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第3話

ファミレスにいる私。

 食事に誘われた私は、数分間このまま安易に誘いにのってしまって良いものなのか、悩んでいた。大抵性別が女の場合、性的目的であることが多いはずだから、このままホテルにでも連れて行かれてしまうのかも__。と不安な私。小学生でもあるまいしいざとなったら逃げることも可能だと考える、自信家の私はそれぞれ頭の中で会話をしていた。タクシー代ぐらいは財布の中に入っているので、何か切羽詰まった状況になったとしても逃げ切れるだろうと言うと、男の人に抵抗出来る程、女の私の力は微力だよと諭す自分。そんなやりとりの中、そのスーツ姿からは違和感さえも感じる甘ったるい声で、

「ねえ。一緒に御飯食べようよ?お腹すいてない?」

「うーんっ・・・・」

 返事にならない返事をし、運転席を覗くと私好みの顔でほほ笑むから、つい、

「じゃあ、食事だけなら・・」

 と今までの不安を全て頭の中から消し去り、つられて私も微笑んで答えた。

「じゃあ、乗って!」

「はい。ちょっと待って下さい」

 親友の麻美の家が、バイト先の目の前なのを利用し、自転車を置きに向かった。自転車を麻美の家の車庫に入れ戻ると、車の助手席が空いた。

「お邪魔します」

 と言ってよそよそしく車に座った。迷うことなく車は大通りへと走り出し、「このまま何処かへ連れ去られてしまうのだろうか」と窓から薄暗い街並みを眺めていると、私が説明した場所のファミレスへ着いた。やはり私に場所を聞かなくたって知っていたのだろうと確信した。


 座席に案内されると、

「何食べる?」

「何でもいいけど・・・。出来れば軽めのものがいいかな」

 バイトの帰りでさっきまでお腹が空いていたはずなのに、緊張から食欲も失せていた。

「ねえ。君いくつ?」

「17だけど・・・・。」

「大学生じゃないの?」

「違うよ!高校生だよ。何で?」

「いや、いいんだけど、じゃあ、普段は制服着てるの?」

「いや、きてはいないけれど、高校生だよ」

 少し動揺しているように見えたが無理もない。派手な化粧に緩やかなウェーブをかけ、11時過ぎ迄バイトをしていた私が、まさか高校生だとは彼も考えなかったのだろう。

「名前は?」

「みつき。神崎美月・・・」

「貴方は何歳?」

「いくつに見える?」

 年齢を当てて欲しいのかテーブルの中央まで顔を出し、自信ありげな顔で私を見つめる。

「2・・・3ぐらいかな」

 彼はただにんまりと微笑み、首を横に振ったので、

「じゃあ、2・・・・5」

 また、首を振るので、

「もういいよ。いくつだってさあ」

 面倒になって話を切ろうとすると、

「27だよ」

「ふーん。そうなんだ。結構上だね」

 内心、10歳年上という年齢差に引いてしまったのが、何故か感情として出してはいけないという自制心が働き、動揺している心を止めた。







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