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第一話 突然始まったリアルRPG

風が髪を揺らしていった。


「春っつても風はまだ冷たいな…」


そう呟きながら俺は帰路を急ぐ。


ちゃっちゃと帰って、あいつから紹介される新規の人と繋がって、キャラシ作って、その前に夕飯食べといて、ってやること多いなおい。


そう考えながら段々と駆け足になる。脳はやらなければならないことを反復して記憶し、心は踊り、身体はそれに伴って動いていた。


「ただいまーって、誰もいないか。」


声が静かな家に響く。

母親は俺がまもない頃に他界して、父親は出張続きで年に一、二回帰って来ればいい方。三つ上の兄貴は大学に入るにあたって上京していった。


寂しくないっていったら嘘になるが、父親とは毎日欠かさず連絡してるし、兄貴からも欲しいものを月一は聞かれて送られてくる。お金も生活に困らない程あって、ガスや電気、水道もろもろめんどくさいものを父親が済ましてくれる。

離れている分、俺の事を思ってくれる大切な大切な家族である。


そんな静まり返った家を忙しそうにドタバタと駆け回る。


「冷蔵庫の中のエナドリのストックから二本ばかし取って、


夕飯は…今日ぐらい菓子パンでいっか。


キッチンパントリーに…あったあった、メロンパンとアンパン、って甘いもんしかないな。


なんかしょっぱいもん、しょっぱいもんっと」


寂しさを紛らわすためなのか、小さな頃から家にいる時は独り言を言う癖がついていた。


「じゃが棒でいいや、ほなもろもろもってと」


二階の自分の部屋へと駆け上がる。


「ゲーミングPC起動!っと。連絡ツールのディセコ、ディセコっと。」


そう言いながら連絡ツールを開く。


「って、もうあいつと新規の人通話入ってんだけど、はっや」


すぅー、はぁー。

深呼吸をし、上がりすぎたテンションを元に戻す。


ティロン!


「ーんで、サックサクのパイ生地の中のトロトロでアツアツのホワイトチョコのクリームが、あっ、来た。遅いっておまえ、」


「おい、むっちゃ気になるなぁそれ」


「まぁまぁ、明日教えるわ!っんで悪い。俺もうあっちに呼ばれてるからさ、かみさまさんに事情は説明したからあとは二人に任せていい?」


「あぁ、わかった。ったく、忙しいなお前」


「悪ぃな、ほな!あっ、かみさまさんもほんとにすみません!」


「はい、いいですよ。気をつけて行ってきてくださいね。」


「あざます!また今度、絶対やりましょう!」


ティティロン


そう言って通話からリア友が抜けていった。

忙しいとはいえ互いの自己紹介ぐらいは取り持って欲しかったけれど、まぁ仕方がないか。

今度奢ってもらうことは俺の中で確定したぜ。

ってそんなことは置いといてと。


「えーっと、かみさまさんでいいですか?呼び方」


「はい、もとよりそう呼ばれていますから。本日は来てくださってありがとうございます。」


「いえいえー、俺もあいつから言われて楽しみでしたし、大丈夫ですよ!あっ、俺はタンっていいます!既にあいつから教えられたかもしれませんが…」


この人めっちゃ敬語やな、おい。


「タンさんですね、この度はよろしくお願いします。」


「はい。んで、早速今回のシナリオのキャラシ作ろうかなって思ってるんですけどなんか振った方がいい技能あります?」


(キャラシ、キャラクターシートの略)


「いえ、既に出来上がっているので大丈夫ですよ。」


「えっ?あっ、そうなんですか」


あいつが作ったのか?まぁいいや、あいつ変な技能入れてなきゃいいけど…


「それじゃあそのキャラシ、一応送って貰えると助かります」


「んーと、そうですね。キャラクターシートはシナリオが始まったらでいいですか?そちらの方が説明が省けるので。」


んー、何か特殊なシナリオなんかな?まぁいいや。


「わーっかりました!ほなら自分はもう行けますけど、どうします?」


そう言いながらエナドリを開ける。

プッシュー…、いい音なってるぜ、おい。んで夕飯の菓子パンは考察してる時にでも傍らで食べてるか。

そんなことを考えながらエナドリをゴクゴクと飲む。


「もう行けるのですか!流石は色んな冒険をされてきた方々ですね!」


色々なシナリオのことかな?


「ですが、本世界では特にしなければならないことはないので自由に楽しんで貰えたら嬉しいです。」


自由度が高いシナリオなのかな?キャラシをシナリオ開始から教えてもらうってなってたから

、いかにも特殊なシナリオだと思ってたけど。

まぁ自由度が高い方が新規の人がGMをやるとなったら回しやすいのか。


「それではこれよりクトゥルフ神話TRPG、自由の旅路を始めさせて頂きます。タンさん、よろしくお願いしますね!」


「はーい、お願いします。」


そう返事をして目を開けると、俺は見たこともない場所に一人で立っていたのであった。

宙に浮いてるダイスと共に。


風が髪を揺らしていった。


初投稿です。

よろしくお願いいたします!

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