保守派の陰謀
めっちゃ時間経っちゃいましたね。
サボってたというよりあまり構想練ってなくて……
「チィッ!!」
男は自分の速さに自信でもあるのか、最初は悠々と逃げていたがそれでもなお追ってくるニアンに苛立っているようだ。
リジェントは本来、ニアンのように突撃して攻撃する種ではない。なぜなら速く飛ぶことはできても目まぐるしいほどに変化する視界に対応できるほど体が出来上がっていないので、体が衝撃に耐えれたとしてもニアンのようにヒットアンドアウェイの方法をほぼ全速力で繰り返していたら酔って吐いてしまうだろう。
そのため、男はニアンが来ていることは目視できていないためどのように追ってきているのかは分かっていない。耳で音を拾い追われているということだけを認識しているのだ。
そのことは追いかけている立場であり、リジェントの性質を最も知っているニアンは男がどのような状況にあるのかも分かる。
ニアンは男をひたすらに追い続ける。振り払おうと地上スレスレを飛ぼうとも、時計台やビルといった大きな建物の間を飛ぼうとも、ニアンは難なく通り抜け少しずつ、距離を縮めていく。
ただ、仮に追いついたとしても、男の身柄を確保するには少し工夫が必要なほど高い場所を飛んでいる。
ニアンは一度男から離れ、空高くを飛ぶため、上昇していくのだった。
ニアンが男を追っているのに気付いたヴァルクは、アストとニアンに現場の処理を任せ、追いかけることにした。
「ニアン、突然どうしたんだ……?」
ニアンが空高く飛び始めたのを遠目に見たヴァルクは、何か考えがあるのだろうと踏みつつも、もしものことがあるので、男を見失わないよう、出来る限りの追跡を始めるのだった。
「どうやら、撒けたようだな」
男は慢心により、笑いながら飛行している。
「さて、俺の話が話題に上がっている頃合いだろうから帰るとしますか。」
男は進路を変え全速力で帰り始める。
数秒ほど経つと男の背中に衝撃が走る。
「ッオオオッ!?!?」
そこには赤みのかかった鱗に変色したニアンがいる。ニアンは男の背中の部分から煙を吹き出させながら、「落ちる」という時間を与えない程の速さで人がいないであろう草むらへと落ちていく。
ヴァルクもそれに気付き、急いで降りるが、突如爆発のような音ととてつもない風圧に驚き、一度体勢を崩すのだった。
◆
ニアンが男を押さえている間に、全員が集まる。
男は拘束され、警察に身柄を渡されていった。
「そういえばニアン、体が赤く見えたがどうしたんだ?」
「ああ、あれね。いやただ突撃したら想像以上にスピード出ちゃって、ほら、ちょっと焦げちゃってる。」
そういってニアンが見せた腕には、火傷のようなすこし赤い跡が出来ている。
「まぁ、それだけ必死だったってことだよ。今はそんなことよりこっちこっち!!」
ニアンはヴァルクたちを引き連れて警察について行くように案内した。
「あっ、そういえば忘れ物!!」
「お前、何も持ってないだろ」
「確かに持ってないけど、なんて言うの?この男が持ってた逆鱗病の元凶と言うかなんというか、それが詰まったバッグ?みたいなの、落ちるときに熱を帯びて焼き切れたのか、速すぎて千切れたのか、どっちかわかんないけど、そのせいでバッグが落ちちゃって。場所はなんとなく覚えてるんだけど、速めに取んないと誰かに取られるかもだしね。じゃ、先行ってて。探してくる。」
そう言ってニアンはさっき通ったであろう場所ををたどるように飛んでいくのだった。
ヴァルクたちはそのまま警察に付いて行く。
しばらくすると刑務所へと着く。
「一度彼の取り調べを始める。一応君も聞かせるような許可が下りるかもしれないが、本来は立ち入り禁止となっているからな。ここらで待っていてくれ。」
そう言って男は刑務所の中へと連れていかれる。
「さて、これで逆鱗病の不可解な点が解決になったらいいけど、まぁ、すぐ終わるわけないよね……」
フレアがその言葉を放ち、その場は沈黙に包まれた。
ニアンが帰ってきた時、鞄は押収され取り調べの材料として使われた。
「私が言うのもなんだけど、鞄見られたくらいで逃げるなら、どっちにしろ良くないことに使われてるのは確定だろ。」
ニアンはみんなの悩んでいる顔を見て、そう話した。
「まぁ、そうだな。」
「確かにそうだけどさ~、犯罪どうこうより、逆鱗病の発症が減るかなんだよな~」
「可能性だけど、私たちがこうやって警備してても発症するのがヴァルクとか、アストとかが突然発症したのを押さえなくちゃいけないんでしょ?止める分には問題ないけど、豹変した友達を見るのは、少しイヤと言うか……」
「確かになぁ……でも、治せるっていう望みがある以上、悩みすぎるのもよくないと思うがな。」
ニアンも少し助言を出したが、話す前に間があったり、話した後も沈黙が場を包んだので、ニアンも悩んでいるのだろう。
その空間を引き裂くように、
「取り調べが終わったぞ。」
警察の一人が出てきたのだった。
「とりあえず、今のところ分かっているのだけ説明すると、彼は今回の事件に関わっている。そして彼がやったことに変わりない。だが、同じような人が数人いる模様。彼も含めて保守派だ。我々の混乱を誘うつもりだろう。これからも警備は怠らないよう、よろしく頼む。」
「彼の動機は?」
「残念ながら確定的な話はまだ分からない。ただ、取り調べ途中彼自身の財産や報酬についての話をブツブツ言っていた気がする。おそらくカネで雇われたのだろう。」
「だとすると、今いる奴らを捕まえても、キリがないかもな……」
保守派は基本的に金目的の人が多い。なぜなら今起きている内乱の原因である王は責務を全うしないものの何らかの手段を用いて大量に金を持っているため、戦争を終わらせるにはその金を渡す元凶を倒さない限り、止まらない。人間の金に対する欲深さを利用した洗脳に近いだろう。
「ま、どっちにしろ現状を切り抜けるのが一番なら、俺たちは頑張るぜ!!……多分だけど。」
アストが意気込んで返答したが、暇な時間が多いのを思い出し、途中、目を逸らし始めた。
「ありがとう。少しやる気が出た。さぁ、後は我々に任せて、帰りなさい。」
そう言ってヴァルクたちは外へと出たが、もうすっかり夕方となっていた。
「帰るか。」
「ま、やることないしね」
そう言って訓練所の寮へと帰っていった四人。
だが、着いた寮に、とある張り紙が張られている。
「「「「別訓練所との、合同訓練?」」」」
前書きの続きなんですが、構想練っていないのもあって少し、手間取っています。
もしかしたらこの作品の投稿ペース落ちるかも……(´・ω・)