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⑴『汽笛の残響』
⑴『汽笛の残響』
㈠
汽笛の残響、という言葉を思い付き、それを小説のタイトルにしたは良いが、何から書こうか、迷っているという始末である。そもそも、汽笛というものを、言葉の響きとして知って居るが、実際に聞いた覚えがないのだ。
㈡
あの、電車は発進する時に、合図にして居る奴だと思うが、俺には興味のないことなのである。しかし、もしも、汽笛というものが、音として響き、発車後に、ホームに残響として残るなら、何か大きな意味が有りそうである。
㈢
汽笛の残響、俺は、夢の中で、様々な人々に会うが、夢の中で、一度も、汽笛の残響を聞いたことがない。不思議なことだが、汽笛の残響を思えば、列車の主体的実存が、脳内でありありと、反芻されることは、自目の理である。