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第二話 ダイスロールで始まる旅路

暖かな太陽が照らしていた。


そこには一面芝生が広がっていて、遠くは森で囲まれていた。さらに向こうには山々が連なって、太陽が自分を照らしている。


……………?

…えっ?

はぁ?


「……えっ?…はぁ?」


俺、さっきまで自分の家に居たよね?


「はぁ?」


上手く頭が働かない。


どれくらいたっただろうか。一、二時間たったような、はたまた五分ぐらいだったのか。

俺はようやく考えがまとまった。


「夢…か」


そっかー、エナドリ飲んだとはいえ日常的な疲れはあった訳だし、全然寝たってことはありえるしなー、うんうん。


「夢かぁー!」

「夢ではありませんよ」


「うぉっ?!」


突如目の前に不可解な声のする物体が飛んでくる。

思わず尻もちをつく。


「っつー……」


声にならない痛みが湧いてきて、ようやく現実だと実感する。


「大丈夫ですか?マスター」


まっ、マスターって俺の事なのか?てかこの生物?物体?はなんだ?

そんな疑問を抑え、恐る恐るおれは目を開けた。

声のする物体は…、ひとつのリンゴぐらいの大きさの、


ダイスだった。


「なんですかー?ジロジロみて、マスターのエッチ」


「いや、ダイスにエッチもクソもあるかい」


思わずツッコんでしまう。


「よかったー、意識が正常に戻りましたね。私ヒヤヒヤしましたよ、まぁダイスだから体温はないんですけど」


「いや、こんな喋るダイスあってたまるか」


こんな不可解な現象が起こっていてもなお、やっと普段の自分らしさが戻ってくるのを自分でも感じた。


「それもそうですね!いや、ナイスツッコみです!マスター!」


「いや、ダイスに褒められても…ってか、ここどこだ?俺は家に居たはずじゃ?」


そう言い、もう一度あたりを見渡す。


「何言ってるんですかマスター。あなたは神様にこの異世界に招待されて、承諾したじゃないですか」


…はぁ?


「えっ、神様?ってもしかしてかみさまさんのこと?!」


「はい、そうですよ?今頃気づいたんですか?マスター」


「いや、気づくも何もふっつーわっかんねーだろ、

たしかにー?、アカウント名がかみさまだったのは変わった人だなとは思ったよ?だけど本物ってことある?そんならもうちょい威厳見せろよ、分かるわけないじゃん!」


「ちょっとー、マスター。あまり神様の悪口言ったら運のステータスが落ちますよ?」


「そうだとしても、だ、れ、が、かみさまさんが神様で、シナリオが異世界生活で、承諾が異世界転移だと考えつくんだよ!いくらなんでも都合良すぎだろ!」


「まぁ、それもそうですよねー」


「てか、クトゥルフ神話TRPGってるけど異世界来ちゃったからクトゥルフもTRPGも間違ってんじゃん、これただの神話RPGだよ!」


「その辺は実はあながち間違ってないんですよー、実はこの世界にはファンタジー系なモンスターはもちろん、マスターがいた世界で言われているクトゥルフの存在も確認されてるんですよねー、まぁ世界真理に関わることなのでこれ以上は言えませんけども。あと私というダイスがいるので一応TRPG、テーブルトークロールプレイングゲームが成立しているという訳です!」


「なるほどー!それなら納得だよー…ってなるかい!!」


「あちゃー、それっぽい説明じゃ流石にダメでしたか」


はぁー、気が狂いそうだぜ…ってもう狂ってるのか。とりあえずしてしまったものはしてしまったのだと納得するしかない。

ん?いやまてよ?


「えっと…このシナリオが異世界転移ってなるならエンドはどうなるんだ?俺は元いた世界に帰れるのか?」


「えっ…と、帰れるには帰れますよ!帰り方は世界真理に触れてしまうので話すことは出来ませんが実現可能とだけは言っておきますね。あっ、あとエンドはマスターの人生の最後に当たります!」


「あっ、こういう系って帰れないものばかりだと思ってたけどそれなら安心だわ」


「これで安心って言えるあたりマスターも最近の若者って感じがしますがね」


いや、それ以上にびっくりすることが起きたからな、それどころじゃないのだよ。ほんとに。


「まっ、まあいいや、とりあえずここはどこなの?草原にしか見えないけども」


「はい、草原です。」


「いや、もうちょい情報ないの?どこにある草原なのとかさ」


「よくぞ聞いてくれましたマスター!知識を振ってください!」


ここぞとばかりサイコロが存在をアピールしてくる。


「なるほど?その辺はクトゥルフ神話TRPGと同じなのか!技能を振って成功すれば情報が落ちると、ふつーの異世界系みたいなチートが俺の場合お前って訳か!」


そういい声の発するダイスをさわる。


「マスターの好きな投げ方でいいですよ!まぁどんな投げ方しても壊れないですし必ずマスターの半径1メートル以内に帰ってきますが」


「へー、面白いな」


「では記念すべき一投目!マスターお願いします!」


「ダイスロール!」


そう言い、俺はダイスを振った。


「あっ、ちなみに知識の技能って数値どれぐらいなんだ?俺って?」


ふと聞いてみる


「そうですねークルクルクル」


回りながらのダイスが応えてくれる。


「元いた世界で使えた知識ですと55となるんですが、マスターのこっちの異世界についての知識は現在1です」


「…いち?」


「はい、あっ、出ます!」


バァァアン!


「23!いやー、惜しかったですね」


「いや、1クリ出さないといけないとか無理じゃん!不可能ではないけどほぼほぼないじゃん!無駄振りじゃねーか!」


「いやー、早くマスターに振ってもらいたくて、テレテレ」


「サイコロに照れられても嬉しくねーよ、まぁいいや、過ぎたことは」


そういい、一呼吸つく。こんな状況下に置かれても楽しんでる自分がいる。

こうなってはもう仕方がないのだろう。とことんこの異世界を満喫してやろうじゃないか。

そう思いながらダイスに目をやる。


「ダイスロールとともに」


暖かな太陽が照らしていた。


初投稿です。

よろしくお願いいたします!

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