交流
何とか投稿できました。投稿頻度を頑張ってあげたいんですけど、休日にも予定があるってどうなんでしょうね。
私の思う休日は「自分のやりたいことが出来る自由な時間」だと思います。
そんなこと言ってたらただのわがままだと思われそうですが、まあ、愚痴だと思ってください。
「暇だなー」
アストのその声が路地裏に小さく響く。ヴァルク、ニアン、フレアはこの場にいないが、おそらく全員が思っていることだろう。
それもそのはず、パトロールすると言っても、逆鱗病発症者が発見されたり犯罪が起きることがなければやることがない。もっとも、何も怒らないのが一番なのだが。
働き始めて一週間、特にすることなくただただ散歩という名のパトロールをすることにアストは飽き始める。
「なあヴァルク〜、俺やめてもいいか?こんなに暇なら訓練所で練習した方がいいんじゃねぇの?」
「まぁ確かに、その方が効率がいいかもしれないけど、全ては経験がものを言うだろ」
「なんだそれ?」
「まあいい、俺はニアンとルイファ様のところに行って来る。頑張れよ〜」
「おい待───」
アストが止めようとしたものの、部屋のドアを閉められてしまい、ヴァルクはルイファの元へと行ってしまった。
◆
「さて、全員集まったな。」
ルイファがその言葉を発し、今回の件について話す。ここには、ヴァルク、ニアン含む個名持ちが5名いる。そこにはフラスも含まれているが、残りの二人はわからない。
見た目を言うなら、目元にゴーグルをつけていて顔の見えない男性が一人と、身の丈に合わないパーカーとマフラーを着込む、小さな女性が一人だ。
「今回の件は他言無用。そして今回向かうのはアンチェクの街だ。」
アンチェクの街は保守派の持つ土地と、革命派の持つ土地の分割地点となる中途半端な街だ。せいぜいここを通るのは大陸中に物を売り込む商人や国を移る者くらいだろう。
「とりあえず、龍車に乗ってくれ。この先、俺は行かないから詳しい説明は御者に聞いてくれ」
龍車は野性の龍を捕え、馬車と同じように利用する移動手段の一つだ。
「着くまでにある程度の自己紹介を済ませておけよ。」
ルイファは今回見送りとなる。手を振る姿を遠目に龍車はどんどん遠ざかっていく。
「さてと、自己紹介なわけだが」
男が声を発し、自己紹介が始まる。二番手にヴァルク、三番手にニアン、四番手にフラスだが、彼らの自己紹介は省かせてもらう。
「俺はノイジ。このゴーグルは気にしないでくれ。作業で一回つけた後に外すと眩しくてさ〜」
つまるところ面倒くさいのである。そう思った他の四人だが、ツッコんだところで変える気は無いだろうと思っているので反応しないことにしたのだった。
三人の自己紹介を省いて最後の一人。
「私はヴィエラ。こうやって着込んでるのは私の龍の性質からだから気にしないでね。」
ヴィエラはしっかりとした理由で着込んでいるため、みんな納得していたが、それと同時にノイジのゴーグルに目線がいく。
「ど、どうした?突然。」
「外せよ、ゴーグル」
フラスが生気のない声で返答する。
「ヴィエラみたいにしっかりした理由があるなら分かる。だがお前のはめんどいだけだろ?」
「いやいや、眩しくなるから……」
そうやって言い訳しているようにしか感じない言葉を発しつつ、ノイジは目を逸らす。それをみている皆は目が死んでいるのである。
「ダァー!!別にいいだろ!!俺の勝手だ!!だからそんな……死んだ目をしないでくれ!頼む!はっきり言ってキモい!」
ノイジが痺れを切らして、空気が和んだ。ニアンの発した小さな笑いに釣られ、みんなも笑う。ついにはノイジも笑ってしまった。
「お前が笑うなよ。」
ヴァルクな真剣な表情と共に、ノイジの笑いも止んだのであった。
盛り上がったで楽しめる時間は続かないようで、ついにアンチェクの街へとついてしまった。
御者が全員を降ろし、この後のことを説明する。
「これから皆さんには交流会をしてもらいます。交流会といっても、自分の派閥の力を表明するようなものですが。まぁ、特に感想も聞かないので、同じ国民同士仲良くしてくださいね。時間になったら迎えに来ますから。」
そう言ってとある豪邸に誘導され、閉じ込められた。
「ハァ、戦闘にでもなったらどうすんだよ……」
「お前ら初めての交流会か。じゃあ先輩が教えたげるよ!」
ノイジの信頼できない先輩マウントと共に交流会の説明が入る。
「ざっと言うならただのお話し会。最近の話とか、こっちに寝返らないかとか。挑発も何でもあり。仲良くなってもいいらしいけど二つ言えるのはここで戦闘を起こせば原因となった人はどんなに優秀でも消される。それこそ一回分の戦争の人数だけ動員されて殺しにかかってくるし、このことを別陣営も知っているのか絶対に動かない。そしてもう一つはこの話の内容はどこにも聞こえないから、テロなんか組んでもいいわけだ。ま、実際に起きても両陣営が同盟を組んで消しにかかるがな。」
「じゃあなんで交流会があんのさ?」
「それは……先輩でも知らんな。」
ニアンが質問したもののイラつく返しをされ彼女は右手を思いっきり握りしめている。
「まぁ、向こうに俺の友達がいるわけだし、なんとかなんだろ!」
そう言って一室に繋がるドアを思いっきり開ける。
「よー!ノイジ!久しぶりだなぁ!!」
「おうよアシャル相変わらずゴーグルは付けてるんだな!」
「お前も一緒だろ!!」
側から見れば双子のように見えるが、そうじゃ無いのは全員が分かっている。それでもかなり似ているのだ。
「じゃあそれぞれ自己紹介!!」
そうして全員の自己紹介が始まる。アシャルと革命派の全員は省いておくが、残りの紹介していない人は三人。
「アタシはナユタ。最近個名もらったばっかだけど、よろしくね。」
「ん?どっかで聞いた気がするな……」
「アタシもなんかなぁ〜そうだ、個名教えてくれない?アタシは‘‘死の案内人‘‘。」
「やっぱり、あんただったのね。‘‘流星群‘‘って言ったらわかるでしょ?」
「あぁ〜!!やっぱりあの時の!!久しぶりだね〜」
「まさか自分を殺そうとした相手と戦場以外で会うとはね……」
ナユタは嬉しそうにしているが、ニアンは少し嫌そうな顔をしている。そもそも殺そうとしてきた人に心を許す方がどうかしているだろうから、ニアンの反応は正しいといえば正しいのだろう。
そして次の人の自己紹介が始まる。
「俺はサン。好きなのは暗いところ。自分の能力が存分に発揮されるから。」
そんな言葉にヴァルク達は暗殺に関する能力を考えたけど、無駄な思考はやめて次の人に言いたいことを述べることにした。
「さて、私の紹介だけど……ヴァルク、なんでここにいるのよ。」
この時点ではまだヴァルクの紹介はしていない。ではなぜ知っているのか。答えはすぐ出る。
「さぁな姉さん。ここで殺せるなら殺せるけど。今はやめておくよ。やりたいこともあるしね」
「ふーん。ヴァルクは何したいのさ。」
自己紹介のつもりが、すぐに修羅場になってしまったこの空間。止めようとしても姉弟喧嘩には誰も水を差すことができないのであった。
「俺はこんな空間が欲しかった。はっきり言う。俺はこの国の頂点に立ちたい。」
「そう、ヴァルクらしい執念深さね。まだそんなこと言ってたの。」
そう言いながらヴァルクとその姉は睨み合うのだった。
最初の方でヴァルクが「会えるかな」って言ってたと思うんですけど、その詳細は次の話で書くつもりなので、楽しみにしていてください!