夕方の営業(常連客編、その2)
物語は前回の続編になります
さてさて、時計の針は18時を回り、
小料理屋アコには徐々に賑やかに
なろうとしていたその時
山武【こんばんは~アコさん】と
暖簾をくぐり抜けて
店のドアをガラガラガラと
開けて入ってくる
アコ【武ちゃんいらっしゃい】
山武【今日は後輩も一緒なんで】
周藤【こんばんは~】
早川【こんばんは~】
アコ【あらっこんばんは
いらっしゃいこちらにどうぞ】
とテーブル席を案内している
山武【お邪魔します】
哲男【武さんお疲れ様です】
洋之【武さんお久しぶりです】
和邦【お久しぶりです】
山武【皆さんお久しぶりですね~
というか、いつも野球に
夢中じゃないですか】と
カバンを下ろしながら
話している
アコ【武ちゃん…3兄弟は
いつもの事よ】
山武【まぁ、そうですね】
アコ【はい、おしぼり】
山武【ありがとうございます】と
皆の分を受け取り
それぞれに渡している
周藤【ありがとうございます】
早川【ありがとうございます】
アコ【ところで今日は何にします?】
哲男【アコさんが仮面かぶっている~】
とおどけてながら話すと
アコ【哲男ちゃん今日は
ゆっくりしていってね】と
満面のほほ笑みで語る
哲男【すいませんアコさん冗談です】
と冷や汗をかきながら
ご飯をかっこんでいる
洋之【哲男さん、チャンスですよ
チャンス】
和邦【ノーアウト満塁で
ナスオですよ】
哲男【頼んだぜ~ナスオ~】
アコ【すいません騒がしくて】と
周藤と早川に話すと
山武【いつもですよね?】
周藤【注文良いですか?】
アコ【何にしますか?】と
話をしながらコップに
水を入れてテーブルに
それぞれ置いていく
周藤【枝豆と焼き鳥のモモとつくねと
ねぎまをタレで、あと軟骨は
ありますか?】
アコ【ありますよ】
周藤【そうしたら、軟骨は塩で
お願いします】
山武【ちなみに話すけど、このお店は
串に刺さってないからね!
一品料理で出てくるから】
アコ【単純に面倒なだけよ】
早川【周藤君が肉系なら、
私は魚にいこうかな~】
広志【今日はあまりいい魚なくてね~
“アジのたたき”に“イカ刺し”と
“タコぶつ”がおすすめだよ】
早川【じゃあアジのたたきに
タコぶつで】
広志【はいよ!】
山武【そうしたら揚げ出し豆腐
お願いします】
アコ【はい!ありがとうございます。
ちなみにお酒は隣の酒屋に
行って買ってちょうだい、
その間やっておくから】
山武【じゃあお願いします】と
席を立って歩き出した
周藤【お願いします】
早川【お願いします】
小料理屋アコには飲み物(水以外)
は置いていない
隣の商店で調達するのがルールである
持ちつ持たれつの関係である
さてさて隣の酒屋である崎島商店…
山武【こんばんは~】
ワコ【あらっ山ちゃん久しぶりね~】
山武【瓶ビールと凍結酒ありますか?】
ワコ【あるわよ、そこのお二人さん
は】
周藤【すいません、自分アルコールが
ダメでして】
早川【私も同じでして】
ワコ【じゃあウーロン茶が良いわね
それで、大丈夫?準備するわね】
山武【お願いします】
和子【じゃあこれね、山ちゃん
凍結酒の銘柄は?】
山武【%が低いのでお願いします】
和子【はいはい、アコちゃんに
言っといて後で夫婦で
顔出すからって】
山武【分かりました】
和子【じゃあお願いね】
アコの店に戻る三人…
山武【戻りました~】
アコ【はい、おまちどおさま】と
出来上がった料理を
次々に置いていく
アコ【はい、めしあがれ】
周藤【いただきま~す】
早川【いただきます】
各々が割り箸を割り食べ始めました
周藤【うまい】
早川【美味しいです】
山武【この味ですよ、揚げ出し豆腐
やはり、唯一無二ですね~】
アコ【おだてても、何も出ないわよ】
と自分で言いながら
笑ってしまっていた
今回からの登場人物--------
山武 盛孝…33歳
アコの店に時々通う常連客
近くの会社(乾留設備株式会社)で
働くサラリーマンで妻と2児の父
昔はお笑い芸人をしていたらしい
熱狂的な岡福バンクソフトホークのファン
周藤 純弥…25歳
山武の後輩で今年で入社5年目
早川 愛美…25歳
山武の後輩で周藤とは入社同期
崎島 和子…48歳
アコの店の隣で営む商店兼酒屋の
2代目女将である
先代夫婦はワコが30歳になる前に他界
それからは、夫の信也と社会人になった子供(流星)がいる
崎島 信也…48歳
アコの店の隣で営む商店兼酒屋の
2代目主人
ワコとはイベントで知り合い意気投合