第二章2:問題児
専門軍学校に通って五年後、つまり、卒業した時、卒業生は幾つの職業が選べる、全て軍に関する仕事、或いはそれに似てる職業。
軍医、治療魔法に特化した者。 あらゆるダメージを回復する、重要なサポート役。
狙撃兵、文字通り、遠隔系魔法に特化した者。 遠い場所から攻撃する、主に雷属性と炎属性魔法は遠隔系魔法の種類が多い。
特攻兵、最大の攻撃力と防御力を持つ最前線の兵士。 ふたり組で結成する、前へ出る者とそれを支援する者。
暗殺者、全ての能力を平均以上を要求する職業。 身体能力と魔力量、最低限の資格は両方が中の上。
場合によってこの職業は偵察兵に変わる、自ら目標を偵察し、選択する…ターゲットを「殺すか否か」。
等々の職業を決めて、その部隊に送られる。 それぞれの部隊は全て、国家直属部隊。
部隊に入るための必要条件はまず学園内で基礎を学んで、授業と実践成績は両方も同じく重要。 全ての授業を数えると、計七種。
国語、基本中の基本。
数学、国語と同じく重要。
化学と物理、この二つは医学を正式に覚える前の一般知識。
体育、主に基礎体力の鍛錬とエンターテインメントの一つ。 ここにスポーツがあって、生徒は遊びながら確実に運動量と持久力を上げる。
歴史、主に昔のことを知る。 例えば、人間がまだ存在していた時、『終焉戦争』に現れた英雄の軌跡とそれを起こした奇跡。
魔技、魔法とその種類を覚えて、強化する授業。 これは毎日二時間の授業がある、とても大切な授業の一環。
武技、主に武器の使い方と素手の武術を教わる授業の一環。
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入学してから、既に二週間が経つ。 一年二班の生徒、計十名はあっという間に仲良くなった。 そしてオーフィスターニャたちは――、
「ハァァァアア!!」
オーフィスターニャは叫びながらスパイクを決めた。
彼女たちは現在、西の体育館にバレーボールを遊んでいた。
「よっしゃあ!」
オーフィスターニャはガッツポーズを決める。
「ナイススパイク、オーフィス!」
そして同じチームにいるエレオノーラがオーフィスターニャの肩に軽く叩いた。
「ヒヒィ~」
「油断してしまった……」
アルファーニは悔しがる顔でボールが落ちた方向を覗く。
状況は二つのチームが競い合う。 クラスは十名しかいないから、各チームは五名ずつ。
グリーンチームは左側にいる、メンバーはオーフィスターニャ、エレオノーラ、レスター、ミネルヴァとフィーリア。
対して反対側にいるのはレッドチーム、メンバーはアルファーニと残りクラスメイトの四名。
「大丈夫……? お……! アルファーニさん……」
紫色の髪のエルフ、無表情で元気のない声でアルファーニに声を掛ける。
「ええ……大丈夫だ、カティア」
「こっから反撃だ! 皆の者、アタシに続けぃ!」
いきなり、アルファーニの後方にいた背の高いピンク色の髪のエルフが叫んで、堂々と前へ歩き出す。
「あぁぁあ、またアルトリアちゃんの悪い癖が出ちゃった」
「こりゃアルトリアちゃんが気が済むまでやめないねぇ〜」
「「ねぇ~」」
アルトリアの左右にいた、顔がそっくりのふたりの少女は止めることを諦め、ひたすらにニコニコと笑う。
アルトリア・マクシム(Artoria・Maksim)、普通の家庭に育たれた彼女は、強い正義感だけがある。 他者を守る、支援する能力に関しては一流。
「ゼロ! ゼノ! 君たち双子、そんなところで笑うな、なんとかしろっ! 君たちとアルトリアは幼馴染みなんだろう?」
アルファーニもアルトリアの性格を知ってるから、彼女も少し焦ってきた。
「そうだけどよ~、アルトリアちゃんは堅いから、どうすること出来ない」
「そうそう、ゼロの言う通り!」
左の耳に二つの痣があるのは双子の姉のゼロ。
彼女は適当に理由を言って、後ろへさがる。 しかし彼女の妹、ゼノは同意見をいいなが、アルトリアの跡を追う。
姉のゼロ・ザーフィゴナットゥ(Zero・Zaphighonattu)、少々いたずらっ子で、数々の問題を起こす。
妹のゼノ・ザーフィゴナットゥ(Xeno・Zaphighonattu)、姉と同じ、いたずらっ子、でも彼女は時々姉のやり過ぎたいたずらを片付く心の優しい子。
ふたり共アルトリアと幼馴染み、さんにんの関係はまるで友達以上、家族未満みたいに、曖昧な行為は幾つクラスの連中に目撃された。
そしてアルトリアはオーフィスターニャの前まで足を止まる。
「オーフィスターニャ、勝負だ! 次はアタシがポイントを決めてやる!」
「ホホォ……面白い、受けてたつ!」
ふたりの勝手な都合で、試合がめちゃくちゃになった。 他のみんなは呆れて、ため息をつく。
そしてバレーボールのルールを無視して、オーフィスターニャとアルトリアは自分のポジションを替える。 オーフィスターニャはサーブ、アルトリアは真ん中の前衛。
「あいつら……また危ないことを企んでいないよな……ハァ~、それにしても……最初はみんなにあたしを「教官」と呼べ! っと言ったのに、今は大半の生徒はあたし「トワベールカ先生」と呼んでるし……ハァ……」
遠くで椅子に座ってるイファスティはため息をついて、お茶を飲みながら彼女たちを監視している。
状況をオーフィスターニャの方に戻し、雰囲気は既に緊迫状態。 オーフィスターニャとアルトリアの目はまるで鬼のように、相手が倒れるまでやめないというピリピリした感じで見つめ合う。
「行くぞ!」
「こいっ!」
オーフィスターニャが叫んだ直後、ボールを高く投げて、しかし確実に前へ投げている。
「まさかオーフィスのやつ、スパイクサーブする気?!」
エレオノーラは後ろを覗いたら、オーフィスターニャがやろうとしていたことに気付き、目を大きく開ける。
「初級・風属性魔法『鎧』『盾』!」
いきなりアルトリアは二つの風属性魔法を連続唱えて、青と緑の魔方陣が彼女の頭上に現れて、わずかの一秒で魔方陣は上から下までエレオノーラを纏う。 そして二つの色のオーラが彼女全体を包み込む。
「へぇー、マクシムは双重詠唱を使いこなせるのかぁ……『鎧』は物理攻撃のダメージを下げる。 『盾』は魔法によるダメージを下げる、やるな……ふん、今年の新入生に期待があるなぁ」
イファスティは同じ場所で既にアルトリアの狙いを見通して微笑む。
ボールまだ高度を上げてる間、オーフィスターニャは既に助走を始めた。 走って、跳躍する準備した時、彼女はチラリと一瞬だけアルトリアがいる場所を確定する。 そして――、
「『附炎』!」
オーフィスターニャは飛びながら『附炎』を詠唱すると――、
「フン!!」
彼女がボールを叩いた、いや、接触した瞬間、ボールは魔法の効果に適用されて、火の玉に変わる。 そのまま力強く、早いスピードでアルトリアを襲いかかる。
しかしアルトリアはまるで見切ったのように、正面からレシーブする。 彼女はボールを完璧に防げたことで、ボールは空へ跳ね上がる。
「ゼロ!」
「アイヨ!!」
アルトリアはゼロを呼び、彼女たちはまるで事前に話したのように、ゼロは自分が何をやるべきかが知っていた。
ゼロはボールが落ちる位置に着き、トスする準備をした。 それからアルトリアは遠慮なく助走を始める。
「中級・無属性魔法『重力』!」
「ぷふぅー」
イファスティはアルトリアが唱えた魔法を聞いた瞬間、飲んでいた紅茶を噴き出す。
しかし誰もイファスティのことを気付いて、試合はそのまま続行する。
アルトリアが『重力』覗いたら直後、急に助走のスピードが落ちていく。
「『重力』って……相手の周りの重力を何倍重くなる魔法だよね……? どうしてマクシムさんはその魔法の効果を自分に掛けた?」
不安を感じるレスターはプルプルと震える。
「んなもん分かるかよっ! でも……この違和感はなんだ? 何か嫌な予感がする……オーフィスターニャ! 気を付けろっ!」
冷や汗をかいたフィーリアは一歩後ろへさげて、オーフィスターニャに注意する。 オーフィスターニャは冷静で、振り返らずに、ただ頷いた。 彼女は深呼吸して、改めてボールに集中する。
ボールに掛かっている魔法の効果はまだ続行していた、ゼロは素手で火の玉をトスするつもりで、オーフィスターニャたちは焦る。
「(このままじゃ、ゼロの手が火傷してしまう! しかしなんだ……? この違和感、何かが引っかかる……)」
エレオノーラは不気味な予感がして、心の不安が拡大していく。 彼女は瞬き一つ、つばを飲んで、チラリとオーフィスターニャの様子を見る。
「ふぅ……」
オーフィスターニャは至って冷静だ。 ボールだけに集中していた。
それを見たエレオノーラもホッとしたのように、彼女も冷静になった。
そして、アルトリアが網の前に跳躍する準備した瞬間――、
「中級・炎属性魔法『勇気』!」
「にゃ二ィ?!」
唱えた後、アルトリアは一気に高く飛んだ。 『重力』の効果を受けてるとは思えないくらい飛んでいた。
エレオノーラは驚いていた、しかし彼女が驚いていたのは別にアルトリアの跳躍力、むしろ彼女が唱えた魔法、『勇気』。
あの魔法はエレオノーラですらまだ習得していない魔法、それは彼女が驚く理由。
オーフィスターニャ全員が驚いてる間、ボールはまだゼロに近づいていく。 そして火の玉になったボールとゼロの距離は僅か一メートルの時、彼女は口を開ける。
「中級・無属性魔法『反射』」
ゼロが唱えた直後、彼女の前に大きい透明な鏡のようなモノが現れ、ボールはその中に取り込む。 一秒後、火の玉は鏡から出て、完璧な方向へ飛んだ。
ボールはアルトリアが求めていた完璧なタイミングと角度の軌道。 火の玉がちょうど彼女の前に現れた瞬間、彼女はボールを全力で叩き落とす。
アルトリア自身のパワー、『重力』の重さと『勇気』の攻撃力アップの効果で打ち落とす威力、加えてオーフィスターニャが掛けた『附炎』の効果、ボールは正しく隕石に変化した。
その危険に察知したオーフィスターニャはボールを受け止めると言う考えを捨て、別にアイデアを考える。 すると――、
「オーフィス……まさかお前……」
「そのまさかだ! ひひ……」
オーフィスターニャは左足を後ろにさげて、まるで蹴る姿勢で構える。
「喰らえ! オーフィスターニャ! フン!!」
「唯一魔法・跳躍『神聖鼓動』!!」
アルトリアが叫んでいた時、オーフィスターニャは魔法を唱え、左足の表面に小さな魔方陣が現れた。
そしてボールがオーフィスターニャに襲いかかる刹那、彼女は左足にあった魔方陣でボールとぶつける。 物理的にぶつかった二つの魔法は電気のスパークが発生する。
アルトリアが叩き込んだボールに、彼女のすべての力が込まれていた。 オーフィスターニャもそれを分かっていた、彼女の左足とボールがまるで接着されたみたいに、離れない。
「(オーフィスターニャのやつ……何時『神聖鼓動』の裏の使い方を覚えた? レミカが教えることなんてない、だとしたら……自分で学習した? 確かにあの魔方陣を足台にすることを放棄すれば、最強の盾となる。 どんな攻撃でも防がれる不滅の盾……もしここであたしの魔法を加えれば、ぞっとするぜ)」
イファスティは驚く、自分の娘の想像力と大胆不敵の性格、彼女は再び感じる、オーフィスターニャはいずれ生きる伝説となることを実感した。
「うおおおぉぉお!!!」
全力で、精いっぱい叫ぶオーフィスターニャの雄叫びはドラゴンの如く。 その勢いで彼女の左足が動く。
「バカナ!? あの威力と重さに耐えられるだけならわかる、しかし、それを上回る……だと……? ありえん! 龍族、或いは悪魔族ではない限り、決して勝てない威力だ!」
既に足を地面に着いたアルトリアが見た決して起こるはずがないことに驚く。 そして彼女は歯を食いしばって、悔しがる顔を晒す。
「ハァァアア!!!!」
オーフィスターニャは叫ぶ。 その叫びはまるで雷鳴のように響く、彼女の勢いが増していく。
彼女の左足は徐々にあげていく。
「ハッ!!」
「何っ?!」
オーフィスターニャは足を突き上げて、ボールはその勢いで……体育館の天井を貫く、ぽっかりと穴が空けられた。
貫いた後、ボールは空中に爆発した。 花火のように、大きな赤い花が咲いた。
クラス全員と教師であるイファスティを含めて、彼女たちは唖然。 しかしその中に、たったひとりが違ってた。
オーフィスターニャは足したみたいに、目を閉じて、右手を握って高く上げる。
「勝ったぁぁぁぁぁあああ!!!!!!」
その姿はまるで最終盤で決定的なポイントを決めたのように、汗まみれで彼女は大声で叫ぶ、そしてそのまま地面に倒れた。
彼女は疲れより、すべてを出し切ったのように、満足な顔で最高の笑顔で笑う。
それを見たイファスティはぷるぷると震える。 しかし彼女の震えは感動して震えてるではない、むしろ切れる寸前で最後まで我慢していた震え。 すると――、
「オーフィスターニャぁぁあああ!!!!!!」
イファスティがオーフィスターニャを怒鳴る。 あまりにも大きな声で、生徒たちは思わず耳を塞ぐ。
その後、授業が終わって、すべてを片付いた後、オーフィスターニャとアルトリアは体育館の入口に正座でイファスティに叱るようになった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
オーフィスターニャたちがイファスティに説教されてる間、カティアは他のクラスが来る前に、彼女はイファスティに頼まれ、天井に空けられた穴を見詰めて、地面に落ちた天井の破片を拾う。
すると――、
「そ、唯一魔法・『修繕』」
彼女は破片を空に投げた。 そしてその破片は天井に吸い付いて、穴の周りはまるで時を遡ってくみたいに、カティアの魔法で元通りになった。
「ほぇ……あれはカティアの唯一魔法かぁ……凄いな!」
感心したエレオノーラはカティアの魔法に見蕩れる。
「あ、ありがとうございます……わ、私の魔法は生き物ではない限り、なんでも直せる魔法なんです……たとえそれは世界中にばらまいた宝の地図でも、その一部があれば、私の魔法の効果によって……ほ、他の部分は自動的に私が持ってる一部に集まって一枚の地図に直す……」
急に褒められたカティアはおどおどとアルファーニの後ろに隠れて、自分の魔法の特性を説明する。
カティア・イフウェイダースト(Catear・Ifwaydust)、彼女の家族はある集落の巫女。 五年前、その集落は逃亡中の罪人によって皆殺しされた。
彼女だけは生き延びれた、両親が作った隠し部屋のおかげで。
そしてその罪人は未だに掴まれていない。 彼女の身柄はシュテルンヌン家が引き取った、娘として。 つまり彼女はアルファーニの義妹。
「イフェイダースト、よくやった。 おい、お前たち! さっさとシャワーを浴びて、制服に着替えろ!」
イファスティはカティアの頭を撫でて、褒める。 その間、彼女はシャワールームを指す。
「ふぅ~、やっとシャワー出来るわ……ミネルヴァ、背中を流すのを手伝って」
「かしこまりました、お嬢様」
アルファーニはミネルヴァを呼んで、彼女ふたりは先にシャワールームに入った。
「オーフィス、私たちも入ろっ!」
「お、おお……じゃあ母さん、行ってきます」
「ああ」
こうしてオーフィスターニャはエレオノーラを追い、イファスティに手を振る。
「(たく……教官と呼べ、そう言ったのに……ふん、でもやはり自分の娘に『母さん』と呼べると胸が痒くなる……これは親の幸せってやつなんだろうか……? 奇妙な気分だ。 強くなれよ、オーフィスターニャ。 お前が伝説になる物語はまだ空白のままだ)」
イファスティはオーフィスターニャの背中を見てたら、暖かい気持ちは彼女の心を包み込んで、彼女は微笑む。




