プロローグ
アダムスとリリンの長きに渡る戦いは、聖暦七二三五年、時の教皇によって終焉を向かえた
翌年、世界は若き皇帝『ハルト・ゼリウシス・レ・ミゼル・ラ・ド・フォン・エステリンス』によって、新たなる王国が築かれた
人類が誕生して、初めての平和が訪れた――――――
「ねぇ、フィレア」
「なあに?カイト」
カイトと呼ばれた男の子は、悲しそうにフィレアという女の子の手を握った
フィレアは、尋ねるようにカイトの顔を覗きこんだ
「ぼくのうち、もうすぐひっこしするんだ」
「えっ !? じゃあ、いなくなっちゃうの?」
フィレアは、寂しくてカイトの手を強く握った
カイトも悲しくて、フィレアを抱き締めた
「やだ!カイトいっちゃやだぁ!」
「ぼくもいきたくないよ!でも、いかなきゃ…」
フィレアは、泣きながらカイトに懇願するが、カイトもそれが不可能だということを悟っているので、悔しくて泣いた
「うっ……うううぅ~!ふぇ……ぅっ…」
「フィレア、なかないで……ぼく、きみにちかうから」
「ちかう…?」
そう言うと、カイトは立ち上がり、ズボンのポケットから小さな石を取り出した
それは、炎のように赤く美しい宝石だった
「ぼく、カイト・アディール・ド・ツヴァンは、おおきくなったらしゅごきしになって、フィレアをまもることをちかいます」
カイトが言い終えると、フィレアも立ち上がった
ごしごしと目を擦り、同じように言葉を発する
「わたし、フィレア・アポロニカ・フォン・ドリトニアは、おおきくなったらつよいまどうしになってカイトをまもることをちかいます」
フィレアが誓いの言葉を言い終えると、カイトは宝石をフィレアに渡した
フィレアも受けとると、髪を束ねていたリボンを外して、カイトに渡した
「忘れないでね、フィレア」
「カイトこそ、忘れないでよ?」
二人は、強く手を握りあった
十二年後、二人の誓いは果たされる―――
性懲りもなく新連載を始めました、魅沙祈です
今回は、異世界ファンタジーに挑戦します
拙い文章ですが、脳みそフル回転させて頑張りますので、どうぞよろしくお願いします!
6月1日追記〉若干修正&書き足ししました