夕方の営業(常連客編、その18)
時計の針はもう17時を少し回り、
近くの公園で賑やかに遊んでいる
子供達を見ながらも夕方の営業に
備えていたその時…
哲男【こんばんは~大将にアコさ~ん】
と毎度おなじみの一番乗りで
暖簾をくぐって店のドアを
ガラガラと開けて大きな声で
店に入っていく
和邦【こんばんは~】
洋之【こんばんは~】と続いて
入ってくる
アコ【いらっしゃい!みんな
いつものでいいのね!】
3人一斉に【お願いしま~す】
アコ【お父さ~ん!日替わりと
揚げ出し豆腐3つお願い】
広志【はいよ~】そう言って
調理に取りかかる
哲男【ああ~涼しいっすね~】の
いつもの指定席のテーブルに
座っていく
アコ【連日この暑さだと、
身体がどうにかなっちゃうわね
~】と話をしながらコップに
水を入れてテーブルに
それぞれ置いていく
洋之【本当ですよ~日干しに
なりそうです】と水を
飲みながら話している
和邦【熱中症になりかけました
からね~】とこちらも
水を飲みながら話している
アコ【本当!気をつけてちょうだいね、
はいおしぼり】と渡している
哲男【ありがとうございます】
洋之【ありがとうございます】
和邦【ありがとうございます】と
それぞれ受け取り
手を拭いたりしている
幸 【いらっしゃいませ~】と
お客さんに声をかけている
哲男【あれ?さっちゃんだよね?】
洋之【本当だ!】
和邦【どうされたんですか?】
哲男【もしかして仕事クビに
なったとか?】
アコ【て・つ・おさん!後でゆっくり
盃を交わしながら、
お話しましょうね】と
満面の笑みを向けている
哲男【冗談ですよ冗談】と
大量の冷や汗を掻き首を横に
プルプルと振っている
アコ【本当に余計な一言多いんだから
~】と呆れながらも
顔は笑っている
哲男【すいません】と軽く頭を
下げている
広志【はいはい、話はそこまで】と
調理しながら話している
アコ【幸、レジと後片付けお願い】
幸 【はい!】
哲男【そういえば~さっちゃんて
確かパン屋さんだっけ、
働いているの】
幸 【そうですよ、社長と女将さんと
3人で営業してますよ~】
洋之【今日はお休みなんですか?】
幸 【遅いGWと言いたいんですけど
社長ぎっくり腰しちゃって…】
和邦【それは何とも…
魔女の一撃ですね】
洋之【くれぐれもお大事にして下さい
とお伝え下さい】
幸 【ありがとうございます!】
アコ【忘れてたわ、はい!お通し】と
それぞれに置いていく
哲男【おっ!ネギいり出汁巻きっすね】
アコ【そうよ!変化ないけどね】と
少し苦笑いで話している
広志【それより哲男君!
そろそろ始まるぞ~】と
時計に視線を送る
和邦【あっ!本当だ】
洋之【もう始まりますよ】
哲男【アコさん、テレビ良いっすか】
アコ【はいはい、いいわよ!】
リモコンを持って電源をONにする
哲男…
実況【さあ、本日は大正球場から
京東トルクヤアトムズ対
島広プーカの試合を
お送りします】
哲男【いよっ!待ってました!】と
拍手を送りながら
テレビの野球中継に
見入っている
広志【アコ、上がったよ】と
出来上がった料理を
盛り付けている
アコ【はい!よっこらしょ】と
おぼんを持ち上げて運ぶ
アコ【はい、おまちどおさま!
めしあがれ】とそれぞれの
テーブルに置いていく
哲男【はぁ~お待ちかね、
今日も良いね~ヤバイね~】
洋之【ありがとうございます!
いただきます】と割り箸を
割ってから手を合わせて
和邦【いただきます】
哲男【今日の日替わりは】
アコ【“カツオとイワシの刺身”と
“メンチカツ”ね!
後は“おからの酢の物”に
いつもの揚げ出し豆腐でしょ】
洋之【イワシの刺身?】
和邦【珍しいですね~】
広志【イワシの鮮度は足が
早いけど、今日のは
生きの良いのが入ってね】
洋之【へぇ~】
和邦【そうなんですか】
各々が割り箸を割ってから
イワシの刺身を一口食べる…
哲男【うまい!】
洋之【本当だうまい!】
和邦【おいしいですね~】
広志【漬けにしてあるから、
味は大丈夫だよ】
哲男【さすがは大将!】と
感心していると
広志【余計なお世辞はいらないよ
はい、揚げ出し豆腐
おまちどおさま】と
各々に差し出している
哲男【大将ありがとうございます
今日も名物にありつけました】
さあ、今日も賑やかな夜の始まりです




