5話:スキル
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
あれから何時間たっただろうか。休む暇なくゴブリン共と対峙し続け今ようやく最後の1体を倒し終えた。
流石にあれだけの数を無傷で倒せる訳もなく、体の至る所から血が流れ出している。特に左脇腹の傷がいちばん深くスーツをぐっしょりと濡らしている。
「これで終わりだったら良かったんだけど...」
そう。さっき最後の1体と言ったがそれは通常のゴブリンの話であって俺の目の前にはまだゴブリンロードが優雅に椅子に座って俺を見下ろしている。
体力はもうとっくの昔に尽き、今は何とか気力だけで立っている。身体中の筋肉は痙攣して悲鳴を上げている。
「はぁっ、クソッ、もう体力も残ってないのに一体どうやってあいつを倒せって言うんだ...。」
目の前のゴブリンロードを睨みつけるが相手はこちらを取るに足らない存在だと侮っているのか欠伸をしており、一向に攻撃を仕掛けてくる気配がない。
「俺なんかいつでも殺せるってか...。部下を全員殺されたってのに余裕な態度だな。」
舐められているようで腹は立つが今は願ってもない。まずは体力の回復が最優先だ。
血でぐっしょり濡れたシャツを脱ぎ、適当な大きさに破いて横腹に巻き付ける。気休め程度だが無いよりはマシだろう。
(ほかの小説とかだとここらで強いスキルを手に入れてボスを倒すのがセオリーなんだが、俺が手に入れたのはステータスポイントと魔石のみでスキルは0。)
ゴブリンロードを警戒しつつ、今まで読んできた小説を思い起こしながらどうやって倒すか考えるがなかなかいい手は思い浮かばない。
(通常のゴブリンでさえなかなか剣が通りにくかったのにあいつにはより一層通用しないだろう。じゃあどうする?俺には魔力はあるけど魔法が使えないし...。残っているものといえば倒したゴブリンたちの魔石9999個。もしかして魔力が増えたら魔法が使えるようになるとか無いか...?確かそんな設定の小説もあったし、ワンチャン...?)
バッと後ろを振り返ると夥しい量のゴブリンの死体が散乱している。もう今の段階で考えられる望みはこれしかない。
試しにゴブリンロードの動きに注意しながら足元の最後に倒したゴブリンの死体から魔石を取り出す。
ゴブリンロードは何をしているのかと不思議そうな顔はしているが攻撃をしてくる様子はない。それならばと俺はどんどん死体から魔石を集めていく。
最初は死体を漁る俺の姿に興味を示していたが、100体を超えたあたりからゴブリンロードは船を漕ぎ出し今は完全に眠っている。眠っている今、攻撃を仕掛ければ...とは何度か考えたが返り討ちに合って死ぬ未来しかイメージできず今は魔石を集めることに集中する。
そして1ついい誤算があり、なんとここのゴブリンの魔石は1個につき魔力1に換算された。そのためようやっと9999体のゴブリンの魔石を集め終わった今、俺の魔力は10188にもなった。
「さて、魔力だけ数値がえぐい事になったけどこれといって変化は感じられないな...。やっぱり小説と現実は違うのか...?じゃあどうやってあいつを倒すんだよ!」
攻略方法が見えず頭を抱えていると待ちわびていた画面がようやく現れた。
【魔力が1万を超えました。魔力を消費してスキルと交換することが可能です。スキルを交換しますか?】
「これこれこれ!これだよ!!この展開を待ってました!!答えはもちろん【Yes】!!」
突然の俺の大声に、いびきをかいて眠っていたゴブリンロードが一瞬ビクッとしたが、すぐにまたいびきをかいて眠り出した。
【消費する魔力を入力してください。】
画面の中の【Yes】を迷わず選択すると文字を入力する画面が出てきた。
「......よし、決めた!」
画面に数字を入力した途端、ここに来た時のようにその画面が眩く光だしまた新たな文字が現れた。
【EXスキルを獲得しました。スキル名を入力してください。
EXスキル:???】
魔力10000と引きかえに手に入れたのはなんとEXスキルだった。だがしかしどんなスキルなのか分からず、スキル名もこちらで入力しなければならないらしい。
「もしかして入力した名前がそのままスキルになるってことか...?」
これはこれでめちゃくちゃ難しい。例えば【魔法使い】というような名前にすれば魔法を自由自在に扱えるようなスキルになるのだろう。無限に可能性が広がっている分、なかなか決められない。
何十分もかけて悩みに悩み抜いた末、俺はようやく名を入力しEXスキルを手に入れた。
いつの間にかゴブリンロードは目を覚ましニヤニヤとこちらを見つめている。どうやら俺に変化があったのを感じ取ったようだ。
「待たせたな。じゃあ、やろうぜ?」
【ステータス】
名前:鳴海 幸
レベル:1
体力:400
魔力:188
精神力:290
筋力:400
耐久力:400
敏捷:400
ステータスポイント:0
EXスキル:???




