別れ
「せいやぁ!」
先手必勝。
ミカーヤは瞬時に距離を詰め、より痛そうな数珠で幽霊を殴りつけた。
だが数珠は幽霊に触れた瞬間黒ずみ、紐が切れ、ミカーヤの拳はすり抜けてしまった。
「んなぁ! ズルいです!」
「任せろミカーヤ」
『アクアランチャー』
シュウキは塩を混ぜた水魔法を、幽霊に向けて放った。
だが魔法は幽霊に触れた瞬間黒ずみ、泥水となり、床にこぼれ落ちてしまった。
「なんで!」
「シュウキさん、あれ掃除大変ですよ」
わけがわからない2人は幽霊を見ながら、立ちすくんでしまっていた、その2人の哀れな姿をみた幽霊は、おでこに手ながら高笑いを始めた。
「ハッハッハッ! 当たり前だろ? 僕は200年間王都で、頂点に立ち続けた最強の悪霊だ! そんなもの食らうはずがないんだ! そこの木偶に遅れを取ったのは自分のルールを破り、階段を一気に登ったことで衰弱していたからだ。万全の僕の前に敵はない!」
「そ、そんな。これは無意味だったんですか」
「あぁ……だがそれはそうと!」
絶望してた2人はなにかに気づき、後ろを睨みながら叫んだ。
「お前も働けよカズヤ!」
「なにサボってるんですか!」
「お前らが殴り回すからだろ! やっと回復してきたわ馬鹿!」
言い返しながらカズヤはヨロヨロと立ち上がった。
2人は幽霊が余裕そうなのをいい事に、カズヤのもとに駆け寄った。
「どうします? 道具何も効きませんよ」
「お前ちゃんと見てたのかよ。なにかに閉じ込めて殴ったときは、すごく苦しんでただろ」
「確かに! 良く見てるなカズヤ」
カズヤのアドバイスを聞くなり、2人は瀕死のカズヤを羽交い締めした。
先程は馬鹿力でなんとか逃れたカズヤも、二人がかりの力には勝てなかった。
「やめろって! そろそろほんとに死ぬからぁ!」
「止めておけふたりとも! 僕が取り憑いて殺す!」
幽霊はカズヤに狙いを定めて凄まじい速度で飛びつきに行った。
「うわァァァ」
カズヤは必死の抵抗で七支刀を頑張って振り回した。
スポッ
七支刀に当たると、幽霊は吸い込まれるように入っていった。
カズヤは起こったことに理解ができず、七支刀を眺めていた。
一方2人は七支刀に入ったことを確認すると、カズヤを後方に投げ飛ばし、御札を七支刀に貼り付けた。
そしてシュウキは蹴りやすいように、七支刀の上下の端を持った。
『エネルギーコントロール』
「チェストォォォ!」
ミカーヤの猛撃により、七支刀は真っ二つに折れてしまった。
「あ、相棒ォォォォォ!!!」