切り裂いたのは左手に持っていたもう一つの剣……氷の剣だった。 彼女の髪色と同じ綺麗な淡い水色と氷の特有の半透明状態、儚くに見え、切れ味のある刀身。
冷たい風がじょじょに闘技場を覆われていく。 周りの生徒たちが寒さを感じ、両腕を抱えて、白い息まで吐いていた。 さすがの碧銀の少女は少し動揺した、でも彼女は後ろへ下がっていなかった、むしろ前に一歩前進した。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
彼女たち戦いの真っ最中に、とある闘技場の全体を見られるトップ席から三つの影がそこから見物していた。
「もし状況が悪化した場合、あなたはあなたの魔法で彼女たちを止めなさい」
三つの影の真ん中に座ってる少し老いた声の持ち主が右にいる軍服を着ている凛々しく頼もしくに見える金髪のエルフに話す。
「ハイっ! 了解しました!」
右の胸元の軍服にある鮮明な赤い薔薇の女性が力強い声で返事し、敬礼する。 さらさらな黄金色の髪がとても美しくに見え、風に髪を乱れない風圧がより一層美しくに見えた。 そして彼女の左にあったもう一つの影から姿を現す。
「フフフ……やっぱり何時見ても軍服の姿は一番しっかりしていますね。 家ではドジな可愛い女の子なのに、ウフフ……」
そこに現れたのは、綺麗なドレスを着用している美しい水色の髪のエルフさんでした。 彼女は軍服の女性を見詰めて、顔とその長い耳が赤くなる。
「おまっ! こんなところで公に家のことを話すな! もう、お前がそんな顔を真っ赤にして、あたしまで照れてしまうじゃないか!」
取り乱した軍服の女性が耳のさきっぽまでトマトみたいに赤くなっていた。
「あ、耳が真っ赤だ! 可愛い、イファスティちゃん!」
イファスティがそれに気づき、両手で彼女の耳を隠す。
「な?! あたしは可愛くないんだ! レミカこそ可愛いんだ! んん、世界一可愛いエルフだ! 私が保証する!」
イファスティが仕返しな口調でレミカを褒めた。
「あら嬉しい~、イファスティちゃんに直接「可愛い」と褒められて、いったい何日ぶり?」
レミカはむしろ喜んでいた、ニヤニヤと笑って、左手で頬を撫でた。
「昨夜だ! いつも寝る前にちゃんと言わなきゃ、お前が拗ねるからでしょう?」
イファスティは容赦なくツッコンだ。 その後、彼女たちは急に静かになって……お互いを見つめあって……そして笑う。 更に彼女たちは同時に足を前に進んで、ふたりの距離が徐々に縮んでいく。
数秒後、彼女たちはすでにお互いを抱きしめる距離にいて、ゆっくりと目を閉じ、両者の顔が近づいてるその時――、
「コッホン! 君たちが十九年前から愛し合ってることと、今でもそうだと言うことも分かりますが……時と場所を考えてくれませんか? 今は新入生が……いや、問題児? ともあれ、彼女たちの様子が深刻です、もしこのまま続けたら……確実に彼女たちのどちらが、死ぬ……」
いちゃいちゃするところだった彼女たちが前に座ってる少し年上のエルフが真面目な表情で雰囲気を変え、低い声で戦っている少女たちの様子がいかにも深刻かを分析し、冷静に語った。
「そんなことはあたしが阻止する。 何があっても止めて見せる、それが……あたしの役目です」
さっきまでラブラブ状態にいたイファスティが真剣な表情と声に切り替えて、真面目に試合を見詰める。
「うん、頼んだぞ、イファスティさん。 あ、もし彼女たちの戦いに腕と足とか吹っ飛んだ時、レミカさん、あなたの治癒魔法が必要です。 頼まれるかい?」
年上のエルフは微笑んでさっきと違い、優しい声でレミカに頼みした。
「はい、分かりました……校長先生」
レミカも同じくまばゆい微笑みで校長の頼みを了承した。 そして彼女たちがニコリと笑い、再び試合に集中した。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
冷たい霧と風がまだ闘技場の中を包まれている状態、生徒たちがカタカタと震え、すでに大半の生徒が外へ避難していた。 しかしその冷たい霧と風を近くで浴びている碧銀の少女は『附炎』を使って周りの冷気が蒸発していく。 そして赤色の微光が体全体を包み込んでいる。
「中級・禁・氷属性魔法『氷創造』……あれは母さんから聞いた禁じられた魔法の一つ。 その魔法を発動するための代償は術者のすべての魔力を吸い尽くして、代わりに限りなく近い無限の氷の武器が創造可能とする……。 おい! やめろっ! 死ぬ気か?!」
碧銀の少女は焦った。 彼女はその魔法が知っている、その魔法はいかにも危険なのかがよーく知っている。 しかし彼女の声が既に相手の耳に届かない……氷使いの少女の意識がすでにあるのか、ないかという微妙な状態にいた……それでも彼女は少しふらつきの体で碧銀の少女を曇った眼で睨み、攻撃態勢で整る。
「チッ! まさかこうなってしまうとは! 高等部入学式の当日にこんな死闘を繰り広げるだなんて……やむ負えない、ここでお前を戦闘不能にしてやる!」
「…………」
睨み合いのふたりの少女たち、息を詰まるほどの緊張感、空気が氷使いの少女によって寒くなっていく。 そして碧銀の少女は文句を言いながら、今日の出来事を思い出す――。