特別編 閉店間際の人々
さてさて、時計の針は20時を
少し回り、店の外は珍しく雨が降り
はじめた事もありいつものメンバー達もぞろぞろ帰り支度して店を後にしていた
広志【さてと、今日は早めの
店じまいかね】
アコ【そうね】と話していたその頃
光山【こんばんは~】と暖簾をくぐり
店のドアをガラガラと開けて
店に入っていく
アコ【いらっしゃい!あらっ、
お久しぶりですね!】
光山【ご無沙汰しています】と
挨拶してからカウンター席に
腰を下ろして座る
アコ【今日はいつもので
宜しいですか?】
光山【お願いします】
アコ【お父さん、揚げ出し豆腐と
焼き鳥の塩と煮込みお願い】
広志【はいよ~】そう言って
調理に取りかかる
光山【いや~久々に来る事が
出来ましたね~】
アコ【そう言えば会社の方は
大丈夫なのですか?】そう言って
おしぼりと手渡して
コップに入った麦茶を
置いていく
光山【ありがとうございます】と
受け取り手を拭いたり
麦茶を一口飲んでいる
光山【実を言いますと昨年度で会社を
早期退職しましてね、今は
民間校長として暁高校に
赴任しているんですよ】
アコ【民間校長?…聞いた事は
あるようなないような…】
広志【確か教育現場に新しい風を
吹かせようとか言うやつだろ】
と調理しながら話している
光山【そうですね、しかし色々あった
所に赴任する事になるとは
思いませんでしたけど…】と
少し苦笑いしている
アコ【結構お疲れですか?】
光山【慣れないという気苦労は
ありますけど、人間観察には
うってつけの現場ですね】
広志【アコ!あがったよ‼】と
出来上がった料理を
盛り付けている
アコ【は~い‼よっこらしょ】と
おぼんを持ち上げて運ぶ
アコ【はい、おまちどおさま
めしあがれ】と
カウンターに置いていく
津雲【はいはい、こんばんは~】と
暖簾をくぐり店のドアを
ガラガラと開けて店に入っていく
アコ【いらっしゃい、
ご無沙汰しています】
津雲【ご無沙汰だね】とカウンター席
に腰を下ろして座る
光山【津雲さん、先日は
ありがとうございました】
津雲【何もしとらんよ、まさか薬を
もらいにいったら所轄が
いるから声かけただけよ、
ちなみに同じのを】
アコ【お父さん、もう一つ追加で~】
広志【はいよ~】と再び調理に
取りかかる
アコ【そう言えば、何かあったん
ですか?】
津雲【この前、高校生がひき逃げに
あった事件があっただろ】
光山【その被害に遭ったのが、
ウチの高校の生徒でしてね、
赴任してようやく少しは
落ち着いたかと思ったら
ですからね】
津雲【おまけに高校生で無免許で
飲酒運転のトリプル役満だよ、
更に加えたら政治家の○○の
ボンボンだとな、しかもそれが
発覚した際に親父はもみ消そう
として圧力をお上にかけたんだ
とよ、呆れて言葉も出ないとは
この事だな】
光山【被害に問題ありのような事を
かかれたらと少しヒヤリと
しましたが…】
津雲【あの状態で避けるのは完全に
不可能だ、色々SNSでぼやく
輩もいたが監視カメラ
の映像が公表されたら見事に
黙りこくったよ】
光山【あれは津雲さんが…】
津雲【そんなわけあるかい、あれは
所轄の捜査資料のものだよ、
まぁ不都合な事はスルーして
いるウチらの業界の体質改善は
遅々として進まないがな】と
ぼやきながら麦茶を
一口飲んでいる
アコ【色々話している所、
悪いんやけど光山さん
早く食べてもらえます?
冷めてしまうので】と満面に
笑みを向けて語りかける
光山【おっと失礼、いただきます】
そういって割り箸を割ってから
食べ始めた
広志【アコ~津雲さんの分も
あがったよ‼】と出来上がった
料理を盛り付けている
アコ【は~い‼よっこらしょ】と
おぼんを持ち上げて運ぶ
アコ【はい、おまちどおさま
めしあがれ】と
カウンターに置いていく
津雲【久々だな、いただきます】と
こちらも同じく割り箸を割って
食べ始めた
光山【久々の味です、落ち着きますね
~】
津雲【本当だな、数少ない
憩いの場だな】
広志【お褒めに預かり共栄至極に
存じます、と言いたい所だけど
おだてても何も出ないぞ~
あるのはアコの酒の付き合い
くらいだがな】
アコ【今はお酒の量減りましたけど】
光山【そこはノーコメントで…】と
煮込みを食べている
アコ【そう言えば光山さんは
お酒は今日は飲まれないの
ですね】
光山【明日もありますからね、
夏休みへ向けての会議と
いうものが】
広志【夏休みか~早いな~
もう半世紀までとは
言わないけどな~】
津雲【夏休みなんて子供の話以外で
聞く機会ないからな~】
光山【子供といえば津雲さんの所の
拓真君もそろそろなん
じゃないですか?】
津雲【そう言えば話して無かったな
この前に孫が生まれてな】と
ポケットからスマホを
取り出して操作して孫の写真を
見せている
アコ【可愛らしいですね~女の子】
津雲【男の子なんだけどな…】
アコ【あらら…ごめんなさいね】
光山【この頃は見極めが難しい
ですからね】
広志【それで名前はなんて】
津雲【太陽の陽に真実の真で
陽真だとよ、色々
すったもんだはあったけどな】
光山【それはおめでとうございます】
津雲【ありがとうございます
そう言えば大将の所は
どうなんだい】
広志【ウチもとりあえずだけどな
まだ籍とか子供は分からない
けどな】
アコ【でも孫の顔を見る事が
出来たら、
まだ力が沸いてくるわね】
光山【ウチの孫は今年で3歳に
なります、
時の流れは早い者です】
津雲【そうだな~】
そこからみんなありとあらゆる話を
して、久々の宴を楽しんだのでした
今回の登場人物ーーーーーーーーーーーー
津雲 京介…52歳
東葉日報遊軍部記者
現在は単身赴任中で時々来店する
光山 忠彦…52歳
かつては東洋物産の専務まで
勤めあげたが色々あって退職し
民間校長として暁高等学校に赴任




