再戦
「さて、どうするか」
ユカが去った後、クレールが言った。
「どうするって?」
私は、聞き返したが、言わんとすることは何となくわかった。
「…大丈夫だよ。まだ戦えるから」
「そうか」
正直に言えば痛いのはもう嫌だ。でも、この神憑きは自分で選んだことだから、逃げたくはなかった。
「じゃ、行くか、リベンジマッチ」
クレールが神力を集中していく。
『神人合一!』
急速に私の魂とクレールの魂のリンクが強くなっていく。そして私のからだがパァッと光を放ったと思うともとの服がかき消え、瞬時に戦闘衣装にかわる。いや、やっぱ何回やっても慣れないわ、これ。ちょっと恥ずかしい。
「で、さっきのやつどこいったかわかるの?クレール」
「いや、今はわからないが恐らく…」
クレールが言いかけたとき、先に感じたのと同じ力を感じた。
「やはりか」
クレールはなにか知っているようだ。私はどういうことかとクレールに問うた。
「アイツにはあいつの目的があるってことだ。説明はアイツを倒してからしてやるから先ずは行くぞ!」
「う、うん」
気にはなったが、今は敵を倒すことが先決なのだろう。私は大分なれた飛行術で、力を感じるところに向かって飛ぶ。
私はすぐに見つけることができた。奴、というよりもその上にある球形の巨大ななにかを。
「な、なんなの?!」
「黄泉の門〈ヘブンズゲート〉だ…!」
彼の頭上には、先程まで攻撃に用いられたよりもさらに深い闇があった。彼の身体から闇が立ち上ぼりその『門』に注がれているようだった。
「閃光[エクレール]!」
カッとまばゆい光が『門』に向けて放たれる。一瞬『門』はかき消えたかと思ったが…
「やはり、だめか!」
全く何事もなかったかのようにそれはそこに存在し続けていた。
「ならば、術者の方だ!」
クレールの意図を汲み、私はそちらに向かう。そういえば先程から彼には動きがない。『門』を開くのに力を使っているのかもしれない。今ならやれる!
「…ブランシュか」
しゃべった!ブランシュって?
「やはり、お前か!ノワール!」
クレールが言った。やつに向かいさらに力を放つ。
「はぁああ!」
数本の光の剣が敵に向かって放たれる。それを彼は右手の鎌で払い落とす。その隙をつき私は左側面に回りこむ。さらに繰り出される左手の武器も、今回はわかっている。すかさず左手の剣をふるう!ガキィンと鈍い音。私は一気に背後に回り込み、
「ここだ!」
背中から右の刃で一突き!ほぼ抵抗なく彼らの魂の結合部を両断した。
「…ふん、なかなか良い宿主を見つけたようだな」
即座にリンクが解除され、戦闘衣装が普段着に戻る。
「ジノ!」
「うん!」
力がきれ落下しようとする男性のからだを、私はすかさず受け止めた。見上げるとマントをまとった闇がそこにいた。
「…ふん」
「逃がすか!ノワール!」
クレールが光を放つが『門』と共に「ノワール」はかき消えていた。
「えっと…」
「…逃がしたようだな」