真の能力
「何今の……どうしようミカーヤ、なにこれ」
カズヤはどうしていいかわからず、七支刀を持ってしどろもどろにミカーヤに近づいた。
「ギャアー! ちょっとカズヤさん、それこっちにもってこないでくださいよ! なにそれ怖いです、近づいたらこれ投げますよ」
ミカーヤは泣き叫びながら距離を取ると、近くの武器を手に取り投擲の構えを取った。
「こういうときこそ、神のスキ使えば見れるんじゃねえの?」
シュウキのアドバイスにカズヤは納得したように手を叩くと、七支刀を地面に置くとスキルを唱えた。
『掲示』
スキルを唱えると目前にカズヤのステータスボードが現れた。
「これ自分以外の見れるのかな?」
「見れなきゃ神は自分以外どうやって見るんだよ」
シュウキの言葉にまたも納得したカズヤは、七支刀にスキルを発動させるために試行錯誤した。
睨みつけて唱えてみたり、触りながら唱えてみたり、味も見ておこう……と思ったが流石にやめた。
そして――
「七支刀」
『掲示』
――名前を呼ぶと七支刀のステータスボードが現れた。
『七支刀 2/20 能力 「キューマ」と唱えると一つだけ武具を、または一体だけ生き物を吸収して宿すことができる。吸収すると吸収した相手の力を上乗せでき、その者の最も強い能力を一つ使える。解除には「ケトラ」と唱える』
「ほうほう、この2/20ってのはなんだ?」
「それは七支刀の吸収した数だと思う。七支刀を買ったとき、世界中には全部で20本あるって聞いた。」
「でもおかしくないですか? 吸収できるのは、一つだけだけって書かれてますし。」
ミカーヤは顎に手を当てながら首を傾げた。
「いや、これは多分あれだろう。最も強い能力を一つ使えるって書いてるから、七支刀に使っても吸収の能力をもう一度使えるんじゃないか? そして恐らくこの無限重ねができるのは、七支刀だけだと思う。」
「つまり七支刀を見つければ見つけるほど、強くなるんですか……凄いですね」
「あぁ……」
カズヤはまだまだ強くなる可能性のある相棒を見て震えた。
そしていま一度強く握りしめると、大きな期待を寄せて収納魔法にしまった。
「あ、しまった! お前ら相手に七支刀の吸収試せばよかった!」
「一回死ねお前。」
「ん? そういえばあの幽霊何で吸収唱えずに、入れたんですかね?」
ミカーヤは再度首を傾げた。
「そこは単純に空洞があったからだろ」
「なるほど!」
3人の話が終わったのを確認すると、恐る恐る主人が話しかけてきた。
「お二人さんは何にするか決まりましたかな?」
「あ~今回は大丈夫です」
「俺も魔法道具でほしいやつなかったので」
「そうか……ならもてなしとして、ご馳走させてほしい。」
主人が手招をしながら部屋を出ると、3人も続くように部屋から出た。




