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模擬線

 ちょっと短いかもです。話の展開的にこれ以上続けるともっと長くなってしまうというのもありますが。

 まぁ、文字の括りは無し!!って最初に行ったので気にすることでもないですね。

「ハアァッ!!」

 フラスの言葉から始まった二人の戦闘。戦闘と言っても、本気で()り合えば軽い怪我とかで済む事態ではないので、模擬線という方が正しいのだろう。

 フラスは始めに尻尾を槍のように伸ばし、ヴァルクに向かって突きを放った。ヴァルクはそれを右に躱し、左上部の腕を伸ばして尻尾を掴みにかかる。

 それに気付いたフラスは息球(ブレス)を放ち、掴まれないように牽制する。ただ、全力で息球(ブレス)を放ったわけでもないようで、ヴァルクの腕ではたき落とされる程の威力だった。ただそれでも効果はあったようで、はたき落とすために使った腕はかすかに冷たく、霜がついている。

「なるほど……触りすぎもよくないのか。」

「どんな感じか分かっても対処できるもんじゃないでしょ?だって龍は基本、炎に対する耐性が高いから、氷に関してなんてそこらのトカゲみたいに弱いもの。」

「そうかもしれないなぁ!」

 ヴァルクとフラスは軽い会話を交えながらも、お互いの体を巧みに扱い、一進一退の攻防を続けている。

 そんな中さらに仕掛けてきたのは、フラスだった。

「これならどう?」

 そう言いながらフラスは息球(ブレス)を地面に向かって放つ。すると冷気が広がっていき、辺り一面が凍り、リンクのようになる。それにところどころ威力を調節しているのか、氷の壁といった障害物までもが出来ている。

 ヴァルクはこの攻撃にも冷静でいるが、

「氷も冷たすぎるな……」

 そういって自分の脚を少し見た後、空へと飛ぶ。ヴァルクの脚は、氷の影響で霜がついているのだ。

「ヴァルク、あなた観察眼も鋭いのね。」

「それなりに出来なきゃ、自分の力だって見れないだろッ!!」

 二人は空中戦へと移る。ただどちらが優勢かと言われれば、翼も多く、腕が四本もあり柔軟に対応できるヴァルクの方だ。

ヴァルクは持ち前の機動力を生かしフラスの主な攻撃手段である息球(ブレス)を躱し着実に攻撃を仕掛けていく。ただ、フラスも個名をもらえる程度には実力はある。近づかれても、息球(ブレス)を放ちながら離れることで一定の距離を保つことはできる。

「そうだそうだ、フラス、お前の息球(ブレス)は攻撃に入るのか?」

「一応牽制だし、入れたいなら入れてもいいけど、せっかくなら無しにしてもらおうかしら。せめて攻撃として入れるなら、凍傷を起こしたら――くらいでいいんじゃない?」

「ま、盛り上がる方がいいもんな。」

 そう言いながら空中でも一進一退の攻防を続ける。ただ押してきているのはヴァルクのようだ。

「フッ!!」

 右下部の腕を突き出し、フラスの脚に浅い傷をつける。

「これはカウントに入るのか?」

「そうね、血が出たし、入れていいよ。」

 そんな会話が続いても、攻防は続く。今度は右下部と左下部の腕でフラスの翼を掴み、空から叩き落そうとしたが、

「そろそろ本気でやらなくちゃね。」

 そう言った途端、最初よりもはるかに多い冷気がフラスの体から溢れてくる。ついには体中に霜がつき、氷となる。翼を掴んでいたヴァルクも

「これはヤバいな。」

 そう言って退避する。だがこれが良くなかったようで、フラスの体には鎧と言っていいほどの分厚く、透き通った色をした氷が纏われている。それに体を守る氷というより、相手を確実に殺すための氷というほど、鋭利な氷柱が大量に生えている。

「さ、どうする?一回でも刺されれば、十回でも、二十回でもあなたのことを刺せるけど?」

「やれるものなら、やってみろ!!!」

 ヴァルクは声を張り上げながら、フラスのもとへ突撃する。それに対しフラスは「そんな甘い攻撃は自爆行為だ」と言わんばかりに尖り切った氷柱をヴァルクへ向け、防御態勢をとる。普通なら串刺しになるほどの衝撃がヴァルクに向かうだろう。ただそれはヴァルクが()()()()()()()()()の話。彼は‘‘ヴァルカンド‘‘。個名は‘‘冥界の手‘‘。そこいらの龍とは違うのだ。

「オオラァァ!!」

そのたくましいまでに太い腕は霜がつくも、傷がつくほどやわではない。フラスの尖った氷柱を小枝でも折るかのようにいとも簡単に折り、フラスに一撃を加える。ただそれで終わる戦いでもなかったようだ。


「何ッ!?」

 フラスは防御態勢を取っていたため、頭部が見えなかった。つまり()()()()()()()()()()()()()()ということ。頭部を使って攻撃する方法。つまり息球(ブレス)だ。溜めた息球(ブレス)をヴァルクに放つ。

 その威力は吹雪よりも氷の礫を大量に投げるよう。ヴァルクはとっさに腕で防いでも横から漏れ出てくる氷の礫は防げなかったようで、大量に傷がつく。

 痛みこそ強くはなかったものの、

「俺の負けだ。」

 ルール上、傷が五回ついたら負けなので、大量に傷ついたヴァルクは負けたのだ。

「でも、このまま続いてたら、私負けたかもね。勝負には勝ったけど、戦いには負けた――的な?」

「何はともあれ、ありがとな俺のわがままに付き合ってくれて。」

「いや、とんでもない。こちらこそ楽しい戦いをありがとな。」

 二人は龍化を解き、お互いに握手した。

 そんな空気を崩すように、

「「「あのー……」」」

 ホロム、エレク、ニアンが声を発する。

「「「寒い。」」」

 三人は戦いを近くで見ていたため、フラスの冷気に巻き込まれていたのだ。ヴァルクは激しく動いたため体温が上がっていたのか、何とも思っていないようだが。

「「あぁ~…………ごめんね?」」

「ヴァルク~、寒いからアイス買わないぞ~」

「フラス~ヴァルクとニアンがそんなこと言うなら、お詫びに肉まん買ってくれ~」

「そうだ!ヴァルク、私に肉まんを奢れ!!」

「「俺たちにも奢ってくれ!!」」

「ええ~~……」

 ヴァルクとニアンの話し合いとフラスとホロムとエレクの話が混ざり、結局、ヴァルクとフラスは三人に肉まんを奢る羽目になったのであった。

 今年もあと四日となりましたが、今思い返すと、小説を書き始めてから何だかんだ半年たったんですね~。あまり実感が湧かないですが。

 それだけ熱中していると思うので、もっと投稿頻度は上がればいいのに……(他人事)

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