仕入れと準備を…
時刻は昼の13時を過ぎた頃…
広志とアコのお店の前に1台のワゴン車が止まった…車の中からは魚屋の大将である鈴村が下りてきて荷物を運んで暖簾をくぐって店のドアをガラガラと開けて入ってくる
鈴村【お疲れさん】
広志【お疲れ様です、ありがとう】
アコ【お疲れ様です~本当に
ありがとうございます】と
冷えたコップに麦茶を入れて
渡している
鈴村【アコさん、ありがとう
のど渇いていたんだよ】と
コップを受け取り
一気にゴクゴクと飲み干す
鈴村【あー潤ったよ
そうそうこれで良いんかい】と
発泡スチロールに入った
サンマを見せてくる
広志【お~これなら使えるよ】と
サンマを見て視線を鈴村に
向けている
アコ【本当にありがとうございます】
鈴村【いや~こちらこそ助かるよ
宝の持ち腐れになるかと
思ってたから】
広志【持ちつ持たれつだな
そんで悪いがこちらも
頼みがあってな】と奥にある
発泡スチロールを指さして
苦笑いしている
鈴村【はいよ、いつもの事だからな】
と歩いてヒョイと持ち上げて
鈴村【そんじゃ美味しく調理して
やってくれ】
広志【どうせなら食べに来なよ】
鈴村【寄らせてもらうよ
そうそう他のメンバーにも
声かけておいたからさ】
広志【助かるよ】
アコ【本当に何から何まで
すみません、ありがとう】
そう言って鈴村は車に乗り込んで
走らせて去っていった
それと入れ替わる様にお店の前に1台の軽ワゴン車が止まった
車の中からは八百屋の店主である
八百が下りてきて荷物を運んでくる
八百【お疲れさん】
広志【お疲れさんです】
アコ【こんにちは~】と挨拶を
している
八百【こっちは大丈夫そうかい】
広志【停電以外はですね】と苦笑い
している
アコ【ありがとうございます】と
冷えたコップに入れた
麦茶を渡していく
八百【こちらこそこれだと
どうにもならないわな】と
コップを受け取って
こちらも麦茶を一気にゴクゴク
と飲み干している
広志【遅くとも明日の早朝には
復旧するようですよ】
八百【まあ、なるようにしか
ならないからな
そうそうこんなんしか
ないけど何か使ってくれ】と
ダンボールの中身を見せる
アコ【これならアレとアレを
作りますから八百屋さんも
食べにいらっしゃい】
八百【そうかい、たまには
そうさせてもらおうかね
皆も来るんだろ?】
広志【少なくとも魚屋は来ます】
八百【そうしたら後で来るよ】
これで全部だな
それじゃあ毎度】
広志【助かりました、
ありがとうございます】
アコ【本当に
ありがとうございます】と
軽く頭を下げている
八百【頭を下げられるような事は
されてないよ、むしろ
こちらが助かっているよ】
そう言って八百は店を後にして
車を走らせて去っていった
それと入れ替わる様にお店の前に1台の軽ワゴン車が止まった
車の中からは肉丸の店主である
丸井が下りてきて荷物を運んでくる、作業しながらの会話
丸井【こんにちは~】
広志【こんにちは~】
丸井【台風大変でしたね~】
アコ【こんにちは~いつも
お世話になっております】と
冷えたコップに麦茶を入れて
渡している
丸井【ありがとうございます】と
コップを受け取る
アコ【ここで少し疑問のある方も
いらっしゃるので説明します
停電しているのにも関わらず
冷えたコップがあるのは
クーラーボックスに大量の氷を
入れてその中にコップを入れて
いるのです。飲み物は常温でも
冷たく飲める昔ながらの
知恵なのかも知れません】
広志【アコ…】
丸井【奥さんどうしたんだろう】と
困惑した様子を見せている
広志【アコどうしたんだ】と後ろから
軽くトントンと肩を叩いている
アコ【何もないわよ】
丸井【麦茶ありがとうございます】と
飲み干したコップを返している
アコ【のどは渇きますからね~】と
コップに麦茶を入れている
丸井【ありがとう、そうそう
これ何かに使って下さい】と
発泡スチロールに入った物を
開けて見せる
広志【ほうほう、これですか】
アコ【これならお父さん】
広志【これで何となく色々出来るよ】
アコ【今日は市場の皆も来るみたい
だから丸井さんも
食べにいらっしゃい】
丸井【そうですね~たまには
気晴らしでお世話になります
それではこれで全てになります
毎度ありがとうございます】
広志【助かりました
ありがとうございます】
アコ【ありがとうございます~】
そう言って丸井は店を出て
車を走らせて去っていった
それからしばらくして、再びお店の前に1台の軽ワゴン車が止まった
車の中からは乾商店の店主である
渡貫が下りてきて荷物を運んでくる、作業しながらの会話
渡貫【こんにちは】
広志【こんにちは~】
どうされました?】と驚いた
表情をしている
渡貫【乾燥ワカメとかお麩とか
色々持ってきました
何かに使って下さい
避難されている方々に
食べ物を提供されていると
伺ったので】
広志【良いんですか?】
アコ【渡貫さんまでわざわざ
ありがとうございます】と
挨拶してから冷えたコップに
麦茶を入れて渡している
渡貫【八百屋の大将から
話を伺ったのですから
ありがとうございます】と
コップを受け取り麦茶を
ゴクゴクと飲んでいる
広志【すみませんわざわざ】
アコ【何なら渡貫さんも
是非食べにいらして
下さい】
渡貫【時間があれば寄らせて
いただきます
それじゃあ私はこれで…】と
コップをアコに返している
広志【助かりました、
ありがとうございます】
そう言って渡貫は店を出て
車を走らせて去っていった
それから市場の仲間がとっかえ
ひっかえ店に食べ物を置いていき
アコと広志は調理に馳せ参じたの
であります