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天翔ける龍  作者: たたみ
19/19

大団円(2)

その後のナカムラです。

これで、完結。

長々とお付き合い ありがとうございました。

ナカムラさん、元気でいますか?


あの日、アナタに「Tと同棲してるって本当?」「何故、ココに来たの?」

「ボクがこんな事しないと思った?」って聞かれるまで、

アナタを傷つけている事に気づかなかった。


Tさんってヒトがいながらアナタに思わせぶりな態度とって、

彼に裏切られたら優しいアナタに慰めてもらおうなんて…。

本当に恥ずかしい…。


でも、アナタはそれでも私に優しくしてくれた。

女の子みんなに優しくしてくれた。


どんなワガママも笑って仕方ないなって受け止めてくれた。

だから、みんなアナタに甘えてた。

話を聞いてくれて、笑いかけてくれて、笑わせてくれて

アナタといると楽しかった。


いつの間にか好きになっていました。

…Tさんの気持ちに応えられなくなっていました。


アナタに会いたかった。

でも、「何故ココに来たの?」って、また言われそうで…。


だからTさんの所から出ようって決めました。

そして「ナカムラさんが好きです」って言おうって。


アナタが抱きしめてくれた時、きっと迎えに来てくれたんだって嬉しかった。

でもアナタは人の気も知らないで「Tと仲良くね」って…。


酷いじゃないですか。

喜ばせておいて、サヨウナラなんて…。

やっぱり、私はアナタにとって“女の子達”のひとりに過ぎないんですね。


でも「頼むから」って、辛そうだった。

だから、「さようなら」を言いました。


ナカムラさん、自分でいうのもおかしいけど私、強くなりましたよ。

TさんがB先輩に似てきたって言うんですよ。

今、Tさんの所から出て自分ひとりで生活してます。


いろいろあったけど…。

ナカムラさん、私元気にやってます。そして ありがとう。


______________________________



「なぁ、姿が消えるのを見られちゃ、マズイんじゃないの?」

「大丈夫だよ、イシカワさんは大雑把だから手品かナンカだと思ってるよ。」


久々に戻ったと思ったら、お小言とは。 “労わり”って言葉を知らないのか。

この部屋のAちゃんポスターやら、グッズがボクのココロをどんなに傷つけるのか…

“気遣い”って言葉を知らないのか。アァ、でもカワイイ。しかしスゴイ数。


さて、ココロのキズを癒すには休暇だね。


「ダダ、ボク明日から休暇だからね。それから廃業の諸々の手続きお願いするよ。」


「休暇?冗談じゃない!」

「オマエが戻るのを待ってたんだ」

「まずサイン会並びに握手会だろ。それと週刊誌のインタビューと

ポスター用の撮影と仕事は山積みなんだ。」


「なんだ、ソレ?」


「オマエとAちゃんとの関係がキュンキュンするって主婦層に大人気でね。」

「オマエの商品価値って今、最高!」

「コレは儲かるよ」


「ダダ、お前ヒトの傷心を商売にするつもりか?ボクのキズをさらしモノにするのか?」

「全部、キャンセルしろ!」


ボクが怒って隣の部屋のドアを開け、そこで見たのは…。

なんで、こんなモノが。

「もう遅いんだって、このポスターも増刷中だから。」


夜会服に黒マント、バラの花束そしてボク。これってTを襲撃した時の…。

「ダダ!」ボクは思わず叫んだ。


「親衛隊には“姫、永遠のお暇バージョン”ポスターも好評だったよ。」ニヤニヤとダダ。


テンション上げるために思いっきり道化を演じたのに、

今さら恥ずかしさに目まいがする。

「…絶対、やらない!」


「ホホー。」この顔をした時のダダは恐い。

「お前、愛しのAちゃんを散々食いものにしたのに、そんな事言うワケ?」


痛いところ突かれた。


「…やってやるよ!スキップでも、なんでもやってやるよ!」


「よーし、今日1日は休んでイイゾ。明日は早いからな!」


誰かボクを慰めて。

ボクはAちゃん等身大ポスターを抱きしめる。グシャグシャと曲がる。

「…ダダ、ボク専用のAちゃん抱枕、作れない?」


「オマエの仕事ぶり次第だな。」


________________________________



珍しいな。

何かいる。

小さい。

小さい奴には力を落とさねば。


「オマエは誰だ。」


「龍さんですか?」

「初めまして。ススムっていいます。」


「ナカムラさんを知りませんか?」

「ナカムラさんを捜してたら龍さんの所に来ちゃたんです。」


「ナカムラ…。懐かしいな。地球にはいないのか?」


「ハイ、色々教えてもらおうと思ったのに。」


「アイツがどんな奴か知っているのか」


「ボクがまだ小さい時に抱っこしてもらったってお母さんに聞きました。」

「だから、顔も覚えてないけど、ナカムラさんと“場所”に行ったのは覚えています。」

「そして、龍さんにあったら、遊んであげてって言ってました。」

「お母さんが作ったお話の中にナカムラさんの名前が出てきます。お母さんは、ナカムラとTはこんな男だって、真似しちゃダメよって言います。意味がわかんない。」


「どんな話だ。」


「むかしむかし ひとりのお姫様を守る2人の騎士がおりました。ひとりはナカムラ、もうひとりはTといいました。でも、ふたりの騎士は意気地なしだったのでお姫様は強くならなければ生きていけませんでした。それでは情けないと2人の騎士は修行の旅にでて行きました。ひとりになったお姫様は今も元気で暮らしています。めでたし、めでたし。」


「龍さん、笑ってるの?」


「…アイツも大変だったんだな。また遊びにおいで。」


「はーい。」

_________________________________


お前専用の抱き枕だ?作るワケないだろ!そんな儲けにならんモノ。

…もう女なんて相手しねェなんて考えてんだろうが、

心の傷なんて、いつか消えちまうよ。

そんなモンだ。

そのうち、思い出して反芻して、気持ち悪くニヤつくんだ。

今は思い出す間も無いくらいコキ使ってやるよ!

_________________________________


ホログラムはAちゃんのハゲオヤジコスプレ。唯一、商品化されなかった映像。

Aちゃんがイヤがるだろうとムコウに置いてきたメモリもソコは消去してきた。

ボクだけのAちゃんだ。


Aちゃん、ダダは酷いんだ。こんなに頑張って仕事こなしたのにキミの抱き枕作ってくれないんだ。誰もボクを慰めてくれない。だからさ、やっと取れた休暇で南の海に来たよ。今、満ち潮の海の小さな岩の上。潮が引くまで誰もココに近づけない。ねそべって歌を歌ってるんだ。もちろん曲は“you are my sunshine”。ココならボクも思いっきり歌えるよ。キミが隣にいてくれたら…きっと大爆笑だな。


スコールだ。雨が気持ちイイ。みんな、元気でやってるかい?


知ってるよ。あの宇宙は血液の細胞の中にあって30日ぐらいで消えるって。でもさ、何だか、皆が側にいるような気がしてね。希望的観測ってやつかな。

 

騒動も時の彼方。愛も夢も希望も絶望も怒りも悲しみも全てのゴタゴタを龍の奥さんはビッグ・バンに解き放つ。みんなの“ココロ”もその辺にいるのかもしれない。そしてボクらは全てを忘れてまた巡り合うんだ。…なんてね。


スコールが止んだ。風が気持ちイイ…。



楽しかった。自分で書いててこんな話になるなんて思ってもいなかった。


ナカムラのモデルは及川光博さん、ミセス・イシカワは江角マキコさんです。

Aちゃんが「いちご100%」の東城綾になっていくのが困ったカンジですね。

それと、魔女の宅急便のセリフがまざっちゃいました。


行き当たりばったりで書いて来たんで、どう話を結ぶか不安ではありましたが勝手に転がってくれました。これでお別れです。さびしいなー。


読んでくれた人、ありがとうございました。

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