息抜き
なんか大人数の会話シーン書くと一定の人しか話さない謎の状況がよくできます。今回もそんな感じかもですので、変かもしれません。(´・ω・)
「どうして俺が買う羽目に……」
模擬線が終わり、それぞれ解散するはずだったのだが、お互いが肉まんを買うことになってしまったのだ。そのため解散というわけにもいかずそのまま一緒に行動する形となってしまった。
フラスは流石にドレスを着たまま街中に行くわけにはいかないので一度着替えてから合流という形になっており、ところどころ雪の結晶が水色の模様として加えられている長袖のワンピースに大きめの麦わら帽子を被ってきている。
ちなみにヴァルクたちが肉まんを売っている露店に着いた頃、フラスは着替え中だったので、ニアンだけに奢ったところ、ホロムとエレクが物欲しそうにヴァルクを見たため、仕方なく買ったときに、そのタイミングを見計らっていたかのようにフラスが合流し、「みんなに買うなんて優しいね~。あ!私の分も買ってくれるの!?え~嬉しい~!」と大声で言ったので、ヴァルクが断ることもできず、買わされたのであった。
「いやー!本来自分で払うはずだったお金を人に払わせて食べる肉まんは最ッ高に美味しいなぁ〜!!」
「この野郎…」
「ヴァルク〜おかわり買ってくれ〜」
「だめ──」
「嘘!買ってくれんすか!?」
「僕にもちょーだーい」
「ウ……」
ニアンがおかわりと言ってしまったことにより、断ろうとしたが、ホロムとエレクによってまたも断れない状況となってしまい、買わされるのであった。
そんなくだりが何度も続き……
「お前ら、後で色々奢れよ…」
ヴァルクの財布はすっからかんになってしまった。それでもヴァルクの部屋に行けばもっとあるのだが。
「あ、そうだ!せっかく奢ってもらったんだし、息抜きとしてそれぞれのお勧めする店を回るってのはどうかな?」
フラスが提案したことはみんな食い気味にイエスと反応してくれた。その気持ちはほとんどが美味しいグルメよりも人に奢ってもらえることに対する喜びに気付いたからなのだろう。
「じゃまずは私から!」
そういって最初に店の案内を始めたのはフラス。彼女の案内したお店は激辛なことで有名な麺屋だ。
「私が奢るから私がメニユー決めるからね?そうだそうだ、奢るんだからお残しは厳禁だよ?」
そう言いながら食券を買ったフラス。その食券には「激辛麺 十五辛」と言うのが書かれている。もはやイタズラの域を超えているのだろう。
それでも奢ってもらっているのには変わらないので断るわけにもいかず、残りの人たちは黙々と食べざるを得なかった。
席に着き少し待つと、注文した麺が来た。その麺はマグマの如く煮えたぎり、ドロっとしている。この汁が麺にガッツリと絡み辛さを回避できないようにしているのだ。
「ダァー!!水!!水!!」
食べ始めて最初に声を上げたのはホロム。体でも火がついたかのように全力で声をあげコップ一杯の水を飲む。
「ふぅ……」
落ち着いたのも束の間
「ギャアアアアアアア!!!」
さらに辛さが込み上げ文字通り火を吹く。終いには辛さの衝撃と声を上げすぎたことにより、気絶してしまった。
「あぁ…残すなって言ったのに……あ、そうそう残したらその分のお金返してね〜」
仕組まれきったフラスの作戦。当の本人は十五辛ではなく、三辛を美味しく食べている。
「んん〜!このピリッとする旨さ!たまんないねぇ〜!」
ヴァルクはこれを見て無性に殴りたく感じたが、彼自身、辛いものは好きと言うわけではないが、食べることはできるので美味しくいただくと言うことで理性を保った。
「プハーッ!!食った食った!」
ニアンは大の辛い物好き。エレクは寝ながら食べていたのかは分からないが、辛味を感じなかったようで、普通に食べきった。
次はホロムの紹介するお店。
「いやー実は最近ハマってるお店があってね〜」
そう言って行ったのはカジノ。
「一人チップ三十枚分奢るから、あとは頑張って増やしてきてね〜。あ、三十枚より少なかったら無駄遣いってことで、倍額返してね。多かったら換金してもらっていいよ。」
そう言って唐突に始まったカジノ。
「増えるだけならお得でしょ!!」
そう言ってフラスは少しづつ賭けていったが全部負け。倍額払うことを余儀なくされたのだった。さらに
「あ、ごめん!フラスだけ1番高いチップにしちゃった!!だから三十枚分の十万ランの二倍、二十万ラン頂戴ね。」
ちなみにランというのはこの国での通貨であり日本円と同じ価格だ。
そしてなぜホロムはこのようなことができるのか。それは常連と化してしまい、ディーラー達とも賄賂を渡し合うような仲になっているのだ。そのことを遠目に見ていたヴァルクはホロムのことも無性に殴りたいと思ったが賄賂を渡し、ディーラーの対象となったのはフラスだけだったようでヴァルクやニアン、エレクは安定して勝っているのでまたもや理性を保つことができた。
「こいつら、本当に仲良いのか?」
ヴァルクは内心を独り言として放ったが、その言葉を気にする人はいない。ヴァルクも、喧嘩するほど仲がいいという言葉を思い出し自分一人で勝手に解決させたのであった。
次に行くことになったのはエレク。
「僕ここ〜」
向かった先はサウナ。
「安いし、体があったまるんだよね〜」
それぞれがサウナウェアに着替えサウナへ行く。ちなみにニアンは怪我中なので店員に断られ、外で待っている。
サウナウェアを着ているので男女別々という分けにはならず、またもやフラスとホロムが争い始める。
「どっちが」
「長く居れるか」
「「勝負!!」」
ヴァルクは自分なりに整おうと砂時計を見ながら入る。
「僕も一緒に整う〜」
そこにエレクも混じり、一緒に整うのであった。
しばらくして整いきった二人は先に着替え、ニアンと合流していたが、フラスとホロムが出てきたのは十分経ち、救急隊員が向かった後の話だった。
ヴァルクは最初に肉まんを奢り、ニアンはお金がないのでお店を案内することなく、息抜きが終わる。
「ハァ〜!!楽しかった〜!!」
フラスはそう言っているが、ホロムと争っているのを知っているヴァルクとニアンは少し変な感情を抱いた。
このまま解散になると思われたが、その楽しかった感情と共に状況が一変する。
「誰か助けてー!!!」
甲高く響く誰かの叫び声。ヴァルク達はほっとくわけにもいかず、声がする方向へと向かった。
そこには怪我で倒れる大勢の人々と、そこに佇む一匹の龍であった。
久々にタブレットで書いたので文字変換うまく行ってないかもです。怪しいと思っても誤字報告してくれれば、どんどん対応していきますので、お気軽にどうぞ。