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マジック × ワールド:アーニユ(Magic × World:Ániyu)  作者: 川崎雨御
第一章:入学編
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第一章11:聖騎士長、参上!

 イファスティたちが聞こえた声の持ち主は、その小道から凛々しい姿で走り出す。

 

 さらさらな金色の髪の毛、柔らかそうな猫耳、軽量の銀色の鎧、腰に長くて鋭い(つるぎ)、髪の毛と同じ色の尻尾(しっぽ)。 そして……(きば)を晒して誰も見たら安心する笑顔。


「まさか……」


 イファスティは目を細めて、遠くから来ている影を見つめる。

 太陽の光で、鎧は日光を反射する。 次第に近付いていく時、イファスティたちはようやくその荒獣族(ラフビースト)の正体を知る、と言うより、その正体を思い出す。


「グランディーグニス(Grandignis)聖騎士長……!」


「ハニャちゃん!」


「ドーン!!」


 イファスティは普通に苗字で呼ぶ、しかしレミカは彼女を『ハニャちゃん』と呼んだ途端、グランディーグニス聖騎士長はイファスティたちの前まで地面を滑る。


「だ、大丈夫? ハニャちゃん……」


 グランディーグニス聖騎士長の様子を見るレミカは蹲踞して、具合いを確認しながら、彼女の耳をもみもみする。


「レミカ……お前はまだその綽名を使っていたのか? あと、耳をもみもみするな」


「ええ~、すっごく柔らかいのにぃ~もう少し! あと二三回もみもみさせてぇ~」


 そう言った彼女はさっそく両手で思う存分グランディーグニス聖騎士長の耳を隅々まで触る。 耳の先っぽ、耳の後ろ、頭をなでなで……。


「ハニャッ! あっ……」


 と、いきなりグランディーグニス聖騎士長は上半身を起き上がって、『ハニャッ!』と叫んだ。 そして自覚する彼女の顔は赤くなる。 鼻血を流しながら。


「やっぱりハニャちゃんだ!」


「そう言えば、学生時代も同じ状況だったな……ハハハ、懐かしい」


 イファスティは昔の事を思い出し、思わず笑う。


 その間、グランディーグニス聖騎士長は依然として顔が赤くなって地面に座ったまま鼻血をポケットにあったハンカチで拭く。


「ハァ……相変わらずだな、レミカ、イファスティ大将(たいしょう)。 よいしょ、すー……はー……今更だけど……改めて、久しぶり! ふたり共! ひひ」


 グランディーグニス聖騎士長は深呼吸して、自分のリズムを整って、改めてイファスティたちに挨拶する。 眩しい笑顔で。


「久しぶり、グランディーグニス聖騎士長」


 イファスティは手を前へ伸ばす。


「ああ。 それより、ここには私たちしかいないから、昔みたいに呼び捨てしてもいいよ? イファスティ」


 ふたりが握手して、グランディーグニス聖騎士長は笑いながら提案する。


「そうだな…こっほん……アーサー(Eartha)」


「うん!」


 満足な顔を晒すアーサーは、ニコリする。


「そう言えば、ハニャちゃんはどうしてここにいるの? 『レジェンド(Legend)』の方は? 置き去りしていいの?」


 怒涛の質問をするレミカ、連発でアーサーを襲う。


 『レジェンド(Legend)』は帝国、荒獣族(ラフビースト)の国の名前。 レジェンドの規模はファーブラの三分の二、しかしその人口ははるかに上回る、人口数は約百六十一万九千六百三十。 ファーブラの三倍。


 聖騎士長と精霊大将はそれぞれ軍の階級の中でも最高級で同等の存在、軍でも、国にとっても。

 専門軍学校に入学したら、誰もが目指したい目標、誰もが憧れる夢。 それはこのふたつの国の英雄、聖騎士長と精霊大将。


 荒獣族(ラフビースト)はあらゆる動物たちの特徴、特性を一致している。 そして戦闘のエキスパート、子供ですら侮れない種族。 外見は人間と似ている、違いは動物の耳、尻尾、爪、瞳、等々の各動物の特徴のところ…それでも彼女たちにとっては生活に支障がない。 


 レジェンドとファーブラは長年の同盟国。 約五千年前、ファーブラの女王とレジェンドの女帝が永久(えいきゅう)の同盟契約書を誓った。 そのおかげで、両国の関係は溶け込んで、国の発展を更なる高みへ導いてくれた。


「あ、大丈夫だ。 今日で帰るつもり、だがその前に校長先生に挨拶がしたい。 これから五年間、娘のことをよろしくお願いします、と言いたいんだ」


 アーサーはまるで心配してない顔で笑う。


「娘って、もしかしてあたし達の学園に入学する?」


「正確には「転入」だ。 アイツ、一昨日の夜、いきなりオーフィスターニャと同じ学校で過ごしたいって言い出すから、こうして慌てて色んな手続きして、今に至るというわけだ。 正直、精神的にはもうクタクタだ」


 そう言いつつアーサーの顔は全然疲れが感じない、むしろ嬉しい気持ちがある。 彼女の微笑みはすべてをさらけ出していた。


 イファスティたちはアーサーの微笑みを見たら、すべてが分かって。 これ以上の言葉は不要と彼女たちはそっと手をアーサーの肩にのせ、一緒に笑う。


 アーサーはふたりの笑顔を見たら、彼女も再び笑う。


「んじゃ、イファスティは学校の仕事が終わったら、一緒に飲みに行こう!!」


「違うわ! この流れでどうして「飲みに行こう!!」という結果になるんだ!?」


 テンションの高いアーサーが叫んだら、イファスティは鋭くツッコム。


「イファスティちゃん、ナイスツッコミ」


「ハッ! 思わずツッコンでしまった……!」


「ハニャ? 違ったの?」


 アーサーはいきなりとぼけるな顔でイファスティたちを見る。 口が三角になって、目を大きく開ける。


「ハニャちゃんのその顔、久しぶり~フフ、相変わらず可愛い!(なでなで)」


 レミカは笑いながらアーサーの頭をなでなでする。

 最初に驚くアーサーの顔が徐々に柔らかくして、猫みたいにレミカに寄り付く。


「ハニャ~」


「いくらお前は猫科でも、一応お前はプライドの高い獅子だろう? 何あっさりと猫になるんだ?」


 呆れたイファスティはツッコム。 しかしアーサーは気にしていなかった。


「ところで、イファスティちゃん、ハニャちゃん……今は何時?」


「え?」


「ハニャ?」


 レミカの一言でふたりが夢中になった時間を一気に現実に戻す。


 そしてニコニコ笑うレミカと驚愕の事実を知って、驚いてるイファスティとアーサーは上を見る。 彼女たちの視線の先に、教会の時計がある。


 現在時刻、八時十三分。


「「あっ……」」


 ふたり同時に唖然。 間抜けな顔して、ただひたすら時計の針が進んでいるところを見ていた。


「イファスティちゃん、ハニャちゃん。 本当に遅刻するよぉ~?」


 レミカはそう言いながら、彼女は既に商店街に入っていた。 彼女の背中は徐々に離れて、小さくなる。


「やっべっ! アーサー、行くよ! 教師初日で遅刻だなんて、ゴメンだぜ!」


「お、おお!」


 そしてイファスティとアーサーは全力走って、レミカの後ろ姿を追う。


「待てぃ、レミカ!」


「嫌だもん」


 彼女たちはレミカを追いながら商店街に走り出す。

 こうして二分後、学園の校門までたどり着く。


「とうちゃく!」


 両手を高く上げて、気分爽快な顔を晒す。

 続いてイファスティとアーサーは同時にレミカの後ろまで着いた。


「あ、相変わらず速いな……ヒール履いてるのに……」


 少し汗をかいてるアーサーは素手で額の汗を拭く。


「たぶんレミカのやつ、魔法を使ったんだろう……」


「魔法ってもしかして……」


「そう、唯一魔法(ソロマジック)跳躍(ちょうやく)神聖鼓動(セイクリッドビート)』。 魔法陣を召喚して、それを踏み台に使って空を跳ぶ。 最初のふたつの魔法陣が召喚された後、魔法陣は消え、まるで空中で走っているように見えるその姿、まさしく『妖精(フェアリー)』」。 だからレミカは途中に全力疾走でも平気というわけだ…しかもワタシたちに気付かない高さで走っていた」


「それってどういう……?」


「つまり、レミカのやつ、魔方陣を地面の僅か三センチの上に展開し、そしてその三センチの差でずっと空中に走る。 まるで地面の上で走ってるみたい、ワタシたちはまんまとレミカに騙された」


「なるほど」


 それを聞いたアーサーは驚かない、普段と同じ表情でレミカは見つめる。


「ん?」


 と思ったら、アーサーは何か気になることを見つけた。


「どうした?」


「学園の入口、もう少し奥には、誰かいる……」


「奥? どれどれ……」


 ふたり揃ってその「誰か」を探してる時、彼女たちは気付く、そこにいるのは誰か。


「あいつ……どうしてまだ外にいるんだ?」「アイツ……どうしてまだそこにいるんだ?」


 イファスティとアーサーは同時に喋る。

 彼女たち見たのは、オーフィスターニャたちの姿だった。

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