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⑵『汽笛の残響』

⑵『汽笛の残響』



汽笛がなんのことか、明確に分かって居ない上で、小説を書き進めるなどと言う、馬鹿気た行為をしている訳だが、だがしかし、汽笛の残響というタイトルは、実に気に入って居るのである。汽笛の残響は、或る種のノスタルジアを思い起こさせる。



自分が生れる前の、もっと昔、人間が、列車を創り出した頃に、鳴らされたであろう、汽笛の事を思うと、人間の創造の何と豊かなことか、という、光から光へと、それは闇の無い、光から光への、美しさを思い出させるのだ。



汽笛、俺は、汽笛に眩暈がするだろう、勿論、良い意味で、である。汽笛の残響に浸って居たい、とも思うのだ。ああ、汽笛よ、なんとその、文明の灯りを思わせることか、と思う訳で、であるからして、汽笛は崇高である。

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