(7)
病院の老婆、いや老婦人の病院の映像。
その窓から見えたピラミッド型の建築物は見覚えがあった。
そしてベッドにあった彼女の名前「ヒヨシタマミ」これだけ揃えば彼女を捜すのは簡単だ。
…しかし、不安な事がひとつ。彼女は生きているのだろうか?
突然途絶えた彼女の“声”。
もしもボクが考えてる結果であったら“龍”はどうなるのだろう?
何も言わずにいたが龍は察してるハズだ。
携帯ネット端末で例のピラミッドの周りの病院を捜す。該当するのは一つだけ。
見舞客を装うために道すがら花束を購入することにした。
店員さんにオマカセで作ってもらうつもりだったがコスモスを花束にしてもらった。
自分でも不思議なのだが、なぜか気に入ってしまった。
店員さんも「入荷しすぎてしまってお安くします」
というので値段の割りに華やかな花束になった。
病院の受付で彼女の病室を尋ねる。
「叔母のヒヨシタマミの病室を教えていただけませんか?」
「ヒヨシタマミさんですね…。三階の305号室です。キレイな花束ですね。」
若い受付嬢が微笑む。カワイイなー。
「叔母は、コスモスが好きなんです。よければドウゾ。」
花束から1本コスモスを抜き彼女に差し出す。
思いがけないプレゼント(?)に驚きながら
「ありがとうございます。」と受け取ってくれた。
カワイイー。ウインクを返すとちょっと微妙な表情。
そこもカワイイ。
どうやら彼女は生きている。龍、喜べ。
とりあえず、ひと安心。病室へ向かう。
病室をノック。返事はない。そーっとドアを開ける。
後ろ手にドアをしめ中へ。
ベッドに寝ている老婦人がタマミさん。
「頭の中、覗かせてもらいます。ゴメンナサイ。」
心の中で詫びるとイキナリ言葉が響く。
「なにが“よければドウゾ”よ。私へのプレゼントじゃないの?」
ベッドの彼女はボクを見て微笑む。
このカンジは“龍”に似てる!タマミさんて龍?