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第三話 ファンブル相棒と荒ぶる心情

SAN値チェックが少し変なタイミングで入っています。すみません。

鼓動が、高鳴っていた。


「とりあえずここにいても仕方ないしなー」


辺り一面芝生、周りに情報どころか人間が生活するのに必要な物すらないこの状況下。

神様にはほんと、もう少し異世界の中でもまともな場所に飛ばして欲しかったものだ。


まぁ、いきなり魔物とかクトゥルフ神話に出てくる生物に出くわさないだけマシかもな…。


「移動するか」


「そうですねー、まぁ私はマスターについて行くことしか出来ませんが」


そう言い、ついてくるサイコロ。

もうこいつにも慣れてしまった自分が逆に怖い。


「あっ、そうだ!行く方向をダイスで決めるのはどうでしょう!」


「それはいいかな、なるべく自分の選択は自分の意思で決めたいからさ」


そう言いながら過去に経験してきたクトゥルフ神話TRPGを思い出す。


GMによるものの、過去に何回サイコロに泣かされたことか…

更には今回におけるキャラロストは人生のロストとまできた。

後悔のないように生きたいと強く思う。


「んー…じゃあこっちに行こうかな」


そう言い、適当に正面の方向を指した。


「自分で決めときながら決めるのは適当なんすね」


「まぁ、辺り一面芝生だし選ぶもなにもないだろ」


「それもそうですね、ならダイスで良かっ

「えぇい!とりあえず進もう!」


いい加減サイコロとの会話は終え、足を運ぶ。


足が軽い。

新しい冒険の好奇心のせいか、未知への探究心のせいか、はたまた身体の調子がいいのか、

分からないけど今日ほど歩くことが楽しいと思うことはきっとないだろう。


「思わず走りたくなりそうだ」


「マスターもまだまだ子供ですねー」


そう言いながらフワフワと浮いてついてくるサイコロ。

改めてこの生き物?の異様さを実感する。


「なんですか?見つめて、もしかして本気で私に発情してるんですか?」


「それは絶対ないから安心しろ」


「そうですか…これでもボディには自信があったんですがねー」

「サイコロにボディもくそもあるかい!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



そうどうでもいい会話をしながらどれくらい進んだだろうか、


「うわー…森だ」


「そうですね、いかにも森という森ですね」


俺たちは遠くに見えていた森へと到着したのであった。


「まさかマスター、こん中入る気ですか?」


「いやいやー、流石にどんな危険があるかは分からないし…。しばらくは森沿い進んでなにかないか探してみようかな」


「それはいい考え…、マスター目星もしくは聞き耳を振ってください」


急にサイコロの声のトーンが下がる。


「えっ...?なにかいるのか?!」


「流石マスター勘が鋭い、マスターの目星に+10しときます!マスターの目星は現在25、聞き耳は15です!早く!」


数値が15って、初期値じゃねーか!目星や聞き耳は一般技能だろ!もう少し頑張れよ、俺!


そうぼやく前に俺はサイコロを掴んで振りかぶった。


「目星で頼む!ダイス、ロール!」


クルクルクルクル、バァァアン!


宙に回転したサイコロが数回転して止まり、サイコロの面に数値が表示される。


「14!成功です!マスター森方向をもう一度見てください!」


そう言われるのが先か、俺が振り向くのが先か、俺は森に目をやった。


ゾッ!と背筋が凍る。

森の木々の後ろのそこには、一体の熊のような化け物が、俺を睨んでいた。


っなんだよあれ!

ふつー、異世界飛ばされたら最初は好スタートきるのが一般的だろ?!


「マスター!狙われてます!次の行動を早く!」


そっ、そうだ!逃げなきゃ!

叶うはずがないんだ!


そう考えるのが先か、俺は森とは逆の来た方向へ逃げ出していた。


「まっ、マスター!マスターのSTRは14で、奴は20!自動失敗ですよ!このままでは…


(STR、運動における能力値)


ウガァァアアア!!!!


後ろをちらっと振り向くと、熊の化け物がもうそこまで迫ってきていた。


まっ、まずい追いつかれる!

そう思うか否か俺は横に飛び退いた。


ドンッ!ゴロゴロゴロゴロ


すぐ起きあがれ!起き上がれ!


ズザザザザザー…


獲物を一瞬見失った後ろにいた巨体がブレーキをかけていた。


また目と目が合う。


森から離れ、改めてその巨体と対面するとより圧倒される。


足は震え、膝は笑い、腰はひけていた。


やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい


「…スター、マスター、マスター!マスター!」


サイコロが耳元で叫ぶ。


「SAN値チェックを自動で行います!正気を保ってください!このままじゃ死にますよ!マスター!」


(SAN値、正気度)


あーもう、無理だ!死ぬ!

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ


クルクルバン!


「まずい、POWが低すぎる…っ!マスター!SAN値が下がりすぎてます!アイディアロール!!」


(POW、精神における値)


お願いだから神様…


…助けてください


クルクルクルバンッ!


「…マスター、ごめんなさい。…ファンブりました。」


…は?


瞬間、

胸の奥から声にならない声が込み上げてきた。喉は枯れ、身体は思うように動かなかった。


化け物はニヤリと笑い、一歩、また一歩と近づいてくる。


鼓動が、高鳴っていた。


初投稿です。

よろしくお願いいたします!

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