二日目
活動報告にも書きましたが、この作品の題名やら何やらいろいろ変更してます。詳しくはそちらの方をみてください。
ニアンが個名を得たことによる宴会的なものが開かれたが、食事の量は少ない。
もともと食事はその日の戦争が終わったあと、殺した者の血肉を喰らう。そのため、怪我人や治療専門に駐屯地にいる人、駐屯地を防衛する人用の食料ともしもの分の備蓄しかない。
ヴァルクは怪我をしたので食事が回ってくるが、ニアンは、休憩がてら戻った後にお茶を飲んでいたため、そのまま今日の戦争が終わってしまい、戦地での食事に参加できずまだ食べていないのだ。
「ヴァルク……おいしそうだね……ちょっとくれないかな?」
「ダメだ。これは怪我人に渡される食事だ。」
「ヴァルク……と…友達だよね?」
「そもそもお茶してくつろぎすぎたお前が悪い。」
「ウグッ」
ニアンはヴァルクの食事を少しもらおうとしているが、正論を言われ反論できずにいる。
ヴァルクはニアンの結構ご飯を食べたいという気持ちに気付いているのか、若干からかっているようにも感じる。
ニアンはその後何とか頑張って食事にありつけた。だがそのかわりに失ったものは多額の貯金である。
その額はそれほど多くないが、戦争に行っていないためまだ収入を得ておらず、国の支援金だけで生活しているニアンにとってはかなり辛いものとなる。
「この量のご飯に貯金のほぼすべてが……あぁ……もう少し頑張るべきだったなぁ」
ニアンはもう少し口論すればヴァルクのことだし普通にくれたんじゃないかと後悔しながらご飯を食べる。
ニアンにとってその日のご飯はお金の味がしたとか。
◆
二日目。朝になり、駐屯地にいる皆は欠伸をしたり、体を伸ばしたり、顔を洗ったりとそれぞれが行動している。朝ご飯はない。わざと腹を空かせて、龍としての空腹の本能を高めるためだ。
「さてと!二日目になった。俺も準……」
「ヴァルクさん!!あなたはまだ安静にしていてください!!傷が開きますよ!!」
「そういえばそうだったな。」
傷の状態が分かっていてそれでも行こうとしていたのか、単に忘れていてまた戦おうとしたのか分からない反応をされてバンドは若干困惑している。それでもヴァルクはバンドに注意を受けたため、素直に安静にする。
「ヴァルク、お前の分は俺たちが頑張るからな!!ゆっくり寝てろ!」
そこへアスト、フレア、ニアンがお見舞いへ来る。
アストの言葉はヴァルクを心配して言ったものなのだろう。だがヴァルクにとってはそれは逆効果。
「バンドさん、行きたい。」
かなり真剣な目をしてバンドの方へと向く。
「ダメです。治ったら、存分に暴れればいいじゃないですか。」
「そうだな。」
バンドはなんとか理由を付けていかせないよう頑張るつもりだったが、すんなり受け入れてしまったため、少し空回りしてしまった。
「とにかくお前ら、死ぬんじゃねぇぞ?」
「そりゃ当然!!」
「大丈夫。ファウスさんがいるから。」
「私も空飛んでるだけみたいなもんだし。お腹さえ空かなければねッ!!」
アストとフレアは素直に答えてくれたが、ニアンは昨日のことを恨んでいるのか、ヴァルクを睨みながら強めの口調で意気込む。ヴァルクもそのくらいの気持ちがあるなら大丈夫という気持ちを目で伝えている。
しばらく四人で雑談していると、号令がかかり、ヴァルク以外の三人は戦地へと行く。ヴァルクは頑張ってほしいと言わんばかりに手を振って見送る。
「さーてと、寝るか。」
暇だけど、朝なこともあってまだ眠気のするヴァルクはそのまま眠りについたのだった。
◆
「――よし。突撃。」
ファウスのその言葉でディフェルグの部隊に所属している全員は戦地へと突っ込む。
ニアンは個名を得たことから昨日よりも張り切って突撃を繰り返す。
昨日ニアンの事が味方の全駐屯地内で報告されたため、ニアンを見たものはそれについて行く。
「突撃入ったぞ!!!今だぁ!!」
「ウオオオオオ!!」
見方もニアンの突撃を見計らってどんどん敵を攻撃していく。
そんなニアンの動きにアストとフレアも負けていられない。
アストは地に潜り、敵のいるところへと向かう。敵の足音を拾い、そこに向かって顔を出す。
敵には直撃しても殺せるかと言われたら若干微妙である。だが彼に攻撃は通せない。
なぜなら硬い鱗に護られている彼には簡単に攻撃は通らない。さらにほぼ常に地に潜っているのだから攻撃を当てることすらままならない。そんな敵がいるだけで常に警戒しなくてはいけないため、目の前の敵とは満足に戦えず、そのまま死んでいくのだ。
フレアは喉を膨らませ、より高威力の息球を撃ち込もうとしている。準備、後隙どちらもかなり大きいがそれで得られるメリットはある。
フレアは息球の準備をしたまま敵地に突っ込む。流石にそのまま死ぬのは良くないと、アストが着いてきている。
「アフト、へひふならへきよへて。(アスト、出来るなら敵寄せて。)」
「分かったよ~っと!」
アストはこの言葉を聞き取っているが、実際の声は息球の準備をしているため、口の中いっぱいにご飯を詰め込みながらしゃべっている状態に近い。それでも聞き取れるのはその練習と深い友情によるものである。
アストはわざと敵の後ろに顔を出し、敵を離れさせる。そうするとフレアの方に敵がチャンスだと思い込み突っ込んでくる。
フレアは待ってましたと言わんばかりに思いっきり息球を撃ち込む。
この一撃の威力は味方の士気を大幅に上げ、敵の士気を大幅に下げた。
フレイミアはこの攻撃が普通であるため、個名を持っているヴァルクやニアンより破壊力、殺傷能力があっても個名はそう簡単には得られない。それでもフレアには個名を得たい気持ちがあるのか、同じ息球をもう一発撃ち込もうとする。
本来フレイミアは高威力の息球を撃ち込むと器官を少し冷ますためにしばらく待たなくてはいけない。なぜなら撃てたとしても、器官に火傷を負ってしまうからだ。
別に二度と撃てなくなるわけでは無いが、火傷が治るまでの間は息球を撃とうとするとかなりの激痛が走る。
「おいフレア!それは……」
フレアはアストの言葉を二発目の息球で遮る。
体に負荷がかかっても、味方の士気は上がり続ける。フレアにとってはハイリスクハイリターンだが全体で考えれば一人戦闘不能になったところで変わらない。つまりローリスクハイリターンというわけだ。
そのことを考えてフレアは二発目のブレスを撃った。
フレアは火傷になろうと構わない。そう思って撃った息球。だがその覚悟は無駄になったようだ。
「あれ……?痛く……ない?」
「ハァ!?」
フレアは火傷を負わなかったようだ。
「もう一発……いい……かな?」
「……」
フレアはアストに確認したが、驚きのあまり、声を出さず、頷くだけだった。
フレアはさらに息球を撃ち込み敵を殲滅し、味方の士気を上げていく。
十発撃つと、流石に負荷に耐えられなかったようで、
「痛ッ……!!」
「火傷か?」
フレアは首を横に振り、火傷ではないことを証明するために小さな息球を出す。
「多分、一気に撃ちすぎて、体が撃たないようにしてるんだと思う。」
「まぁ、そうだよな……」
アストは少し驚きつつもホッとしている。フレアが‘‘個‘‘を示すのに充分すぎる力を持っていること、
そしてそれを示すために頑張りすぎても怪我しなかったことである。
この状況を空から見ていたニアンは、
「やばいな~私せっかく個名もらったのに、フレアに負けちゃうよ~」
そう言いながら空を飛んでいた。その時突然、
「危ない!!」
味方の一人がニアンに空中でタックルしてきた。
「え!?何!?」
あまりにも突然なことでビックリしながら後ろを振り向くと、
「嘘……」
味方が血を吹き出しながら地上へと落ちていく。死んだのだ。
そしてニアンは自分の耳で羽ばたく音は自分と味方以外、何も聞こえていなかった。
この時、ニアンはまだ気づいていないが、ニアンの羽ばたく近くで一匹、鳥のような見た目をした何かが飛んでいるのだ。
キャラの話し方は大体こんな感じかな~って思いながらセリフ書いているんですが、フレアのだけ、二重人格みたいになっていて、ちょっと空気読めない感じの話し方?少し強気な感じの話し方?どっちの話し方だっけ…?ってなっています。一応少し強気な感じの話し方って思っているんですが、間違いそうですね~。(他人事)