(5)
また、ボクを探ろうとしている。
さっきはフイをつかれたからヤラれたけど“ガード”してしまえば簡単に入れまい。
それでも意識の廻りを何かが這いずるカンジ、気持ち悪い。
「やめて下さいよ!失礼じゃないですか!いきなり探り廻るなんて!」
「お前がやった事を真似た。面白いな」龍が応えた。ビリビリと響く。
聞いた途端に恥ずかしくなった。龍の力は強すぎて体感まで刺激して気持ち悪く感じるけど。
たしかにボクが普段やってる事と同じだ。さっきもチーフの考えを何げに覗いた。
でも…、弁解はするまい。龍の言う通りだ。
「もっと面白い事ができるのか?」龍が言った。
どうやら、永年捜しまわった女よりも目の前のオモチャのボクの方が気になるらしい。
地球への感心をそらせる事ができるかも。
「強すぎてビリビリ響くので、もうチョット力を落としてもらえませんか?」
途端に這いずり廻るモノが消えた。頭の中で龍の声がする。「これでイイか?」
驚いた。ガードを簡単に破られた。しかもチカラのコントロールが出来てる。
しかも速い。今度は気持ち悪いカンジは無い。
「始めて力を使ったようには思えませんね。完璧です。」
ボクはモニターで見た龍の姿を思い浮かべた。
「見えますか?これがボクらの見たアナタの姿です。」
「地球の伝説に出てくる想像上の生き物に似てるのでボクらはアナタの事を龍と呼んでます」
「ボクやアナタのような力を持つ者が遠くを覗く際に通る“場所”があるのですが、
その“場所”には全ての意識が集まります。ボクの場合だとココで会いたい対象を思い浮かべる事で
その対象の意識の中に入り込みます。アナタの意識の中に入りこんだように。」
「力を持つ者はコノ“場所”を意識して利用していますが、実は力がない者も無意識にココを使っているのです。
それが“予知”であったり“思い掛けない発想”なのです。
強く想う事のできる対象があれば“場所”の膨大な情報の中から必要な情報を引っ張り出す事ができるのです。
アナタの姿が伝説の龍の姿に似ているのも古代の地球人が“脅威なる存在”としての情報をココから得たのかもしれません。」
「私は“脅威”なのか?」龍が聞いてきた。
…自覚ないんですか?




