初陣
書き始めるのが遅くなって土曜日投稿を逃しました。(´・ω・)
まぁ、頑張っている(つもり)なので大丈夫ですよ。きっと…
一週間後、保守派との冷戦状態が終わりまた戦いが始まる。そしてアスト、フレア、ニアンの三人が初めて戦地へと行く戦いである。
訓練所の十五を迎えた者が皆寮から駐屯地へと向かう。そこに三人がいる。もちろん、ヴァルクもだ。
「いや〜緊張するな〜!!」
「そう?あんまりそう感じない。」
「う〜ん。なんとも言えないなぁ〜!」
「もう慣れた。」
「「はぁ!?」」
アストの問いにフレア、ニアン、ヴァルクの順に答えたが、ヴァルクの返答がブッ飛んでいるのでアストとニアンが驚いてしまった。
しばらく道中を雑談しながら通っていると、道が開け、駐屯地が見えてくる。
この駐屯地は数ある駐屯地の一つ。だがその中でもこの駐屯地は大きいものとなっており戦場の中心に最も近い場所だ。
全員が駐屯地へと着くと、駐屯地に先にいた指揮官らしき男から
「皆のもの!!よくここへ来てくれた!!まずは歓迎したいが…保守派が早速攻勢に転じようとしている。早急に準備を済ませ準備が完了できたものから部隊に合流し、戦うのだ!!」
あまりに突然な言葉に一瞬どよめくものが多かったが、上官たちが声を張り上げたため、全員つられて声をあげた。
準備といってもここにいるものは武器をあまり頼りにしない。だから、準備というのは水分補給といった休憩の意味を込めている。もちろん、武器を使って戦うものや作戦として使用するものもいるが。
四人は特に疲れている様子でもなかったので、すぐに戦地にいる部隊と合流する。
合流した部隊の名は「ディフェルグ」。「ディフェンス」と彼の龍化の種の名前である「レディルグ」の一部から名付けた部隊だ。「ディフェンス」の名の通り、守ることに特化した部隊だが、反面攻撃力に欠ける。そのため今回は初陣の者達を部隊にいれ攻撃に優れるものをスカウトしようという考えなのだ。
部隊長はファウスという名である。革命派の中でもそれなりに名の通っているものであり、個名は「絶撃の鎧」である。レディルグは基本種ほどではないがそれなりに数が多い種である。その中でも‘‘個‘‘を示せるほどの力を有していると考えるのならばその実力は本物だろう。
「今回、この部隊と合同して戦わせてもらう、「冥界の手」と、」
「アスト。」
「フレア。」
「ニアン。」
ヴァルクが代表してファウスに声かけをし、皆が名前を叫ぶ。もちろん、他の者も名を叫んでいるが、結構な人数いるので省いておく。
「よし。早速だがもう突撃するぞ。俺らの部隊で守れるものは守っておくから怪我はしないが…俺たちは最強な盾なわけじゃないし、何より初陣で怪我しないって余裕ができた時に次怪我したらその余裕がなくなるから、できることなら全部躱して欲しい。だがこれは言える。死なせるために戦わせてはいない。ということだ。」
ファウスは強い口調でもないが聞いているものに適度な緊張を持たせ、同時に安心させている。檄を放つ者としてはこれ以上ない逸材とも言えるだろう。実際、初めて檄をかけられて困惑するであろう者たちが自分の意思で初めて声を出す者が多いからだ。
声が響ききって静まった頃にファウスは
「よし。突撃。」
と放ち戦いが激しいところへ突っ込む。檄を放った時は整列させていたため、龍化は誰もしていないが、突撃したその時に既に皆が龍化している。そこに一匹だけ誰よりも速く飛び込んで突撃する者がいた。
その者の名はニアン。種は「リジェント」。「吸気嚢」という器官から空気を吸い、「排気嚢」と呼ばれる器官から空気を一気に放出し加速する。これらの器官が翼に数十個はついており、向きをそれぞれに変えることで精密な飛行も可能としている。そして、空気抵抗を限りなく減らす体の構造と、その空気抵抗にも耐えうる鱗を持っている。
彼女が行う攻撃は突撃。翼部分の鱗が特に固く、その硬さはヴァルカンドの腕にも匹敵する。
誰よりも早く戦地へと向かい乱戦状態になる前に突撃し、味方の被害を減らす。
上空から急降下し、敵へと突撃する。急降下時は通常の飛行よりも速く飛ぶため、それに当たった者は刃物で切られたと疑うほどにぱっくりと裂け、かろうじて耐えたとしても骨がボロボロになる。迎撃するにも彼女は絶え間なく飛び続け、精密に動くことで空を飛ぶ敵をも難なく殺すことができる。
「おいおい、嘘だろ。」
ファウスが驚いたのはそこへ向かった時には檄なんて意味なかったのではというほどのニアンの強さを目の当たりにする。地上の敵は皆倒れ、空を舞っていた者も赤い雨となり肉塊とともに降ってくる。
それでも敵は多い。ニアンが殲滅するより前に敵と接触してしまい、乱戦状態へとなってしまった。
敵も黙ってやられるわけにはいかない。そう言わせるかのように繰り出された敵は他の龍よりも小さい種、「ハンディア」で構成された部隊だ。この種は「第一龍化」しかない。「完全龍化」するにしても大きさが変わらないからだ。翼もなく、龍というより恐竜というイメージの方がわかりやすいかもしれない。それでもハンディアだけで部隊が構成されるのは翼が無い分より強靭になった脚と、小さいが故の機動力、そしてディフェルグの龍たちの鱗をも噛みちぎれる顎。
部隊の多くが飛んでハンディアの攻撃を逃れるよりも前に掴まれ、飛べずに苦戦しているが、ファウスは飛ばなくてもなんともない。個名の通り、並大抵の攻撃ではビクともしない。それはハンディアの前でも同じだった。それでも部隊の仲間が死にゆくのを見て
「クソッ。俺の手塩にかけた仲間達が!」
と悔しがっている。ファウスはレディルグの特徴である顔の周りにあるトサカのようなものを突撃の要領で攻撃しハンディアへ攻撃していく。小柄なハンディアではすぐに死んでいくが、それでも機動力の点で優れているためほぼ回避されてしまう。
部隊の特徴もあってか、飛んでも息球を使う者がいないのと、部隊に新しく入った多くの訓練所の者でも息球を使えるものは少ない。 その時───
地が割れ多くのハンディアがその衝撃で宙を舞う。その龍の正体は「アースダイバー」。アストが龍化したものだ。
アースダイバーは飛べない代わりに地中を進める。硬い岩盤すらも突き破る。その硬さ故にハンディアも攻撃するも、傷を与えることができない。アースダイバーは翼が水かきのような構造へと変わり、それは地中を掘り進むためのオールのようなものである。だが本来の進み方は、頭から掘り進めるため、翼はほぼ意味ない。頭から掘り進める分、全身が硬く、ファウスの鱗ほどとはいかないが、かなり硬い方だろう。
アストとファウスがハンディアに攻撃を仕掛けていたため、仲間のみんなが空へ飛んだ頃、一匹だけは飛んでいない。それよりも反撃のために構えているというのが正しいだろうか。
「みんな、離れて。」
それを言ったのは構えているフレア。全員が安全な場所へと離れた時、ハンディアは一斉にフレアの元へと向かった。だがそれは自ら死にに行っているだけだ。
フレアは息球を出せる。息球を出すと同時にトサカを広げる。
トサカは息球を出すときに体温を下げるために無意識で出るらしい。
そんなことは置いておいて驚くべきはその息球についてだ。息球は天と地を輝かせ、やがて破滅へと導く炎。ハンディアなんて元々いなかったかのように地上には生きている敵はいない。
フレアの種は「フレイミア」炎の息球を扱う龍の中では最も威力が高い。が威力を上げる分溜めが必要なため、最高威力を連発できるわけではない。また、炎の息球というのは体内から分泌したナトリウムを水と反応させ爆発させた後、それを空気中に放つ。フレイミアはそのナトリウムの一度に出す分泌量がとても多く、炎の威力が高い。この説明で言った通り、炎の息球は爆発によって起こるもの。つまり威力が高い分、体に響く衝撃も大きくなるということだ。
フレイミアはその衝撃から身を守るため、他の龍との構造が大きく違う。その分、飛行能力などが低く空中や地上での白兵戦というよりは戦況を変えるための一撃必殺という方が正しいのかもしれない。
「こりゃたまんねぇな。今年はお宝がザクザクだなぁ。」
ファウスは驚きと今年の新人達に期待を寄せている。
戦いはまだ終わらない。敵はまだまだ大量にやってくる。
なぜならこれは始まって一時間の間の話なのだから。
作品新しく書く時ってなんかワクワクして続けて書こうとしちゃうんですけど、31までの約束だったので一回別作品挟んで書きました。でも書きたい気持ちは収まらないので、1日ごとにA→B→Cって感じで投稿するんじゃなくってこの作品をCとするならA→C→B→Cって感じにしようと思います。
私のわがままを許してねっ☆