片付けと連絡を…
さてさて時計の針はもうすぐ11時に
なろうとしています。アコと広志は
朝ごはんを食べ終わったあと、
それぞれ動き始めたのであります。
アコは片付けと家に戻って洗濯を
広志は布団を干してから止水板や
土嚢を返しに行って店に戻って
来ています。店を開ける事も出来なくもありませんが、食糧の在庫も少なくあちこちの状態が不明瞭であり、
更には市場の仲間達が気がかりで
電話をかけているのですが
混線しているのか繋がりません。
広志【やはり繋がらないか~】と
受話器を下ろして電話を
ガチャンときる
アコ【まだ繋がらないですか…】
広志【どちらにせよ今日は店を開ける
のは無理と言えるだろうよ】
アコ【差し入れを勝手に配るのも
今は衛生管理の点から
問題視されるように
なりましたからね~】
広志【そう言っておきながらも
毎回配っているんだけどな
まぁダメなり余ったりしそう
ならば団地のメンバーに
配るとするかね】
アコ【そうですね】
そんな時1本の電話が鳴り始めます。
ジリリリリン…ジリリリリン…
ガチャリと受話器を取って持ち上げて耳に充てる広志
広志【もしもし】
鈴村【もしもし大将かい、
魚屋だけどさ~そっちは
台風大丈夫かい】
広志【こっちは大丈夫です、
先程から幾度となく皆さんに
電話かけているんですけれど
繋がらなくて…】
鈴村【こっちも同じくだよ、
あちこち混線してやがる。
しかも停電だから冷凍庫の残り
が溶けてきてよ商売上がったり
だよ。まあ中身が空に近いから
運が良かったと思う事に
しているよ】とぼやいている
広志【冷凍庫には何が残って
いるのですかね】
鈴村【冷凍のサンマだよ。サンマは
毎年念の為に少しだけ
取りおきしているんだよ。
時々どこかの飲み屋で
使いたいとか連絡あるから】
広志【飲み屋でサンマを…】
鈴村【居酒屋でない飲み屋な】
広志【そういう事でしたか、
それなら大将、原価値なら
買いますよ】
鈴村【少し位売上を】
広志【じゃあこれくらいで…】
鈴村【OK、後で持っていくよ】
広志【ありがとうございます、
後ほど宜しくお願いします】と
挨拶をして受話器をガチャリと
下ろして電話を切ったので
あります
同じ頃、アコにもお客さんが
○○【○○電力の○○と申します、
すみません停電の件で説明に
回っておりまして】と頭を
下げている
アコ【いつもお世話になって
おります、早速なんですけど
電気の復旧はいつ頃になります
でしょうか】
○○【現在○○の何カ所の電線が
切れておりまして、そちらの
復旧にあたっています。
一応なのですが電気の復旧は
早くて15時頃、遅くて翌朝をと
予定になっています】
アコ【翌朝…まぁこればかりは自然が
相手ですから仕方ありません
からね】
○○【ご迷惑おかけしますが
宜しくお願いします】と
頭を下げて去っていきました
アコ【こればかりはどうにも
ならないわね】とため息を
ついていたのです
広志【アコ、どうしたね】と
後ろから声をかける
アコ【電気の復旧は最悪翌朝になる
そうです】
広志【そうか…まぁとりあえず目処が
立って良かったじゃないか、
前向きに行くとしようや】
アコ【そういえば電話はどちらから
でしたか?】
広志【魚屋の大将からで、売り物に
ならなそうな冷凍サンマを
持ってくるとよ】
アコ【まぁどのくらいの量か
分からないですけど
料理している方が気持ちは
落ち着きますね】
広志【一応伝言頼んで仲間達に
売れそうにないもの持ってきて
と頼んでおいた】
アコ【何かしらに使うとしましょう】
広志【何が来るかなだな、
変な物はないだろうけど】