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ノゾキアナの恐怖シリーズ

ノゾキアナ 奪

作者: リィズ・ブランディシュカ



 魔法の箱がある。


 それは勇者が持ち歩いている、小さな箱のことだ。


 勇者は、その箱からいろんなアイテムや武器を出す事ができた。


 仕組みは誰も分からない。


 誰もが教えてほしいと頼んだが、頑なに勇者が拒んでいるためだ。


 どうしてなのか分からない周囲の人々は不思議に思った。


 仕組みを解明して、箱を量産できればもっと世の中が便利になるのに、と。


 いま、世界では魔王や魔物が暴れて、人をさらったり、物をとっていったりするから、きっと便利な箱があれば、誰もが助かるはずなのに、と。


 世界の片隅で立ち上がった勇者複製プロジェクトはとん挫してしまっているし、有名な国の中央で行っている伝説の武器のレプリカ研究も芳しくない。


 明るい話題が世界には必要だった。


 だから、どうにか箱の謎を解明してやろうと考える人間が大勢いた。







 その者達は、あの手この手で勇者と箱を引き離しにかかる。


 はじめ勇者は、とても警戒していた。


 だが毎日隙もなく生活できる人間などいやしなかった。


 やがて勇者は隙を見せるようになり、その結果勇者の箱は奪われた。


 専門の研究者達が箱の秘密をどうにか探ろうと、いろいろな方法を試していく。


 箱はとても頑丈で、何をしてもうんともすんともいわなかったが、苦心の末に一センチほどだけ、穴を開けることができた。


 その穴をの向こうに秘密がある。


 期待に胸を膨らませた研究者たちがのぞいてみると。


 そこには……。






 ミニチュアに作られた世界があった。


 箱に中に住んでいる住人達は、ある日突然ものが消えるようになったと言って、みな困っていた。


 そんな住人達は、空に浮かんだ穴と、そこから除く巨大な目を見て、魔王の仕業だと結論付け、罵ってきた。






 箱をのぞき終えた研究者達は、外に出て空を見上げる。


 月だと思っていた白い穴。


 全く形の変わることのない、月だと思っていたそれを。


 穴の向こう。そこには巨大な魔王の顔が浮かんでいた。



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