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天翔ける龍  作者: たたみ
2/19

(2)

結婚してからも私を呼ぶ声は度々あった。只、漠然とした不安を感じるようになった。

子どもが生まれた。その不安はさらに大きくなった。

私はなるべく“声”に振り返らぬよう努めた。出会いの時は来なければ良いのに。


_________________________________________________________________



ナカムラがコーヒーを持ってきた。

一口飲んで、モニターに向かう。高エネルギー体の動きはない。


大きさは地球と同じぐらい。そして無人探査衛星から送られてきた映像を見て皆が驚いた。星の海に浮かぶそのシルエットは“龍”。送られてくるデータを解析した結果、形も正に“龍”である事が判明した。ただの偶然なのか。判っているのは、龍が地球に当たれば地球は龍に飲み込まれ消える。そして防ぐ術もない。幸い一年前から龍の進行は止まっている。政府が進めているのは火星の研究コロニーへの移住だ。もちろん人数は限られる。

当然パニックを防ぐために“龍”の件はトップシークレット事項になった。

 移住する方も残される方にとっても地獄に変わりはない。

ナカムラの言う通り“最後のパートナー”を捜す方が得策なのかもしれない。

しかし、ナカムラよ最愛の者の最後を見届ける事を想像してみたか?

オレは1人のほうが気が楽だ。


そんな事を考えているとナカムラが

「チーフ、すみませんが仮眠取っていいですか?」

コイツは…、ムッときたが2人起きてる必要はないしな。

「そうだな、後で交代だぞ。」アクビ交じりに返事を返して来た。

「先に失礼します。」ナカムラが仮眠室に消えていった。


臭いな、だから男ばっかりの環境はイヤなんだ。このブランケットも枕カバーもシーツもクリーニングに出してないな。ブツブツと自前のタオルを枕にかけ、やはり自前のシーツでブランケットにカバーをかけた。これで、少しはマシになったかな。明日は全部クリーニングに出してやろう。


まったく、不精グセは先祖ゆずりですか?イシカワチーフ。


ブランケットに包まりながらチーフに初めて会った時を思い出していた。

石川先輩と別れ、数百年後の地球に再び戻ったとき地球は隕石からの脅威を自力で克服していた。喜んだのもつかの間、地球には予想もしない脅威が近づきつつあった。

あの高エネルギー体だ。ナカムラの世界でもあんなモノは見たことも無ければ聞いた事もない。ナカムラは高エネルギー体を観察できる機関に潜り込む事にした。そしてチーフに出会った。ひと目で石川先輩の子孫だと判った。その名を聞いて確信した。

「チーフのイシカワだ。よろしく。」こんな所でこんな風に出会うなんて。

表情を読まれたのか不思議そうに「なにか?」と尋ねてきた。

あわてて、「知人によく似ていたので…。よろしくお願いします。」差し出された手を握り返した。


チーフ、ボクはねイヨイヨ覚悟を決めましたよ。チーフ達の最後なんか看取りませんからね。Aちゃんとも今度こそ合コンしますからね。もしも、あの“龍”に意思があるなら勝算はあるかもしれません。見ててください。



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