3話:試練②
「思った通りだ!」
ゴブリンの死体からはそれぞれ小さな石が出てきた。恐らくこれが小説でよくある魔石というものだろう。
付着している血をゴブリンの腰布で拭き取ると綺麗な紫色をしていた。思ったより綺麗だったので手のひらに乗せてまじまじと見ていると、何と手のひらの中に魔石が消えてしまった。
「えっ!?」
予想外の出来事に狼狽えていると画面が現れた。
【隠し試練を開始します。】
魔石を集めてください。
成功条件:魔石10個で魔力1アップ
失敗時:なし
【試練を開始します。】
レベル3:ゴブリン4体
「まじで!?俄然やる気が湧いてきた!」
ゴブリンを倒すとステータスポイントが貰えるというのに加え、魔力も別途上げられるということにやる気が漲る。
もう目の前に現れるゴブリンがお宝にしか見えない。
「次は4体か!サクッと倒してやる!」
剣の扱いにもだんだん慣れてきたので少し手こずりながらも短時間で4体を倒すことに成功した。
「今度は筋力にも1振るか。」
【ステータス】
名前:鳴海 幸
レベル:1
体力:1
魔力:1
精神力:1
筋力:2
耐久力:1
敏捷:7
ステータスポイント:0
「これで魔石が7個。次で10個になりそうだな。」
倒したゴブリンから魔石を取り出しホクホクしているとレベル4の試練が始まった。
【試練を開始します。】
レベル4:ゴブリン8体
「やっぱりレベルが上がる事に出てくるゴブリンも倍になる感じか。ということはレベル10の時は512体ってことか!?」
自分の予想にほんの少しだけ不安がよぎるが深く考えないことにする。今は目の前のゴブリンに集中だ。
今回は短剣2体に棍棒2体、弓が2体に剣が2体だ。遠距離攻撃に注意しつつ、ゴブリンたちの連携ミスを狙って一体ずつ確実に仕留めていく。弓矢の直線上にゴブリンが来るように誘導し、さっきのように矢が当たる直前で避けることによって別のゴブリンに矢を命中させる。
「お前、俺より良さそうな剣使ってるじゃん。それ、俺にちょーだい。」
お前のものは俺のもの方式で剣で殴り倒したゴブリンの剣を奪い取る。自分の剣が刃こぼれと血で切れなくなってきていたのでちょうど良かった。
ゴブリンの剣は俺のと違い刃こぼれ1つなかったのでさっきより断然切れ味がいい。筋力も1上げたため肉も切り裂きやすくなった。
「筋力をもうちょっとあげたら一撃で倒せるようになりそうだな。」
そんなことを考えながらあっという間に8体全部倒し終えた。そして魔石もゴブリンから取り出し、魔力をあげることもできた。
【ステータス】
名前:鳴海 幸
レベル:1
体力:2
魔力:2
精神力:1
筋力:5
耐久力:2
敏捷:10
ステータスポイント:0
今度は付与された8ポイントを体力と耐久力にも1ずつ割り振ってみた。
「うんうん、いい感じじゃないか?そろそろほかのステータスも上げていかないとな!」
【試練を開始します。】
レベル5:ゴブリン20体
※ゴブリンのレベルが2に上がります。
自分のステータス画面に頷いているとレベル5の試練が始まった。
「え!?16体じゃないの?それにゴブリンのレベルが上がるとは???」
予想が外れて困惑している間に前方にゴブリンが現れた。そちらに視線を向けるとこれまでとは明らかに違い、成人男性くらいの体格のゴブリンがそれぞれ異なる武器を手にこちらに向かってきていた。
「わぁ〜、これは予想外。」
素早さはさっきのゴブリンと変わらないものの、力が桁違いだった。棍棒を持ったゴブリンが地面を殴ると地面が大きくえぐれるくらいだ。
「ひえっ。」
次々と襲いかかって来るゴブリンを何とかかわしながら攻撃を加えるが皮膚が固く、不十分な体勢では致命傷を与えることはできない。
「クソッ、かってえな。これ、筋力上げてなかったらやばかったんじゃ...?」
自分の考えにゾッとしながら四方八方から飛んでくる攻撃を避け、1度囲いの中から抜け出す。
「はあ、はあ、こういうの、集団リンチって言うんだぞ!弱いものイジメ反対!!」
囲まれていた時に避けきれずにかすった腕や足から血が滲んでいる。
「あー、もう!痛い!しんどい!主人公たちはなんであんな簡単に倒せてたんだよ!やっぱ小説と現実は違うってか!?」
不満を声に出しながらもヒットアンドアウェイで囲まれないように1体ずつ対処していく。十分な体勢から切りふせれば倒せないことはない。
こうして時間をかけて慎重に戦い、何とか最後の1体を倒すことができた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、しんどっ、これ明日は確実に筋肉痛だな...。まあ、生きてたらの話だが。」
両手と両足を投げ出し、大の字で暫し休憩する。
「はぁ〜ダメだ。またすぐ始まるだろうしそれまでに魔石を取っとかないと。」
だる重い身体を何とか起こし、倒したゴブリンから魔石を抜き取っていく。
全部取り終えて手のひらから吸収すると魔力が2上がった。
【ステータス】
名前:鳴海 幸
レベル:1
体力:2
魔力:4
精神力:1
筋力:5
耐久力:2
敏捷:10
ステータスポイント:20
「ステータスはどうしようかな。またさっきみたいに予想外のことが起きたら危ないし敵が分かってから割り振るか。」
そう思い、【試練を開始します。】という画面が出るのを待っているが一向に出る気配がない。
「あれ、おかしいな。今までだったらすぐに開始されてたのに。もしかしてステータスを割り振ってからじゃないと開始されないのか?」
地面に座ってずっと待っているがやはり画面は出てこない。
「本当に出てこないなら昨日からずっと寝てないし一眠りしたいところだが、寝ている間に襲われたら終わりだしな...。しょーがない、割り振って次に進むか...。」
【ステータス】
名前:鳴海 幸
レベル:1
体力:5
魔力:4
精神力:1
筋力:10
耐久力:4
敏捷:20
ステータスポイント:0
だいぶ悩んだが、敏捷は攻撃を避けるのに必須でいるし、筋力も上げとかないと攻撃が通用しない。あとは万が一攻撃が当たった時のために耐久力も少し上げ、最後まで戦えるようにするためにも体力も上げておいた。
「...うん、これで大丈夫なはず...。」
【試練を開始します。】
レベル6:ゴブリン50体
ステータスを上げ終えてすぐ、試練開始の合図が来た。やはりステータスを上げてからでないと新しい試練は始まらないようだ。
「次は50体か。うへぇ、あんだけいると気持ち悪いな。」
幸いさっきとゴブリンのレベルは変わっていないようで数だけに注意すれば何とかなりそうだ。
向かってくるゴブリンから距離を取りつつ、集団から離れたゴブリンを狙って一体ずつ倒していく。筋力を上げたおかげで一撃でゴブリンを倒すことができている。ただ、ゴブリンの血ですぐ剣が使え無くなるので倒したゴブリンの剣を拝借しながら倒している。
そんなこんなでまた1時間ほどかけて50体ものゴブリンを倒し終えることができた。




